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45話 天国

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「戻りました……ヒカリさん」
「入江さんは?」
「自分のテントに帰りましたよ、安静にしているそうです」
「流石にずっと起きてたから疲れたんだろうな」


テントに戻って来た、と自分では思ってる筈なのだが


「あのぅ、これ家になってませんか?」
「アパートの1LDK」
「簡単に変更出来るんですね?」
「俺だけじゃ難しいけど、大工さんに頼んでみた」
「お金大丈夫なんですか?」
「向こうからすればただのコピペだから」
「コピペで家たつんだ?」
「これでも男2人で暮らすには狭いけど前よりはいいだろ?」
「……何から何までやって貰ってすみません」
「いいって、それより手紙っつうかチケット来てる」

手紙?チケット?

「誰からです?」
「……人体実験集落グループのトップ」
「え?」
「こういう集落って『自分が何かの役にたつなら』ってクズについていく奴たまにいて」
「恐い人なんですかね?」
「今後の為に見学でも行くか?ただ……」
「ただ?」
「お前さんはまだ死んでからの経験が浅いから心配でな?」
「別に死にはしないしすぐ治る事には治るんですよね?」
「そう、俺が怪我したのが異常なの!ちなみにこの家は大工の友人からの見舞い品だ」
「家って見舞い品になるんですね!?」

見舞いってよく知らないが果物とかじゃないか?
死を連想させるものは駄目だとかも聞く

「あとは線香とか」
「見舞い品で線香」
「慣れると美味いぞ?」
「食べる人がいつとは聞いてますが、どうやってたべるんです?」
「実演すると、こう」

ポリポリ

「そんなプリ〇ツみたいな食べ方するんですね」
「死んで長い奴ほど美味く成るらしい、俺はあんま好きじゃない」
「すみません、僕の為に……」
「これぐらい別にいいけどよ?チケットが届いた訳だし少しだけ見学するか?」


僕は襲われたりして危ない
見張りだっているそうだ
自分が子供なら甘えていられるだろうか

こんな自分では

「僕はもう、大人ですし」
「そうか?」


身体が、消えそうなほど軽くなっていく


「あ……」
「恭平!?べ、別に子供でもいいんじゃねぇかな!?」
――――――――――――――――――――――――――――――

気が付けば僕は『知らない人』の前にいた


「ここ、どこ?」
「……えーと」
「お兄さん、だあれ?」
「忘れちまったのか?『お姉ちゃん』にここで暮らすように言われただろ?」

言われた気がしてきた

「そ、うだったような?」
「俺はヒカリ、今この集落の長に連絡するからすこし待っててくれ」



少し時間が経つと


「あら~可愛い」
「ぼ、僕は山下恭平です」
「オジジはねぇ入江中守っていうの」
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