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3話 最悪のミッション
しおりを挟むタイム星の最高指令室に呼ばれた。
世界滅亡を阻止すべく造られた組織パラドックスで俺は活躍している。
正直言ってもう辞めたいんだけどね、責任重大過ぎるし。
できないんだよね。
「入りますよ」
「新しい任務だ、結婚して欲しい」
「はっはっはっはっは……司令官と?」
冗談をいうような人ではない、まぁそれはそれでありっちゃあり。
任務が辛い俺に司令官が惚れてしまったのなら、対応はむしろ楽。
そんなことで呼び出されたのなら、むしろ最高だ。
パンにジャム塗ってあーんしてやりたいぐらい最高。
最悪は宇宙消滅の危機が5分後とかのパターン。
「だったらまだマシだったんだがな」
「で、結婚って誰とくっつけって?」
「この映像を見て欲しい」
地球人がモニターに映された、名前は秋田カナで性別は一応女性。
確かにけっこう可愛い子だけど――若いな。
地球人は100歳にも満たないとは聞いていたけどね。
「で、彼女がどうしたんですか?」
「お前の任務を言い渡す『地球人:秋田カナを一度も不幸にすることなく結婚してこの惑星につれて帰る』だ」
「そんな任務になることある!?」
彼女を殺せって任務かと思ったよ、それで婚約して近づけってことかと。
結婚することが目的ってことある!?
世界滅亡と関係あるとはとても思えない。
「彼女は体内に未知のエネルギーを抱えているのだ」
「地球人って身体弱いからエネルギーなんか抱えてたら死にません?」
「彼女が強く悲しまないかぎり、これは意味を成さない」
「ふむ?」
「つまり彼女がずっと幸せでさえあれば宇宙は崩壊しない」
「何でそんなエネルギーを彼女が?」
「それも近づいて調査するんだ」
楽な度合いでいうと最難関あるんじゃないこれ?
【殺せ】の任務は今まで2千3百回こなした。
たった一人が元凶なら殺せば終わることが多いから。
「……何で俺ちゃんなの?」
「君の未来での成功率が他よりも高いから、いつもの理由だ」
「ふーん」
「ただ、今回は妙なんだ」
「成功率が1パーセントあるとか?」
「30パーセントもある」
「何で?」
普段、成功率を判断するコンピューターは多くても0.1パーセント。
俺ちゃんたちが何故そんな状況で危機回避できるか?
答えは時間を繰り返せるところにある。
成功するまで繰り返せばいい。
「あくまで結婚は手段だ、彼女が惚れた相手と何が何でも一生幸せなら譲れ」
「確かにそうよね、もう既に彼氏いるとか色々可能性はあるし」
「だが相手が浮気をしたりした瞬間――」
「世界が滅ぶ?」
「ああ」
最高指令室から出て、休憩所で煙草を一服。
今の電子タバコよりも炎をつかう古い文明のものを愛用している。
煙を吸って吐くと落ち着くのだ。
「こっちは【子持ち】なんだが?」
地球人はそういうの嫌がるって分かってんのか、あの上司。
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