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12話 無念の痛み

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「負けると、思わなかった!」


子供チームが全員でハイタッチをしている

「いえー!」
「やったな!」
「うん!」

別に大人チームが手を抜いていた訳ではない

「それだけ、勝ちたいって思ったんでしょうね」
「足も玉をすごい早くて驚いたんですが……」
「ここは『想い』の場所だからねぇ、心の強さがそのまま強さなのよ」
「そうで……えっ」


サッカーボールを持ってきた子供が、倒れた

「お、おいどうした!?」
「……くる、しい」
「落ち着け、もう大丈夫だから!」


恭平が駆け寄ろうとすると、何故か入江に止められた

「何するんです!?」
「お前さんこそ世界に来たばかりで何が出来る?この世界だとよくある事だ」
「でもっ苦しいって!!」
「いいんだよ」
「何で!?」
「……サッカーやって、苦しいって想いをするのも『やりたくて出来なかった事』だからだよ」
「え、え?」

入江だけでなく、ラウも同じように遠くから子供たちを見守っていた


「……ありがと、も、だいじょうぶ」
「家まで運んでやるよ、オイラは良い奴なんだ!」
「本当に良い奴なの笑えるな」

子供たちは集落へ戻っていった


「やりたくて、出来なかった……?」
「お前さん最初、オジジの事を『気持ち悪い』っていっただろ?」
「うっ、本当にその」
「あーもう気にしてないから大丈夫、けどな?それよりお前さんのその言葉で今まで誰か傷つけてきた可能性に気付いてるか?」
「え」
「他の奴と一緒に、気持ち悪いって合わせてきたんだろ?男色家なんてお前さんみたいに隠れてる奴だって多いからな……お前さん『自分もそうだ』って言えてたらって考えたことあるかい?」
「えっと、釣りをしていた時に、考えてた、かも」
「じゃあ賛同者しかいない傷のない『自分もそうだ』がお望みかい?そのあと受けるであろう『気持ち悪い』の声も巻き込んで後悔してないか?」
「そんな事……」

===========================

誰だっけ、誰かが言ったんだホモかよって

「あんな奴らと一緒にしないでよ、気持ち悪い」

浮きたくない、友達でいてほしい、だから合わせただけで
それらは全て自分の言い訳
否定されるのが恐い、だから間違って無い

でも、今伝えていたら。どうなっていただろう?

『やっぱりか』
『気持ち悪ぃ』
『え、まじで?』

友達は嫌がっただろうか、嫌がっても、言えなかった後悔

===========================



想いが、形になるのなら

「痛みも後悔の一つなのか……そっか」
「ただ心配は心配よ?ああいう子は『治る』イメージ沸かない事もあるから」
「え」
「彼らがいるから、大丈夫ですよ、それに彼には目的がありますし」
「目的?」



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