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30話 傷者
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入江に触られそうになって、恐くて身体が動かない
さきほど笑っていたあの男だと理解してしまうと身体が硬直してしまう
嫌だとは思ってないのに
「……優しいな、お前さん」
「やるならっどうぞ!!」
「小型の犬みたいに震えてるのに手出しなんかしない、今はな」
気がつけば集落に、入江の家に戻ってきていた
「別にしてもいいですよ?」
「それよりちょっとお話でもしてようよ……あ、そうだ」
頬にキスされた
「なっ!?」
「ほんと可愛い坊や、これだけで反応してくれるんだもの」
「慣れてないからってだけです!」
「恐いもの見せたから眠れなくなっちゃったかな?」
「……もう僕は小さな子供ではありませんし、寝れますよ」
「オジジ寝れなく成ってしまったから、傍にいてくれると嬉しいなぁ」
「僕でよければいですよ」
布団に入るが、やはり先ほどの悪夢の光景がフラッシュバックする
「で、似た者どうしって何?」
「へ?」
「さっき君が言った『似た者同士』ってこんなクズな過去まず無いでしょ普通」
「……それは」
「先に俺が出した、あれだけの事を見せたのは信用してるから」
「僕を?」
「言いふらすタイプじゃないでしょ、あーオジジは何か聞いたらうっかり言うかもだけど」
「僕も人を殺してしまった、ので」
「何があったの~?」
「僕が死んだ日に」
=======================
津波ってこんなに臭いものだったのか
泳げない、流れに逆らえない
『おなかにっ赤ちゃんがっ!』
女の人が声を荒げている
助けなきゃと思った
その先に家が見えたんだ
家の側面に、頑丈そうな柱が見えていて
『掴んで』貰うつもりだった
突き飛ばした、ら
女性は、沈んでしまった
その先がどうなったかは自分が死んでいて分からなかった
======================
「へぇ」
「だから僕だって、優しくされていい人間じゃ」
「本当にそれだけ?」
「えっ」
「恭平ちゃんここに来てから『家族の話』一回もしてない」
「それは、そうだけど」
「性格の元になった出来事があったんじゃない?」
紙の煙草に火をつける入江はひどくずるいように思えた
先に見せられた壮絶な過去
自分も話さなければならない気がしてくる
「姉を殺してしまったんだ」
「いつ?」
「まだ保育園に通っていた頃に、僕が川で溺れて……その時に姉は僕を助けて流されて」
「ここアの世だよ?会いにいかない?」
「僕のせいで死んだ人に会っても、辛いだけだよ」
「あはは、オジジはもしおネェチャンにこっち来たヨっていいに行きたくなったらつれていく方法は分かるからいつでも言って?」
さきほど笑っていたあの男だと理解してしまうと身体が硬直してしまう
嫌だとは思ってないのに
「……優しいな、お前さん」
「やるならっどうぞ!!」
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気がつけば集落に、入江の家に戻ってきていた
「別にしてもいいですよ?」
「それよりちょっとお話でもしてようよ……あ、そうだ」
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「慣れてないからってだけです!」
「恐いもの見せたから眠れなくなっちゃったかな?」
「……もう僕は小さな子供ではありませんし、寝れますよ」
「オジジ寝れなく成ってしまったから、傍にいてくれると嬉しいなぁ」
「僕でよければいですよ」
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「へ?」
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「僕を?」
「言いふらすタイプじゃないでしょ、あーオジジは何か聞いたらうっかり言うかもだけど」
「僕も人を殺してしまった、ので」
「何があったの~?」
「僕が死んだ日に」
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助けなきゃと思った
その先に家が見えたんだ
家の側面に、頑丈そうな柱が見えていて
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突き飛ばした、ら
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その先がどうなったかは自分が死んでいて分からなかった
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「へぇ」
「だから僕だって、優しくされていい人間じゃ」
「本当にそれだけ?」
「えっ」
「恭平ちゃんここに来てから『家族の話』一回もしてない」
「それは、そうだけど」
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「いつ?」
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「僕のせいで死んだ人に会っても、辛いだけだよ」
「あはは、オジジはもしおネェチャンにこっち来たヨっていいに行きたくなったらつれていく方法は分かるからいつでも言って?」
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