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11話 集落の子供たち

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外に出ると、子供たちがいて

「なぁなぁ!あんた『平成』に死んだのならサッカーできる?サッカー!」

サッカーボールを持っていて、遊んでくれるのを期待しているまなざし

「まだ疲れているのでは?」
「ううん、いいよ『僕』たち」
「……僕たち、ですか」
「ああえっと、巻き込もうとしていったんじゃ!」
「こちらも巻き込まれたとは思っていませんよ、彼らはあなたより先に死んでいますので生まれだけで言えば年上だったりしますから」
「えっ」
「あ、智哉君だけは違いますよ?」

現代の服を着た少年は、相変わらず一歩引いていた
しかし言葉には大きな重み

「その、病気が治って元気になったらサッカーをやりたかった。でも出来ないままここに来て、サッカーは沢山の人でやるものだって……皆と、したくて」
「オイラたちの時代にはサッカーってなかったけど、平成に生きてたあんたならわかるだろ?」
「俺たち戦国の子供だから、よく知らないんだ」

サッカーボールを受け取る

「えっと、いいけど基本な事しか知らない、よ?」
「基本はしってるの!?」
「う、うん……ところで何で手に持って来たの?」
「え?」
「サッカーやりたいなら、蹴ってくるものかなって、深い意味はないけど」
「ええとサッカーって蹴るスポーツなの?」

その言葉に固まった

「え」
「僕の友達がサッカーは楽しいよって言ってくれた、だからやってみたくて」
「テレビとかで見なかった?」
「僕の病気、テレビみると心臓に負担がかかりすぎてダメだって」
「……そっか」
「サッカー、ダメ?」

ここで断れる大人のほうが、日本人は少ないだろう

「いいよ、やろう!」
「ほんとう!?」
「僕も子供のときはサッカー好きだったんだ」
「今は好きじゃないの?」
「ええと、出来なくなっただけで嫌ってはないよ」

子供に大人になるにつれて孤独になる事を説明するのは、難しかった

「サッカーですか」
「そうだ、やるのはいいけれど広いところ……校庭とかグラウンドみたいな場所どこかにない?」
「それならばちょっと歩けばありますよ、まさに校庭という場所が」
「明治時代の人でも校庭ってわかるんですね……」
「新しいこともそれなりにわかりますが、校庭は明治からありますよ」
「え」
「家の近くに尋常小学校がありましたので」
「ジンジョウ?」
「まぁ小学校だと思っていて構いませんよ、私も違いはあまり知りませんから」
「そうなんだ……」
「サッカーなら人数は多い方がいいですかね?入江さーん」

呼びかけると、相変わらずボサボサの頭をかきながらテントから出てくる入江だが

「んー何?」
「サッカーしてほしいそうです」
「あ!?サッカー!?やるやる!オジジ興味あったんだよねぇ」
「大人と子供ですけど、ハンデとかどうします?」
「あー……いらないと思います」
「えっと、身体ちいさいけど」
「ここは『想い』の世界ですから」
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