死んだら異世界に転生〜する前の境界にある集落で愛される〜

39話 視線の先

「ちなみにその子のお姉ちゃんがカエルに喰われて助けるためにおいかけてきた」
「は！？ちょっとそういう事は先にいいなさいよもう！！いい子じゃない」

手のひらの返し方がすごい

「川でお姉ちゃんに助けてもらった時に姉が死んじゃったせいであの集落に来たのよこの子」
「入江さん、僕も怒るよ？」
「あっはっは」
「人のプライベートをペラペラ話さない！」
「あはは、つねらないでよぉ」

レイシェルが入江をつねっているが別に痛そうにはしていない
まるで漫画のようにのびるだけだった
鈴木が手をあげて発言を開始した

「この集落で禁忌としている事は男が入る事でいいんだな？」
「そうよ、ここは本来なら女だけがいていい場所なの」
「バケモノのカエルが出た場合だが、戦闘に参加するのか？」
「しないわよ、って入江！」

一人で勝手に歩いて集落の中央に飾られたオブジェを眺めている入江
裸の女性が飾られている
レイシェルに似て綺麗なのだが

「これお前さん？にしてはこの石造尻も胸もでっかいねぇ」
「あんただけ追い出してあげましょうか？？？？」
「煙草すっていい？」
「火事になったらどうするんですか！？ほんとこの人は……！！」

「レズとゲイで喧嘩してないで案内してくれ」

「こいつが勝手にするから！」
「放置でいいのに優しいねぇ」
「煙草を出すな」


勝手に煙草を吸い始める入江




「もうそこでヤニ吸ってろお前、すまないなレイシェル」
「鈴木さんが謝る必要ないわ、あんなのがトップな集落って他にいないのかしら本当あなたたちはついてきて頂戴」


「……」

なんだろう、入江さんの行動に違和感がある
ふざけるのは確かに好きだし遊んでばかりな人
でも、意味の無い行動をするような


「おい、行くぞ」
「ヒカリさん、もしかして入江さんって」
「何かに気付いたのな黙っててくれ」
「え」
「とにかくお嬢さんに案内してもらおう」

男色家の集落と違ってテントでは無く皆が小さいが家である
大きな家もそれなりにあるが妙に離れている家


「こんなに端からはなれてるのは珍しいな」
「……お互い最悪な事をしてても、私を許せなかったりするのよ」
「入江の集落とここは男と女が違うだけって事でいいんだよな？」
「そうよ、女が女を愛せなかった後悔で来るのがこの場所」
「あと『自分には罪がある』と思ってる奴らでいいんだよな？」
「罪状を聞いたらはったおすわ」
「さっきバカみたいに重い罪きいたばっかりで腹いっぱい何でな」
「あら自分の罪をベラベラ喋るアホでもいたの？」

全員の視線が一瞬ラウに向いた

「……さぁな」
「いたのね」