上 下
40 / 50

40話 破壊された像

しおりを挟む



「これで、案内はおわり……」
「何でこんな崖上みたいな場所に済んでる人いるんだろう」
「さぁ、じゃあ戻」


ホラーゲームのドッキリ演出ほどの突然でカエルは現れた
だが自分たちの傍ではなく集落の中心でバカでかいのが鎮座してるのが見える
中央にあった石像が崩れたのか『ガシャリ!!』と大きな音


「いっ入江さん!?」
「ひっ……!」


鈴木とヒカリは電光石火の早業でカエルに近づいた


「今度は逃がさない」
「捕まえてやる!」

だが何故かカエルは舌を伸ばす事もなく忽然と『消えた』のだ
恭平がたどり着いた時にはもう姿がない
だが壊れた石像と血を流して倒れている入江はいて

「なんでアの世で怪我して!?」
「レイシェル!!怪我人が出た場合の想定ってしてるか!?」
「……」
「おい!?」

何も話さないのではなく、話せないのだと思った
巨大な力の前では声を出すのも勇気が沢山いる
なすすべのない自然災害ならなおさらだ

「これ消滅したり、しないよね?」
「石像が壊れたからショックで喋れないとかか?こんな石像なんか戻そうと思えば」

叫び声がその場を裂くように響いた

「触らないで!!」

やっと出た声は、怒りに満ちていて


「男が触ったら駄目?」
「やっと、壊れたのに!!」
「え?」
「何で、あんたなのよっほんとに最悪!!!」

ラウの手からシュルシュルと音をたてて包帯が出てくる
ゲームで見慣れてる何も無い空間から物が出てくる様子
『治療』という行為は分からないので見ているしか無かった

「入江さん、意識あります?」
「……」
「無いみたいですね、とりあえずカエルにまた来られたら厄介ですし一度ここを出ましょう」
「動かして平気なんですか?」

ラウの懐から担架が出て来た


「動かさずにもう一度カエルに襲われるよりいいです、街に行きましょう」



―――――――――――――――――――――――

街にて

「医者を」
『うわ!?また怪我人!?』


事件が相次いでいるらしく本来ありえない『病院』に入江は担ぎ込まれた



「はー、本当にどうなってやがる」
「鈴木総司令!ここいいたんですか」
「さがしましたよ!」

ん?総指令?

「死にもしないここで怪我もすぐ治るここで、あいつはカエルの下敷きだ」
「怪我の具合は?」
「頭からの出血と肋骨と足の骨を折ってるらしいがどう思う?」
「よく死ななかったってのは変ですかね」



鈴木さんをかこむ人々の腰が低い

「ヒカリさん、アノ人もしかしてすごく偉い人?」
「だな」
「その割に皆さんと仲よさげというか」
「社長になったら祖父に肩もんでって言われて断るようになるとでも?」
「僕に祖父いなかったので例えがよく分からないです」
「じゃあお前が集落まかされたら姉に逆らえるようになるか?」
「無理です」
「入江さんはなんだかんだで面倒見いいからな、生きてる時にやった事はクズらしいけど」
「えっ知らないんですか?」
「知る前に集落でてきたからな、恭平は知ってるのか?」
「……知ってます」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜

ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。 王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています! ※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。 ※現在連載中止中で、途中までしかないです。

病んでる僕は、

蒼紫
BL
『特に理由もなく、 この世界が嫌になった。 愛されたい でも、縛られたくない 寂しいのも めんどくさいのも 全部嫌なんだ。』 特に取り柄もなく、短気で、我儘で、それでいて臆病で繊細。 そんな少年が王道学園に転校してきた5月7日。 彼が転校してきて何もかもが、少しずつ変わっていく。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 最初のみ三人称 その後は基本一人称です。 お知らせをお読みください。 エブリスタでも投稿してましたがこちらをメインで活動しようと思います。 (エブリスタには改訂前のものしか載せてません)

朝目覚めたら横に悪魔がいたんだが・・・告白されても困る!

渋川宙
BL
目覚めたら横に悪魔がいた! しかもそいつは自分に惚れたと言いだし、悪魔になれと囁いてくる!さらに魔界で結婚しようと言い出す!! 至って普通の大学生だったというのに、一体どうなってしまうんだ!?

【完結】僕の大事な魔王様

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
BL
母竜と眠っていた幼いドラゴンは、なぜか人間が住む都市へ召喚された。意味が分からず本能のままに隠れたが発見され、引きずり出されて兵士に殺されそうになる。 「お母さん、お父さん、助けて! 魔王様!!」 魔族の守護者であった魔王様がいない世界で、神様に縋る人間のように叫ぶ。必死の嘆願は幼ドラゴンの魔力を得て、遠くまで響いた。そう、隣接する別の世界から魔王を召喚するほどに……。 俺様魔王×いたいけな幼ドラゴン――成長するまで見守ると決めた魔王は、徐々に真剣な想いを抱くようになる。彼の想いは幼過ぎる竜に届くのか。ハッピーエンド確定 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/11……完結 2023/09/28……カクヨム、週間恋愛 57位 2023/09/23……エブリスタ、トレンドBL 5位 2023/09/23……小説家になろう、日間ファンタジー 39位 2023/09/21……連載開始

この道を歩む~転生先で真剣に生きていたら、第二王子に真剣に愛された~

乃ぞみ
BL
※ムーンライトの方で500ブクマしたお礼で書いた物をこちらでも追加いたします。(全6話)BL要素少なめですが、よければよろしくお願いします。 【腹黒い他国の第二王子×負けず嫌いの転生者】 エドマンドは13歳の誕生日に日本人だったことを静かに思い出した。 転生先は【エドマンド・フィッツパトリック】で、二年後に死亡フラグが立っていた。 エドマンドに不満を持った隣国の第二王子である【ブライトル・ モルダー・ヴァルマ】と険悪な関係になるものの、いつの間にか友人や悪友のような関係に落ち着く二人。 死亡フラグを折ることで国が負けるのが怖いエドマンドと、必死に生かそうとするブライトル。 「僕は、生きなきゃ、いけないのか……?」 「当たり前だ。俺を残して逝く気だったのか? 恨むぞ」 全体的に結構シリアスですが、明確な死亡表現や主要キャラの退場は予定しておりません。 闘ったり、負傷したり、国同士の戦争描写があったります。 本編ド健全です。すみません。 ※ 恋愛までが長いです。バトル小説にBLを添えて。 ※ 攻めがまともに出てくるのは五話からです。 ※ タイトル変更しております。旧【転生先がバトル漫画の死亡フラグが立っているライバルキャラだった件 ~本筋大幅改変なしでフラグを折りたいけど、何であんたがそこにいる~】 ※ ムーンライトノベルズにも投稿しております。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

【完結】『ルカ』

瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。 倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。 クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。 そんなある日、クロを知る青年が現れ……? 貴族の青年×記憶喪失の青年です。 ※自サイトでも掲載しています。 2021年6月28日 本編完結

処理中です...