大悪神 ヒーローが悪落ちする話

宝者来価

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114話 シゲルのヒーロー1

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小さな頃の出来事


「あんた中々イイ男ね」
「……」
「おにぎりあげるわ」
「いいの!?」


後に世界大戦と呼ばれる時代に魔女と名乗る彼女は僕を拾った
自分は孤児となって長かった
年上のお姉さんがくれたおにぎりをあっというまに食べ終わる

「あんた名前は?」
「僕は茂です」

彼女が心を操って魅了する魔法は僕を酷く安心させてくれた
他にも数名が『誘拐』され仲間に
魔法で従える彼女はまさしく魔女である

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

月日は流れ
籠と呼ばれるホテル
レーネ様のお部屋にて

「レーネ様?」
「……あんた今日は解放の日でしょ?」
「そうですね」

解放の日
心を操る彼女から解放される日付の事
発狂する者などが出て正直あまり好きではない
彼女に脅えて逃げ出す者や開き直って好き放題やる者もいる

「何で外に行かないの?」
「ここで飼われているからとしか言いようがないですね」
「そう?」

我が家にいるような感覚で
むしろ外より『リラックス』できていると僕は思う
休日に家で過ごしたい者は沢山いる


「……レーネ様はどちらに?」
「アタシも少し寝るわ」
「布団の取り換えは?」
「別にいいわ、今日あなたたちが何してもアタシは叱らないもの」

僕だって礼音様にホれている訳ではない
選択を奪われずっとここに閉じ込められたのも事実なのだ
拾われなければ飢え死にしていた為に大きな恩はある

きっと感覚で言えばお祖母ちゃんに近いのだろう

「魔法で済ませるんです?」
「……アンタ生きていたい?」
「礼音様が逝けるようになったら一緒に逝っていいですよ」
「冗談かしら?」
「本気です」
「呆れた子だね」

彼女は眠そうにベッドへ入った
そして老けていく
本当ならば100を超える老婆

魔法が解ければ当然こうもなる

「お休みなさいませ」

戻ってきた男が一人

「お前また『休日』にここで過ごしてるのか?」
「礼音様が寝たばかりだから静かにして貰いたいのですが」
「チッ」

どのような事があれど悪い行いは悪でしかない
心を操らなければ怨まれていて当然だ
彼女は顔がいい男たちを愛する者がいようがお構いなしに集めた

寝取り何て生易しい表現を超えている

彼女と仲がよく見える自分への舌打ちぐらい可愛いものだ


「博(ひろし)様は何故お戻りに?」
「気になる動きが色々あったからな」
「確かにここ最近は変化が激しいですね」

昭和生まれのお爺さんな自分
テレビが7色になった時ですら驚いたのに
今ではゲームというものもある


「それも確かにあるけどよ……ヒーロー連中が何か妙なんだよな」








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