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第55話 訓練5
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今までのが加減だったのだと分かるほどに、メルドの洗脳は強くなっていた
バチッ!!!バチンッッ!!!バチンッ!!!
「い、ぎっ!?ぐ!?」
「チッ、プロテクトが中々破れやしねぇ」
これ以上耐えるのは無理だ、と、思った瞬間だった
「何してるの!?」
「あ、ラギちゃん」
「タカヒロ君に、は駄目ッ!!!」
部屋に入って来たラギが、メルドを止めた
「ん~~~ちょっと、忘れて欲しい事があってさぁ」
「駄目っ、僕の、一緒のッヒーロー、のッ!!!」
「泣かないでラギちゃん、分かった、分かったからねぇ」
――――――――――――――――――――――――
眠っていたようで、目が覚めた
「……あ、良かった気が付いた」
「ラギ?」
ラギと、古い煙草をふかして椅子にいるメルドの姿が写る、
というかここはどこだ
ベッドなのは分かるが畳の部屋でどう見ても和室
灯が部屋の隅に置かれた提灯だけでやけに暗い
「どこか痛かったり、しない?」
「それは平気なんだけど、ここどこ?」
「メルドさんの寝室だけど」
煙草の煙が香る、なのに咳き込んだりしなかった
臭いとも思わないし異様だ
この香りが煙草だと分かるのに、嫌な思いを全くしていないのだ
「あんた、一体何考えてんだよ?」
「んー?」
「俺はアンタの敵だろう?」
「敵?それはそっちデショ、君の敵が俺ちゃんなだけよー」
俺は、敵じゃないってか?
でも悪神の今までを考えると確かに【敵】と呼べるものは無いかもしれない
ヒーローは【玩具】であって、遊ぶだけの物
「チッ」
「目が覚めた所で質問、レッドちゃんさー、俺ちゃんの記憶見た?」
「……」
「見てないって言い張る気ぃ?」
「いや、アンタの【家族】らしき、いや、でも縞々の子供は違うよな」
あの記憶、おそらく縞々の子は兄弟ではない、かと
バンッ
何かの音が、上から聞こえたと思ったら、屋根がふっとんでいた
夜空に星が見えてキラキラと輝いている
一体何事かとベッドから起きて襖を開ければ、日本庭園の庭に吹っ飛んだ屋根があった
「ふー……」
「お前、マジで何考えてんだ」
「家族だ」
そういうメルドの顔が、恐らく生きてるならありえない状態になった
存在しないと言う方が正しいだろう
首から上がブラックホールと化している
「先輩、も家族いたんですね」
「……いたよ」
「兄弟、ですか?」
「俺ちゃんが長男だったよ」
「優しいお兄ちゃんがいたら、こんな感じなのかなって、思ったんです」
「そっか」
メルドが、恐い
だけど今までの【敵としての恐さ】ではない
今まで人外だとはずっと思っていたが、やっと理解した気がする
「……人間が、そうなっちまうのか」
「ラギちゃん、レッドちゃんから記憶、取るね」
「ふざけんな」
「俺の事だけだよ、それは知ったら駄目、俺ちゃん忠告で言ってる」
「忠告?しらねぇ、俺にとっては敵の」
「……」
ラギがッ泣いて!?
「い、いやなのか?ラギが嫌なら、忘れるっ、忘れるから!!」
「忘れなくて、いいよ、僕らヒーローだから」
「え?」
「先輩のこと、助けられたら、いいのにな」
「ほら、もうお帰り」
バチッ!!!バチンッッ!!!バチンッ!!!
「い、ぎっ!?ぐ!?」
「チッ、プロテクトが中々破れやしねぇ」
これ以上耐えるのは無理だ、と、思った瞬間だった
「何してるの!?」
「あ、ラギちゃん」
「タカヒロ君に、は駄目ッ!!!」
部屋に入って来たラギが、メルドを止めた
「ん~~~ちょっと、忘れて欲しい事があってさぁ」
「駄目っ、僕の、一緒のッヒーロー、のッ!!!」
「泣かないでラギちゃん、分かった、分かったからねぇ」
――――――――――――――――――――――――
眠っていたようで、目が覚めた
「……あ、良かった気が付いた」
「ラギ?」
ラギと、古い煙草をふかして椅子にいるメルドの姿が写る、
というかここはどこだ
ベッドなのは分かるが畳の部屋でどう見ても和室
灯が部屋の隅に置かれた提灯だけでやけに暗い
「どこか痛かったり、しない?」
「それは平気なんだけど、ここどこ?」
「メルドさんの寝室だけど」
煙草の煙が香る、なのに咳き込んだりしなかった
臭いとも思わないし異様だ
この香りが煙草だと分かるのに、嫌な思いを全くしていないのだ
「あんた、一体何考えてんだよ?」
「んー?」
「俺はアンタの敵だろう?」
「敵?それはそっちデショ、君の敵が俺ちゃんなだけよー」
俺は、敵じゃないってか?
でも悪神の今までを考えると確かに【敵】と呼べるものは無いかもしれない
ヒーローは【玩具】であって、遊ぶだけの物
「チッ」
「目が覚めた所で質問、レッドちゃんさー、俺ちゃんの記憶見た?」
「……」
「見てないって言い張る気ぃ?」
「いや、アンタの【家族】らしき、いや、でも縞々の子供は違うよな」
あの記憶、おそらく縞々の子は兄弟ではない、かと
バンッ
何かの音が、上から聞こえたと思ったら、屋根がふっとんでいた
夜空に星が見えてキラキラと輝いている
一体何事かとベッドから起きて襖を開ければ、日本庭園の庭に吹っ飛んだ屋根があった
「ふー……」
「お前、マジで何考えてんだ」
「家族だ」
そういうメルドの顔が、恐らく生きてるならありえない状態になった
存在しないと言う方が正しいだろう
首から上がブラックホールと化している
「先輩、も家族いたんですね」
「……いたよ」
「兄弟、ですか?」
「俺ちゃんが長男だったよ」
「優しいお兄ちゃんがいたら、こんな感じなのかなって、思ったんです」
「そっか」
メルドが、恐い
だけど今までの【敵としての恐さ】ではない
今まで人外だとはずっと思っていたが、やっと理解した気がする
「……人間が、そうなっちまうのか」
「ラギちゃん、レッドちゃんから記憶、取るね」
「ふざけんな」
「俺の事だけだよ、それは知ったら駄目、俺ちゃん忠告で言ってる」
「忠告?しらねぇ、俺にとっては敵の」
「……」
ラギがッ泣いて!?
「い、いやなのか?ラギが嫌なら、忘れるっ、忘れるから!!」
「忘れなくて、いいよ、僕らヒーローだから」
「え?」
「先輩のこと、助けられたら、いいのにな」
「ほら、もうお帰り」
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