3 / 50
3話 最悪のミッション
しおりを挟むタイム星の最高指令室に呼ばれた。
世界滅亡を阻止すべく造られた組織パラドックスで俺は活躍している。
正直言ってもう辞めたいんだけどね、責任重大過ぎるし。
できないんだよね。
「入りますよ」
「新しい任務だ、結婚して欲しい」
「はっはっはっはっは……司令官と?」
冗談をいうような人ではない、まぁそれはそれでありっちゃあり。
任務が辛い俺に司令官が惚れてしまったのなら、対応はむしろ楽。
そんなことで呼び出されたのなら、むしろ最高だ。
パンにジャム塗ってあーんしてやりたいぐらい最高。
最悪は宇宙消滅の危機が5分後とかのパターン。
「だったらまだマシだったんだがな」
「で、結婚って誰とくっつけって?」
「この映像を見て欲しい」
地球人がモニターに映された、名前は秋田カナで性別は一応女性。
確かにけっこう可愛い子だけど――若いな。
地球人は100歳にも満たないとは聞いていたけどね。
「で、彼女がどうしたんですか?」
「お前の任務を言い渡す『地球人:秋田カナを一度も不幸にすることなく結婚してこの惑星につれて帰る』だ」
「そんな任務になることある!?」
彼女を殺せって任務かと思ったよ、それで婚約して近づけってことかと。
結婚することが目的ってことある!?
世界滅亡と関係あるとはとても思えない。
「彼女は体内に未知のエネルギーを抱えているのだ」
「地球人って身体弱いからエネルギーなんか抱えてたら死にません?」
「彼女が強く悲しまないかぎり、これは意味を成さない」
「ふむ?」
「つまり彼女がずっと幸せでさえあれば宇宙は崩壊しない」
「何でそんなエネルギーを彼女が?」
「それも近づいて調査するんだ」
楽な度合いでいうと最難関あるんじゃないこれ?
【殺せ】の任務は今まで2千3百回こなした。
たった一人が元凶なら殺せば終わることが多いから。
「……何で俺ちゃんなの?」
「君の未来での成功率が他よりも高いから、いつもの理由だ」
「ふーん」
「ただ、今回は妙なんだ」
「成功率が1パーセントあるとか?」
「30パーセントもある」
「何で?」
普段、成功率を判断するコンピューターは多くても0.1パーセント。
俺ちゃんたちが何故そんな状況で危機回避できるか?
答えは時間を繰り返せるところにある。
成功するまで繰り返せばいい。
「あくまで結婚は手段だ、彼女が惚れた相手と何が何でも一生幸せなら譲れ」
「確かにそうよね、もう既に彼氏いるとか色々可能性はあるし」
「だが相手が浮気をしたりした瞬間――」
「世界が滅ぶ?」
「ああ」
最高指令室から出て、休憩所で煙草を一服。
今の電子タバコよりも炎をつかう古い文明のものを愛用している。
煙を吸って吐くと落ち着くのだ。
「こっちは【子持ち】なんだが?」
地球人はそういうの嫌がるって分かってんのか、あの上司。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける
朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。
お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン
絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。
「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」
「えっ!? ええぇぇえええ!!!」
この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる