死んだら異世界に転生〜する前の境界にある集落で愛される〜

14話 商店街

不思議な事に、恭平の腹が空いてきたし腹の音もぐーと鳴った。

「お腹が空いて、いるのですが」
「来たばかりだと『腹が空かない』イメージが沸かない奴そうなりがち」
「大丈夫ですよ、今作って……そうだまだ彼が出てきてません」

二人の案内で朝なのに夜のままな道を歩けば
何故か商店街に出たし、森を抜けたら普通に太陽が登っていた
人々が賑わい言葉が聞こえる、日本語な様子だった


「へ！？」
「にぎわっているでしょう？意外でしたか？」
「あの世に商店街ってどういう……事なんでしょう？お金とか無いですし」
「お金で買う事もありますが、欲しいと言えばくれますよ」
「えっ全部タダなの！？」
「よほど失礼な事をしないかぎりは、それとタダだからといって貰いすぎない事です」

二人の案内で『レストラン・コンコ』という店に入るがただのファミリーレストラン

「何名様ですか？」
「3人で……おや？」

先にレストランにいた男性にラウが気が付くと、肩を叩いて声をかけた


「うげっラウ！？」
「人の顔をみて『うげ』はないでしょう」
「ってか、その坊や誰だ？」
「新しく『男色家の集落』に来た方ですよ」
「今時来る！？」

今時？そんなに珍しいのだろうか、男が好きな人と思っていたが

「確かに今時、男との恋愛ができないと嘆いている人珍しいし実際少ないですけどね、いますよ」
「このLGBT時代に」
「何ですかそれ？」
「逆に何で知らないんだよ」
「えーと新しい事分からない、から？」
「この子は『平成』に亡くなってますので、まだ言葉を知らないんです」
「平成の死者が今になって来るか……あ、自己紹介しないとな！俺は森澤真一（もりさわしんいち）って者で、わりと最近ここにきた」
「どのようなご関係で？」
「俺も男色家ではあるけど、特に愛せなかったって事は無くて結婚して一緒に暮らしてた」
「そんな事あるんですか！？」
「確かに平成だと珍しいって感じるかもなぁ、現代ってどんどんそこらへん良くなってるから調べてみるのも面白いぜ？」

そういってワインらしきものを飲み干した、テーブルには皿が置かれている

「何か食べていたんですか？」
「旦那の手料理」
「えっと、男の人が旦那の手料理……？」
「BL漫画でも読んだらいいぞお前、貸してやろうか？」
「いいんですか？」
「ああ借りなくても大丈夫ですよ、私が本屋で買ってきますから」
「お前のそういう所ほんとうに嫌い」
「あのーお二人ってどういう関係で？」
「簡単に言えば俺が死んだ時に案内してくれた人なんだが……」
「何故か嫌われてしまうんですよね」
「こいつの『愛』はどちゃくそ重いぞ」

愛が重いと言われても想像できない
そもそも愛された事が無い
親の愛情のようなものだろうか？


「彼がNOだと言えば、それでも受け入れてくれる人を探すまでです」