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47話 本当は
しおりを挟む「お金持ちのお兄さん、どうしてテントから出て来たの?」
「化ケーション(バケーション)中なので」
「ばけ?」
「長いお休み……夏休みって分かります?」
「夏休み中なの?」
「もっと長い休みです、恭平君も長いお休みの間ですよね」
「……」
「どうかしましたか?」
「僕はどうしてここに来たか覚えて無いんだけど、いいのかな?」
「そういう方も沢山いますから」
彼をどうにかして繋ぎ止めたい
これは非情な我が儘だ
例え消えてもせめて最後の時を安らかに
「恭平くんあそぼ?」
「あっテツヤ君……僕でもいいの?」
「うん、おいでよ」
子供の姿をしている彼だ
こんなオジサン相手にするより友達と遊ぶ方が楽しいかもしれない
寂しくも見送った
「……」
テントに戻ると千代がいない
軽く探したのだがそれでもいない
こういう事は珍しくはないが
「……まさか」
恭平に何かしていないか心配になり向かう事に
彼らが校庭のような場所にたどり着くも千代の姿は無い
一応一安心した
「あれっ?どうしたんだよラウ」
「少し心配になって来ただけです」
「……まぁ、いいけどよ」
子供たちがサッカーという球技で遊び疲れるまで見守った
テツヤ君がとても楽しそうで良かった
彼は友達とやらが来たらどうするのだろう
「僕、お家に帰る時間だ」
「……そっか」
「遅くなってもヒカリさん怒らないよ?」
「お夕飯たべないとだから、ごめんね?」
そして彼は帰路についた
「……晩御飯か」
「ラウは晩御飯食べるの?」
「これからはその予定です」
「料理は出来ただろ?」
「ええ」
「余分に作っておきなよ」
恭平の分はヒカリが食べさせるし他に必要ある者はいない
何てのはただの誤魔化しに過ぎない
千代に作ってあげたらいいと言っているのは分かっている
テントに戻って明治によく食べていた食事を作った
「……千代シチュ―が出来ましたよ、食べませんか?」
「頂きます」
机に乗せたシチューに手を合わせて食べ始める
―――――――――――――――――――――――――――――――
あれは死んでから少しした所で
折られる木々
突如として出来る穴
誰も持って無いはずの本が浮く
ガラスが割れたりもして危なかった
散らかった入江の家で会話をした
「別にここへ女性がこれない訳じゃない」
「……そうなんですね」
「女性の方が嫌がるってだけ、人殺しの衆道集落なんて嫌な子おおいからさ」
「!?」
「あっそうか人殺しって言い方はまずい?」
「……戦争の方ではなさそうですね」
「小さな女の子を殺したでしょう、君」
「はい」
最早隠すことは出来ないし
被害はどんどん増えてしまっている
いくら傷つかないとはいえ度が過ぎてしまった
「本当はとても嫌だったとか後悔してる、あってる?」
「え?」
「……時間はあるから本当は何が良かったのかぐらい考えたら?」
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