上 下
30 / 123

第27話 第3陣営とヒーロー 3

しおりを挟む
基地に帰ってきた。



会議室で、ヒーローが集まっていた。


「俺、生き残った……っす」

感動で泣いている新人をかこむ十二支


「新人なんか生きてるだけで褒めてやるよ本当、けどなぁ」

龍は不満げーに遠くに座っていた

「なになにー?どしたの?」
「敵を見つけたら何があっても一旦逃げろって言ってあったんだよ」
「え、逃げなかったの?」

確かに、通信はドライブからじゃなくて指示を出していた鼠の師匠からだった。

「……すいやせん」
「まーアタシから言わせて貰えば生きてたんだし良いわ!次を気を付ければいいのよ!」
「お、俺修行します!」

そう言って会議室を飛び出したドライブ


「あのやろう、また先走って」
「レッドハート、会議どころか治療も済んでねぇのに修行とか言ってる馬鹿を連れ戻してくれるか?」
「了解です師匠」








修行用のルームに来たのに、彼の姿は無かった。


「あれっ?」

部屋に何か取りにでもいったのかと、引き返し部屋を覗いた、ら。




「怖かったッ……うぅ……あんな、あんな……!」


膝を抱えて泣いているブレイがいた。
背中には第三教団、アルフにつけられたのか切り傷から生々しい血液が流れ出ていた。
声をかけていいのか、戸惑いこそすれど、戦闘での様子を思えば放っておく訳にも行かなかった。



「ブレイ、迎えに来た」
「……えっ、あ、すみませっ、ん!!」
「まだ身体の傷の手当てしてもらって無いだろう?ほら、医務室いくぞ」





―――――――――――――――――――――――――――

医務室、ここにはタカヒロも世話になっている医者が常にいて妹と弟も面倒を見て貰っていた。
伊能八子イノウハチコ女医であり、この基地の枢と言ってもいいほどに腕の立つ名医である。
ブレイの治療はかなり緊急に行われていった、最初に全身麻酔をする必要があり今は眠っている。


「あの怪我で動き回ってたの、ほんと何?」
「……俺、もう少し気付いてやるべきでした」
「気にしないでいいわ、ただドラゴンは人の怪我とか毎回甘くみるのよ」
「そうなんですか?」
「本来入院するような怪我でもいつもよ」
「ええと、ドラゴンさん多分、気付いててすぐ帰したんだと」
「ん?」
「すぐに帰還しろって、怒鳴ってました」
「怪我の具合を伝え忘れてたのかしらね?」

何かのデータをパソコンで確認する伊能、てっきり通信記録などだと思っていたが、そこには本人のデータ。
個人的な大木武礼のプロフィールがつづられていた。



生年月日 20XX年:11月14日
血液型:A型
家族 姉 『悪神』の被害に遭って現在行方不明とみられている
保護者:月卸実(酉:フェニックス)
備考:姉はFileー359の同時刻に行方不明、保護施設で一旦の保護をするもヒーロー側にも原因と見られる行動があったことが露見して大暴れするもそのヒーローが殉職している事を知り大人しくなる。
十二支(酉)の署名にてヒーローへ推薦される。




「これ俺が見てもよかったのかな……彼も、色々あったんですね」
「……まぁ貴方ほどのド級中々いないけども、私あなたには本当に感謝しているのよ?」
「え?」
「触発とでもいうのかしらね、貴方がいたから大悪神もラギちゃんっていう異質な悪神を創ったんだと思うわ」
「俺にはよく分からないんですけど」
「自慢心理、学校の隣のクラスだけサッカーボールがあって自慢されたら【ずるい】って子供たちは思うでしょう?でも頼めば自分たちも貰える、なら頼むでしょ?」
「そんな人間みたいな事アレが考えるんです?」
「案外あれで可愛い所あるのよ?」


大悪神ウガマを可愛い所がある、なんていうのは彼女くらいだ。
妹がよく【可愛い】というたびに女の可愛い分からない何て思ってきた。
不思議なおっさんの像に【可愛い】、世間で嫌われている気持ち悪い虫に【可愛い】


「……可愛いの日本語について辞書で調べたくなりました」
「明確に感情があるって事よ、自然災害とはいえ対策出来ない訳ではないの」
「それはそうですけど」
「あと、こっちの記録を見る限り悪神との戦闘へ彼を派遣するのは止めた方が良さそうね」
「え?」
「彼、【敵を前にして身体が動かなくなってる】みたいなの」
「そんな事あるんです!?」
「【日常茶飯事】ね、十二支だって経験があるものは多いの」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...