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35話 真相
しおりを挟む「ここよ」
3.11への供物が並ぶ場所
前に魔物を出してしまったせいなのか、警備の人々が前より恭平に注目していた
「注目されて、ますね」
「俺が守るから、大丈夫」
「何かあったのかしら?」
「前にも来たけど、カエルが現れて……」
「変な事もあるのね?それよりも、あんた宛ての手紙があるのよ」
「手紙?」
そこにあったのは学校で見るような原稿用紙にかかれた作文
手紙と呼ぶには形式がおかしい気がする
「あんたはこれを見ないままに転生も消滅も選ぶべきじゃないわ!」
「何で」
「いいから読めバカ弟」
顔面に叩きつけられた作文を受け取って、仕方なく読み始めた
―――――――――――――――――――――――――――――
『つながり』
色んな事があって悲しくて辛い日に私は思わず「死んでしまいたい」とお母さんに言ってしまい、お母さんはとても悲しいと言って私が産まれるまでに起きた事を話してくれました。
私のお母さんは2011年の3月11日に海沿いにいました。
お母さんのお腹には赤ちゃんがいて、それは私でした。
不思議な事にお母さんの産まれた村では、お腹に赤ちゃんがいる女の人が海を見に行くと無事に産まれてくるって言い伝えがあったので大変だけど、来ていたそうです。
帰ろうとしていた時に大きな地震がやってきて、お母さんは黒い津波に飲み込まれてしまいました。
黒い黒い悪魔のような波は泳ぐ事が出来ません、車さえも押し流してしまう力に為す術も無かったそうです。
誰もが生きるのに必死だった黒い波の中で、若い男の人はお母さんから『お腹に赤ちゃんがいる』と叫んだのを聞いてお母さんに何とか近づいて来て突き飛ばしてきました。
すると、黒い波の中で硬い柱に気付いて掴んだおかげで助かる事が出来たのだそうです。
だけど波から上がるとお兄さんの影はもうありませんでした。
自衛隊の人に救助されている時に、お母さんは先ほどのお兄さんを見ました。
シャツが変わった模様だったのですぐに分かったのです。
地面に転がっていて、お兄さんは亡くなっていた事がその時に分かったそうです。
『ありがとう』と『ごめんなさい』を何度も言って、名前も分からないお兄さんに手を合わせました。
私の命は『つながり』お兄さんは天国に行ったと思います、名前も分からないけれど私がこれから先で死んだ時に出会ったら胸をはって『ありがとう』って言えるように、どんなに辛くても今日も生きて行こうと思いました。
いっぱい迷子の人がいたそうなので、もしかしたらお兄さんはまだ迷子になっているかもしれない
今度は誰かが天国で助けてくれると嬉しいです。
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