死んだら異世界に転生〜する前の境界にある集落で愛される〜

25話 鈴木と入江

「私はヒカリの上官の鈴木正一（すずきしょういち）だ、君が山下恭平君だね？」
「はい」
「ハンターが集落へ付く事は珍しくはない、むしろ集落には一人はハンターがいるのが普通なのだ」
「えっでも、この集落にはいませんよね？」
「魔物が出ないから必要無かった」
「僕の、せいですかね？」

いつも自分のせいで、何かよくない方向に進んでしまう

「ふむ、報告にあった通りのようだな」
「報告？」
「気にするな、それよりも君自身は集落に戻る選択をしたいのか？」
「出来ればここにいたいです、けど」
「『けど』はいらない、ここにいたい意志があるのならお前はここにいるべきだいいな？」

強引な人だと思いつつも、お世話になってる人の上司では何も言えない
それに自分が集落にいてもいいと許して貰えたのはひとまず安心出来た

「ありがとうございます」
「それと魔物が出た時の為に一応だが剣の腕でも磨いておけ」
「僕が剣を！？」

ゲームでキャラクターが装備しているのと訳が違う
自分に出来るかどうかより、考えて無かったので驚きの声が出た
ごく普通に暮らしてきた日本人が今の時代（といっても平成）に刀持つのかと

「ハンターはいつでも募集中だからな、覚えておいて損はない」
「でも怪我する事とかあるうちは薦めないけどな」
「さて私は流石に集落から退出」

鈴木さんの後ろから迫る影

「しょーおーちゃん！」
「うわ！？」

入江が鈴木に抱き着いた

「うちの集落に来るなら連絡くれればいいのにぃ」
「貴様に会うつもりなど無かった」
「会えてる時点で許してるのにこのツンデレ～」
「奈良産まれのクソジジイが急に現れるな抱き着くな離れろ」
「ちゅうしていい？」
「死ね」
「もう死んでるよぉ～ん」
「いい加減にしろジジイ」

鈴木のパンチを入江はさっと避けていた、瞬間移動にも思える速さだった。
アニメのような機敏な動きは死んだ時はもう大学生だったものの中二心をくすぐる

「かっこいいですね、入江さん」
「お前ひとを見る目養ったほうがいいぞ、ここにいるにしても異世界転生するにしても！」
「まるでオジジが悪い奴みたいに言わないでよぉ」
「レイプで地獄いきまくっただろお前！！」

え？

「もー人聞き悪いなぁ、夜這いだよ夜這い」
「恭平君は大丈夫か？セクハラは嫌なら嫌って言っていいからな」
「レイプって、何したんでしょうか？」
「だーから夜這いだってば、寝てる子の布団におしかけて―――無理やり」
「本当にそうですか？」

直感とでもいうか、入江さんは嘘は言ってないけど何か隠している気がする
悪人でいさせてほしいから悪いように振舞って
本当は誰より優しいみたいなアニメキャラってこんな感じでは？

「無理ヤってるからあんまり信用されてもなぁ……」
「そうだぞ、こいつはロクデナシだ」
「辛辣」