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29話 入江のヒミツ
しおりを挟む気になり過ぎてヒカリが寝たあとに自分のテントを抜けだして入江のテントへ
だが手をだしてくれともいう勇気も無いので裏手でちょっと様子をさぐって
「何してんの?」
「わ!?」
「……悪い子だなぁ、人の家にを裏手からのぞこうなんて」
「ごっごめんなさい!」
「ラウあたりに火遊び教わった?」
「火遊び?」
「ヒカリに言ったの?」
「い、いいえ」
「オジジが今晩預かるって言ってくるから、家の中で待ってて」
「中に入っていいんですか?」
「いいよ」
入江の家に入って少し待っていたら、すぐに入江は戻って来た
「さて、どーするかな」
「僕は怒られますか?」
「そんな事はしないけど、『怒られる』と思って来た?」
「はい……勝手に家を抜け出したので」
出て来た手に殴られるかと身構えた
「オジジの秘密おしえてあげる」
「秘密?」
「少し恐い話だけど、恭平君……見てくれる?」
「僕でよければ」
――――――――――――――――――――――
気が付けば、夢のような場所にいた
古風で綺麗なお城が、巨大すぎて全体が見えない
豪華な着物を着飾った人々
その中に入江にまざった男が一人
「入江さん?」
「……」
一瞬こっちを見て、すぐ目線が戻った
奴隷とでもいえばいいのか手が縛られた男たちが連れられていた
『許してくれ』『おっかぁ』『まだ死にたくない』といった風に言っている気がする
時代が昔すぎるせいで言葉はただの推測だ
しかし時代が違っても囚われた人間が何をいうのかは変わっていかない気がした
やがて牢屋に二人、残った一人はさらに奥に連れ込まれて
大勢が見ている中で入江らしき人物がその男を犯した
「えっ」
縛られた裸の男が犯されるのをゲラゲラ笑いながら、彼らは見ているのだ
誰も『助けよう』とはしない
終わると男は動かなくなって、何かに包まれて川に捨てられた
あれでは泳ぐ事もなく助かる事はないだろう
「……」
捕まった残りの二人のうち一人が、頭を下げて震えていた
蹴飛ばされて嘲笑われ犯されて捨てられる
こういう被害は女の人だけだとずっと思っていた
光が消えてゆき、真っ暗になっていく中で恐くて思わず丸まって目を閉じてしまった
「恭平君、こっちを見て」
「この声は入江さん、だよね?」
「目をあけて、ほら」
うっすら開けると入江は先ほどみた最低な男の格好をしていた
「ひっ」
「俺は死んでから長い間ずっと一人にされてた……何でかってのは今見た通り、生前は最悪な人間だったからだよ」
「でも、入江さんは僕には優しいです!」
「まだ出会ってほんの数日間だよ、信用しすぎちゃいけないよ」
「僕ら似た者どうしだと思う……」
「へぇ」
僕も『人殺し』だからと言ったら、入江さんは何と返してくるのだろう
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