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50話 来世で会おう

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「ごめんね恭平君、来世で会おうか」

唐突に池へ突き落された
信じていたのに何ていう絶望は無く
送り出してくれた恩人への感謝で






とある高校生が会話をしていた。


『肝試しに行こうぜ』
『二人一組でペアになって』
『俺XXと~』


「い、一緒だね」
「おう……そう、だな」

お互い気がある事はなんとなく気付いているが
関係が崩れてしまうのが怖くて言い出せずにいる関係
そんな中で肝試しとなった

実はじれったい二人をいいかげんくっつけてしまおうと計画されたもので

『いいか、手筈どうりにやるぞ』
『おーっ』

夏の夜に丁度いい肝試しのスポットへ足を運ぶ
大昔に怨みを買って無くなった者たちを沈める祠が山奥にあり
そこには昔から本当に霊が出るので老人たちは口をそろえてあそこへは行くなという

だが若者たちの世代までくればもう科学が中心の世界


『本物が出たらどうしよ……?』
『出る訳ねぇだろ』
『ここさ、二人だけの筈だよね?』
『怖い事をいうんじゃねーよ』

青い火の玉が妖しくゆらめく
それは決してしかけではない
誰もそんな話は聞いていないのだ

『じゃあ、アレ……何?』
『誰かが花火を仕込んだんだろ!!』
『そうだよね』

「君たちこんな時間に何をしているのかな?」

突如あらわれた自分たちの他にいた人間


『す、すみませんここの地主さんですか?』
『私たちちょっと――――』

勝手に入った事を謝罪する前に彼らは逃げ出した
近づいて来たその容姿は布があまりにもボロく
まだら模様の皮膚は腐りかけていたからだ

ゾンビが出たと逃げていくが肝試しをしている彼の耳には届かない


「なんだか騒がしいね」
「怖いなら無理しなくていいんだからな」
「そういってくれるのが嬉しい、一緒だから頑張れる」
「可愛い事いうと俺が襲っちまうぞ―――何てな」

人が見ていたらあまりの甘酸っぱさに悶えているような会話
お互いにそれが分かっているので二人して顔は真っ赤になる

ようやく祠にたどり着いたら何故かクラスメイトの荷物が落ちていた。

「どうしてこれが落ちてるんだ」
「おどかそうとして……落っことしてどこかに行ったとか?」
「あ、あれ何!?」

炎につつまれて人が現れる
その雰囲気はゾンビと言われても納得するほど
人間ではないというより生きているとは到底思えない者


「独り身の者か?」

お化けは二人に問いかける
ここで彼らは最初に聞いた伝説を思い出す
何でも山の神様は独身で相手がいない者を誘拐してしまう
それから逃れるためにはキスを見せなければならない
二人をくっつけるための口実だとうすうす感づいてはいたが

「ち、ちがいますカップルです」
「えっ」
「キスだってほら、出来ますよ」

突然あらわれた本物のお化け
冷静に幽霊の前でキスを見せる
お化けはにっこりと不気味に笑った

「キョ、ヘ」

二人とも首をかしげるような言葉だったが
何故か不気味に思いつつも背を向けて逃げようと思えず
一旦このおばけがどう出るかと様子を見た


「モウ、コッチにくルンジャナイヨ」

お化けは姿を消して開いていた祠はパタンと音をたてて閉じる

「なんだったんだろうな?」
「……ぼ、僕らちゅうしちゃった、ね」
「嫌だったりしてない、よな?」
「う、うん―――」
「手ぇかせ」
「え?」
「あんなのいるんじゃ繋いでおりるしかないだろ」
「うん……一緒に行こうか」


山を降りる二人を見送る数人の男たちの影

「中々イケメンなの捕まえたじゃねぇか」
「恭平さんの事を不幸にしたら本当に呪いますからね」
「人の事を見守って無いで羅宇ちゃん転生しなよ」
「こんどは長生きしろよーッ!!」
「その者を大切にするのだぞ!!」


聞こえるはずのない声に
振り向いても夜の山がただ暗い
けれども集落がそこにはあるような気がして

「どうした?」
「……付き合ってくれるんだよね?」
「き、キスしちまったから責任はとる!!」
「これからよろしくお願いします」
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