死んだら異世界に転生〜する前の境界にある集落で愛される〜

33話 最低な愛

ドカッ


「オヌシなんてことをするのだ！！」
「……はい」

菊里さんの拳骨がラウにとんだ
入江が優しく少女に語りかける


「まだ今回は消えないかぁ」
「……」
「おいで、おじじのお家で預かるよ」
「ラウさんは？」
「私が殺しているのに私が預かるんですか？」
「いや、その……」


『預かる』なのか

「なんか、その言い方は」

ゴチン！！

「痛いです」
「拙者もたしかに衆道を行く者、しかしながら娘に愛なきようにふるまうのは許しはせぬ」
「それは……」


地獄かなここ


「……あっ、もしかして」
「どうした？」
「ここに来る条件って、男で男が好きで愛せなかった以外にも？」
「自分に罪があると思ってる奴」
「ヒカリさんも？」
「あーその、この機会だからいうが交通事故で、居眠り運転で信号無視して親子を殺しちまってな」
「居眠り運転？」
「……疲れすぎてたんだ」

だから、この集落には人がよりつかないのか



「前に出て来た時は、ラウに悪戯だけしていったんだけどねぇ、よいしょ」

入江が千代を抱きかかえて連れて行った



「オヌシ本当は分かっているのであろう？」
「何をです？」
「あの子がオヌシに会えている時点で、受け入れる意志はあるのだと」
「ですが、私に彼女を愛する事は出来ませんから」
「出来なかったの間違いであろう？」
「皆さんに被害が出るようでしたら……容赦しません」
「女性を愛せないのは分かっている、子供づれでは確かに愛を受け入れてくれるものは少ないだろう、しかしな！娘への扱いが酷い者からの愛など余計いらぬわ！」

言えてる

「そうですかね」
「あの子を愛して欲しいとは言わないけど、優しくしてあげれないかな？」
「悪戯が酷くなるかもしれないですよ？」
「僕の感覚だと、ラウさん無理して彼女を追いだそうとしてる、よね」
「……」
「自分のしまつを自分で付けようとするのは立派だけど、僕は優しいラウさんが好き」
「私が好き？」
「ええと、一番って意味ではないけれど、好きは好きっだから！子供に手をかけるなんて事二度とやらないで！」
「ふふふ、ああ本当に優しい方だ」


やれやれとヒカリが入江を追いかけて


「何かあったら俺の所においで？ラウさんだろうと抑え込んでやっからさ」
「……んっ」


女の子とか関係無しに子供って、可愛いんだな


「恭平さん」
「何？」
「子供のいる私でも、愛させてもらっていいですか？」
「いいよ、だから……あの子から目を背けてたら駄目」
「恭平さんも目を背けているとずるずる引き摺りますからね、今見た通りに」
「僕も、立ち向かうよ」