大悪神 ヒーローが悪落ちする話

宝者来価

文字の大きさ
上 下
110 / 123

107話 大切なもの

しおりを挟む
「ただいま」
「兄貴お帰り」

例のボロ小屋に兄貴が帰って来た


「晩御飯の支度―――」
「俺がやった、兄貴が休めるように」
「えらいなぁタカヒロ」

頭を撫でられた


「兄貴はごはん食べれる?」
「食べる」


新しく買った食器で二人分用意した
メルドは大人しく口をつけている
全部食べおわって

「ごちそうさま、眠い……」
「今布団しくから」
「ねぇタカヒロ」
「うん?」




「悪神になってよ」





「ああ『分かった』」
「……そうすれば辛くないよ」
「兄貴が薦めるなら俺は受け入れるさ」


メルドはしばらく顔も体も宇宙空間みたいになった後で


「本当に疲れた」
「寝ようぜもう、おやすみ」
「もう起きたくない」
「いいよ」
「……」
「兄貴が寝てても俺、友達いっぱいいるから寂しくないし」
「そうだね」

布団に入って眠りについた
今までで一番穏やかな顔で
蝋燭の灯を消した


「おやすみ」

―――――――――――――――――――――――――――――――

2か月後



「……う~ん」
「おはよ兄貴」
「メルドさん起きた!?」

ラギが抱き着いた


「ごめんねぇ、まだ、かなり……眠いんだ」
「いいの、メルドさんいっぱいがんばって来たから沢山眠いんだよ」
「……籠の子たちは『まだ』正気?」
「まだ大丈夫」
「……おなかすいた」

すくの?


「パンならあるけど」
「いただきます」

渡したパンをゆっくり食べるメルド


ピピピピピ


「僕っ行かなきゃ」
「……どこへ?」
「第三教団が出たみたい」
「また会えたのに、嫌だ」
「ついてくる?」
「うん」


変身して現場へ向かった


――――――――――――――――――――――――――――

街中のビルがならぶ屋上にて


「……なによそれ?」
「介護だが?」

背中に背負っている兄を下した


「メルドさん、待っててね」
「足手まとい持ってきて勝とうなんて舐めてるのかしら?」
「……敵のアンタに何いっても仕方ねぇだろ」



攻撃が始まり相変わらず避けられず喰らう


「ほんとアンタ毎回よくまぁくるわねぇ」


全身の痛みよりも兄貴が心配だった


「……タカヒロをいじめた?」
「大丈夫、今ボコボコにすっから」

ヒーローやってて思った事
何度も奴らと叩かって身体をバラバラにされて
それでも立ち上がったのは俺の正義を貫きたかったから

悪神の事はどうしようもなくても、救える人は救いたい



「いじめた……の?」
「まぁ、そうだな」

「めっ」


第三教団に向かってメルドが指ではじいた
身体が粉々に砕ける第三教団のアルフ
内臓が飛び散ってグロイ


「なんで‥…『本体』まで?」
「本体?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...