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1話 人外好き過ぎて
しおりを挟むある日、宇宙人が地球にやってきて1週間。
『おまえなんかがッ!!』
父親が私を叩く寸前で私は宇宙警察に助けられ宇宙船で2年、保護されていた。
私は日本へ帰ってきて、今から学校に通う。
本来は宇宙人向けだけど【地球文化学校】は別に地球人も通えるのだ。
「おはようございます!!」
元気よく挨拶したのだが、誰も挨拶を返してくれない。
やっちまった系だろうか。
私、何かしちゃいました? いや異世界転生ならともかく教室きて挨拶しただけで何かやっちゃうことある?
1、 クラスを間違えてる 1-Aで合ってる。
2、 身だしなみが酷い スカートもちゃんとしてるし髪の毛もちゃんと梳かせている。
3、 クラスメイト全員が耳聞こえない これ一番あるかも。
3は本来ならそういう学校でもないかぎり滅多にないだろう。
でも相手は宇宙人だ。
音を感知できない宇宙人は珍しくない。
「……おはよっす」
「あッ、おはよう!!」
「げぇ地球人がいるのかよ!!」
なるほど、地球人が嫌われてるという可能性もあった。
やがて担任の先生が入ってきて黒板に名前を書いた。
田中花子、一周まわって逆に珍しい。
「地球人、とくに日本では挨拶という文化があります」
そうか、地球以外ではおはようって言語がないのか!!
みんなで一緒に『おはようございます』と先生に挨拶した。
そして自己紹介が始まる。
苗字の関係で最初に自己紹介するのはいつものことだ。
「地球人:秋田カナです、地球人と宇宙人の違いを学びたくてこの学校に入学しました。よろしくお願いいたします」
完璧なお手本を決めて次の生徒へ。
超楽しみにしていた瞬間だ。
私は超がつくほどの宇宙人ヲタク。
夜な夜な専門のブログを更新するぐらい大好きである。
「グルググ星人:イル・パンツ……ナカヨク、スル、イイ」
足はキャタピラで口はなく目はカメラ。いかにもロボット。
グルググ星人は身体が弱いのでロボットに見えるスーツを着ているだけで人工知能などとは違うと噂があるのであとで本人に聞きたい。
「オシトヤーカ星人:ウルトラソールですわ」
金髪縦ロールとドレス。宇宙人よりは悪役令嬢と言われたほうが納得できる。
でもお上品というか、全体的にほんわかしている。
そして動きが少しゆっくり、のんびり屋なのかな。
「タイム星人:クロノ・スタシス 俺ちゃん軍人で任務のためにここにいるの、でも仲良く遊んでくれたりすると嬉しいよー」
黒くうねる髪に黒いサングラス、そして足がどうみてもタコの足で8本ほど。
見た目よりもタイム星人がいることのほうが驚き。
地球が所属することになった138銀河において逆らえる星なんかまずない【権力】の星。といっても日本でいうところの警察官に近い。
犯罪を起こす以外に接触方法なんかないと思ってたけどクラスメイトにいるだと!?
「ゴボゴボ」
水色のスライムが服を着てゴボゴボと。
これは本人がゴボゴボと言った――正しくはスライムの見た目で空気がごぼごぼと外に漏れた、地球のパソコンに身体をしみこませるとパソコンから声。
「『ライム星人のス・ライム・ショゴラです』」
なるほど合成音声だ、ゆっくりなのでこれなら私たち地球人でも聞き取れる。
「ギョロメ星人:ナガシダイ・ソウジ……俺は地球暮らしが長くて、そこの地球人男性とは友人なので地球には詳しいっす」
マグロに人間の足が生えた見た目のサカアシ星人。
その見た目から地球人には嫌われがち。
世界的に見ればサカアシ星人はイケメンでモテすぎて地球に逃れてきたものもいると噂。
「アオン星人:ハンティング・ドッグ……顔が怖いと感じるかもしれないが、俺は別に不機嫌だったりはしないから気軽に話しかけてくれ」
狼の顔をしているけど二足歩行で【制服】もちゃんと着ている。
確かに怖い顔と言えなくもない。
でも、尻尾がブンブン動いている。
「ギタイ星人:マボロシ・ググルシ 僕たん地球人大好き!!」
制服こそ着ているが顔は緑のアメーバの中にハテナマークが浮かんでいる。
ライム星人と違うところだが彼は顔がずっと動いているのだ。
うねうね、うにょうにょ。でも中身のハテナマークはそこまでうごかない
「ゴド星人:ミコ・テンシ いわゆるオネェって奴よ」
ゴド星人と言えば情報が全然でてこなくて困った宇宙人だ。
情報規制でもされているのかおおよその身長から色から何もかも不明。
激レアSSRの宇宙人とクラスメイトになれるとか最高すぎる。
「ヨタバナシ星人:ヨタバナシ・ワ・オススキーやで、クラスメイトの男!! 特にイケメンは全部ウチのもんやさかいよろしゅう!!」
ポニーテイルの大阪っ子っぽく聞こえるけどヨタバナシ星人らしい。
男が好き過ぎて犯罪もよく起きる。
男湯にヨタバナシ星人が忍び込むなんて事件は朝、よくテレビでニュースになる。
「キュウカタ星人:ランドセル・セオッタ せーくん、皆と、仲良く、なりたい」
真っ黒い身体、単眼と口にいくつもある黒い手と足。
なんていうか人外度が高くて大変良い。
彼はまだキュウカタ星人にしては幼いらしい、大人になると今の100倍の大きさに。
だから小さいうちに地球へ遊びにきているらしい。
「地球人:和太鼓・バチスケ 俺は地球人が嫌いだ」
普通の男子高校生、でも地球人が嫌いな地球人とは珍しい。
いや私も人のこといえないよね。
誰も彼も魅力的過ぎてやばい、皆可愛い。
卵を食べさせて欲しいなぁ……。
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