死んだら異世界に転生〜する前の境界にある集落で愛される〜

宝者来価

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19話 届く心

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案内された場所は、長い道のりで両脇に大量の花が咲き誇っていた。

「すごく綺麗な花!」
「ええ、いつ見てもここの花は綺麗ですね」
「あの世の花って枯れないんだよ」
「え」
「枯らす事はできるけどな?とはいえずっと綺麗なままだ」
「そこまでいくと造花みたいだ……」
「私だって明治に死んだときから老いないからこの姿のままですよ」

花に囲まれた道の先には、大量の供物が置かれていた。

「ここにある供物は、あの日に亡くなったすべての人へ送られたものですから貴方は受け取る権利があります……私はこれに触れません」
「え?」
「見ていてください」

ラウがふれようとするも、お化けのようにするっと通りぬけた
だが、恭平の手は供えてあったポテチを掴むことができた。

「僕は、触れるみたいです」
「そうでしょ……」

それは突然の出来事だった。

目の前に現れたのは、大きなカエルのような怪物
恭平が持っていた供物を舌で奪うと食べてしまった。

「あっ!?」
「……ヒカリさん」
「こんな神聖な場所に魔物が出る何て聞いたことねぇんだがな」

ヒカリはいつのまにか剣を握って、魔物を真っ二つに切り裂いた。
思ったよりも弱く安心していたが供物は零れ落ちてしまった
そして不思議な事に魔物ごと消えたのだ。

「ええと、僕はやめておきます……また魔物が出るかも」

『ここで魔物初めて見たんだけど!?』

警備の人が驚いている
魔物が出るところと出ないところがあるらしく
供物を狙う魔物はいても、ここの供物を狙う者は珍しいと言っていた

「さて、私たちの集落に帰りますか」
『あんたら集落は何処よ?』
「おや?そんな事を聞いてどうするのです?」
『魔物は決まったやつを襲いやすい、集落に出るようになるかもしれないだろう?』
「うちは大丈夫ですよ、私もいますし……そもそも魔物が出られませんから」
『魔物が出られない集落なんて相当珍しいだろ』
「ええ、その珍しい集落です」
『今頃ここに来る奴も珍しいからな、何があったのか聞きにいっても?』
「あなたはこれませんよ」
『地獄系?』

地獄!?

「え、地獄あるんですか?」
「ある」
「裁判とかはありませんが、盗みとか悪口が好きな人たちの集まる場所です」
「行きたくねーだろ?」
「はい!!絶対に行きたくないです!!」
『あんたら―――』

「うぃーっす!」

入江が遠くで手を振っていた

「今日はこのへんで帰りましょうか」
「あのさ……変な事きくけど、集落の連中元気?」
「ええ、楽しそうでした」
「よかった」
「たまには帰ってきてもいいのでは?」
「俺はお前らと違ってバイだから居心地がちょっと違うんだよなぁ、でも考えとく」
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