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40話 破壊された像

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「これで、案内はおわり……」
「何でこんな崖上みたいな場所に済んでる人いるんだろう」
「さぁ、じゃあ戻」


ホラーゲームのドッキリ演出ほどの突然でカエルは現れた
だが自分たちの傍ではなく集落の中心でバカでかいのが鎮座してるのが見える
中央にあった石像が崩れたのか『ガシャリ!!』と大きな音


「いっ入江さん!?」
「ひっ……!」


鈴木とヒカリは電光石火の早業でカエルに近づいた


「今度は逃がさない」
「捕まえてやる!」

だが何故かカエルは舌を伸ばす事もなく忽然と『消えた』のだ
恭平がたどり着いた時にはもう姿がない
だが壊れた石像と血を流して倒れている入江はいて

「なんでアの世で怪我して!?」
「レイシェル!!怪我人が出た場合の想定ってしてるか!?」
「……」
「おい!?」

何も話さないのではなく、話せないのだと思った
巨大な力の前では声を出すのも勇気が沢山いる
なすすべのない自然災害ならなおさらだ

「これ消滅したり、しないよね?」
「石像が壊れたからショックで喋れないとかか?こんな石像なんか戻そうと思えば」

叫び声がその場を裂くように響いた

「触らないで!!」

やっと出た声は、怒りに満ちていて


「男が触ったら駄目?」
「やっと、壊れたのに!!」
「え?」
「何で、あんたなのよっほんとに最悪!!!」

ラウの手からシュルシュルと音をたてて包帯が出てくる
ゲームで見慣れてる何も無い空間から物が出てくる様子
『治療』という行為は分からないので見ているしか無かった

「入江さん、意識あります?」
「……」
「無いみたいですね、とりあえずカエルにまた来られたら厄介ですし一度ここを出ましょう」
「動かして平気なんですか?」

ラウの懐から担架が出て来た


「動かさずにもう一度カエルに襲われるよりいいです、街に行きましょう」



―――――――――――――――――――――――

街にて

「医者を」
『うわ!?また怪我人!?』


事件が相次いでいるらしく本来ありえない『病院』に入江は担ぎ込まれた



「はー、本当にどうなってやがる」
「鈴木総司令!ここいいたんですか」
「さがしましたよ!」

ん?総指令?

「死にもしないここで怪我もすぐ治るここで、あいつはカエルの下敷きだ」
「怪我の具合は?」
「頭からの出血と肋骨と足の骨を折ってるらしいがどう思う?」
「よく死ななかったってのは変ですかね」



鈴木さんをかこむ人々の腰が低い

「ヒカリさん、アノ人もしかしてすごく偉い人?」
「だな」
「その割に皆さんと仲よさげというか」
「社長になったら祖父に肩もんでって言われて断るようになるとでも?」
「僕に祖父いなかったので例えがよく分からないです」
「じゃあお前が集落まかされたら姉に逆らえるようになるか?」
「無理です」
「入江さんはなんだかんだで面倒見いいからな、生きてる時にやった事はクズらしいけど」
「えっ知らないんですか?」
「知る前に集落でてきたからな、恭平は知ってるのか?」
「……知ってます」
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