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43話 きぬ
しおりを挟む「入江さんッ」
「……あぁ恭平ちゃん無事だったのか」
目が覚めた様子の入江だったが、まだ立ち上がれるほど回復はしていなかった
「問題は多分、解決したんですが」
「何があったの?」
「変な女性の方が、入江さんに会わせろって来ているのですが」
「もしかして『きぬ』って名乗った?」
「え、えぇ」
「……入っておいでよ、いるんでしょ?」
ドアを開けて入って来た『きぬ』さん
「久しぶりね」
「君が出て来たって事は、やっぱり創成の何かが問題おこしてた?」
「『嫌な集落に誘拐された時の装置』が作動してたわね」
「世界の調整って難しいねぇ」
仲は、いいような悪いような
「お二人って、どのようなご関係者なんですか?」
「集落とかの仕組みを作った……その前からこのクズとは身体の付き合いがあったわね」
「ゲイなのに?」
「側室って言葉分かる?」
「えーと、確か『子供を産ませるための女の人』であってます?」
「大体あってるわ」
「僕の側室だった人だね」
うん
「皆さん嫁いすぎじゃないですか?」
「嫁じゃないよ側室……」
「子供いるなら放置するのは止めてくださいね?」
「……」
「入江さんも、殺したとかいいだすんですか?」
「どこまでを差すかによるなぁと……家系図こんなだし」
入江中守と『きぬ』の間に八名が書かれていた
さらにとんでもない量が下に続いていく
更には『きぬ』の他にいくつか女性らしき名前で間に何名もいる
「おじじ子孫がむちゃくちゃいるからさ?」
「……」
「別に会いたければ来ればいいと思ってるけれどね?今の所こんなクソジジィに会いにきてくれた子はいないなぁ」
「入江さんが拒否してるとか?」
「オジジは可愛がりたいんだけどねぇ……あ、ちなみに子供も入江ね?」
「そういえば下の名前って」
「中守(なかもり)だね、いいよぉ中さんとかよんでくれても」
「入江さん創設者って一体?」
「……集落の仕組みを作った人たちでね?衆道集落を作ったのがオジジ」
「作れるもの何ですか?」
「うん、作るって事じたいは実はどんな事でも簡単なんだよね」
「そうです!?家とか大変じゃないですか?」
「『ちゃんとした』家でなければ簡単だよ、ほら羅宇だってテント貼って家だと言ってるでしょ?そんで千代ちゃんどうなった?」
「彼女ならいまは羅宇さんに手を引かれていますよ」
「お姉さんは?」
「家に帰りました」
本当に自由と言うか
いや帰ってくれて弟としては大変有難いのだが
「自分がうじうじしてる時に尻を叩いてくれる人って貴重だよ?」
「……そうですね」
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