上 下
10 / 50

10話 境界線

しおりを挟む
コンコン

「ノッ?はーい」
「……」

恭平にはテントをノックする音が聞こえ、外に出た。
今時より少し古い恰好をした男性……男性?
恭平が固まったのはメイクもばっちりでスカートにハイヒールの、いわゆるテレビでみる男が好きな人たちに分類されそうな見た目の来訪者だったからだ。
オネェタレントとやらが記憶に新しい。

「あらぁ噂通りのチョー可愛い坊やだわ~!」
「ええと、どなた?」
「アタシはねぇミツネっていうの、源氏名でごめんなさいね」
「源氏名って何ですか?」
「ニックネームみたいなものよ、本名だとごつくって嫌なのよ~」

ぬっ、と間にラウが入り込んだ

「お久しぶりです、ミツネさん」
「相変わらずいい男ねぇ」
「彼に用事ですか?」
「そうよぅ、転前の集落にもいっぱい種類があるって説明もうしたの?」
「それならまだですよ」

たしかに、ここにはホモ───ではなく男色家しかいない
『普通』の人はどこへいくのだろうなと首をひねった
そして自分が何を基準にここに来たのかも、男が好きなものは皆ここにきているのならば目の前にいるオネェの人はなぜ違う集落なのだろうかと
そして生涯で初めて、いや死んでいるのだが生で見たオネェは威圧感が強かった。

「ここの集落とアタシ達の集落とっても近いのよ、だからよかったら遊びに来ないかしら?」
「それ、は」
「時間はたっぷりあるんだし、死にもしなければ苦しい事もないわよ?あなたみたいな可愛い子なら皆々大歓迎してくれるわ!」
「僕ちょっと、女の人苦手で」
「アタシおちんちんあるわよ、見る?」
「……」

経験値の浅い恭平には何を答えていいのかわからず沈黙するしかなかった
助け舟が出てくる
「ほかの集落は何もあなたがただけではありませんし、彼はまだ来たばかりで疲れているのですよ」
「そお?じゃあ気が向いたらきてちょうだい!皆可愛がってくれるわよ」
「考えて、おきます」

嵐のように来た彼女は、嵐のように去り、恭平は一息ふうと息を吐いた。

「ほかの人と出会いたくないならば、こういうのもおすすめです」

ラウは『入り絶』と書かれた札を懐から取り出して、天井から垂れ下がるランプの下につるした。

「これ、何ですか?」
「簡単にいえば外から中へ干渉できなくなる札です、閉じこもりたいときはお使いください」
「ありがとうございます、でもいいんです」
「そうですか?」
「まだ、ほかの人が誰か……何か言ってくるかもしれない、から」
「では、外しますね……よいしょ」


「おーい!!」

外から再び声が聞こえてきた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

よしき君の発見

理科準備室
BL
平成の初めごろの小3の男の子のよしき君は和式でのうんちが苦手で、和式しかない小学校のトイレでのうんちで入学以来二回失敗しています。ある日大好きなおばあちゃんと一緒にデパートに行ったとき、そこの食堂で食事をしている最中にうんちがしたくなりました。仕方なくよしき君はデパートのトイレに行ったのですが、和式は開いていてももう一つの洋式のはいつまでも使用中のままでした・・・。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

俺にはラブラブな超絶イケメンのスパダリ彼氏がいるので、王道学園とやらに無理やり巻き込まないでくださいっ!!

しおりんごん
BL
俺の名前は 笹島 小太郎 高校2年生のちょっと激しめの甘党 顔は可もなく不可もなく、、、と思いたい 身長は170、、、行ってる、、、し ウルセェ!本人が言ってるんだからほんとなんだよ! そんな比較的どこにでもいそうな人柄の俺だが少し周りと違うことがあって、、、 それは、、、 俺には超絶ラブラブなイケメン彼氏がいるのだ!!! 容姿端麗、文武両道 金髪碧眼(ロシアの血が多く入ってるかららしい) 一つ下の学年で、通ってる高校は違うけど、一週間に一度は放課後デートを欠かさないそんなスパダリ完璧彼氏! 名前を堂坂レオンくん! 俺はレオンが大好きだし、レオンも俺が大好きで (自己肯定感が高すぎるって? 実は付き合いたての時に、なんで俺なんか、、、って1人で考えて喧嘩して 結局レオンからわからせという名のおしお、(re 、、、ま、まぁレオンからわかりやすすぎる愛情を一思いに受けてたらそりゃ自身も出るわなっていうこと!) ちょうどこの春レオンが高校に上がって、それでも変わりないラブラブな生活を送っていたんだけど なんとある日空から人が降って来て! ※ファンタジーでもなんでもなく、物理的に降って来たんだ 信じられるか?いや、信じろ 腐ってる姉さんたちが言うには、そいつはみんな大好き王道転校生! 、、、ってなんだ? 兎にも角にも、そいつが現れてから俺の高校がおかしくなってる? いやなんだよ平凡巻き込まれ役って! あーもう!そんな睨むな!牽制するな! 俺には超絶ラブラブな彼氏がいるからそっちのいざこざに巻き込まないでくださいっ!!! ※主人公は固定カプ、、、というか、初っ端から2人でイチャイチャしてるし、ずっと変わりません ※同姓同士の婚姻が認められている世界線での話です ※王道学園とはなんぞや?という人のために一応説明を載せていますが、私には文才が圧倒的に足りないのでわからないままでしたら、他の方の作品を参照していただきたいです🙇‍♀️ ※シリアスは皆無です 終始ドタバタイチャイチャラブコメディでおとどけします

猫が崇拝される人間の世界で猫獣人の俺って…

えの
BL
森の中に住む猫獣人ミルル。朝起きると知らない森の中に変わっていた。はて?でも気にしない!!のほほんと過ごしていると1人の少年に出会い…。中途半端かもしれませんが一応完結です。妊娠という言葉が出てきますが、妊娠はしません。

バッドエンドの異世界に悪役転生した僕は、全力でハッピーエンドを目指します!

BL
 16才の初川終(はつかわ しゅう)は先天性の心臓の病気だった。一縷の望みで、成功率が低い手術に挑む終だったが……。    僕は気付くと両親の泣いている風景を空から眺めていた。それから、遠くで光り輝くなにかにすごい力で引き寄せられて。    目覚めれば、そこは子どもの頃に毎日読んでいた大好きなファンタジー小説の世界だったんだ。でも、僕は呪いの悪役の10才の公爵三男エディに転生しちゃったみたい!  しかも、この世界ってバッドエンドじゃなかったっけ?  バッドエンドをハッピーエンドにする為に、僕は頑張る!  でも、本の世界と少しずつ変わってきた異世界は……ひみつが多くて?  嫌われ悪役の子どもが、愛されに変わる物語。ほのぼの日常が多いです。 ◎体格差、年の差カップル ※てんぱる様の表紙をお借りしました。

運命を変えるために良い子を目指したら、ハイスペ従者に溺愛されました

十夜 篁
BL
 初めて会った家族や使用人に『バケモノ』として扱われ、傷ついたユーリ(5歳)は、階段から落ちたことがきっかけで神様に出会った。 そして、神様から教えてもらった未来はとんでもないものだった…。 「えぇ!僕、16歳で死んじゃうの!? しかも、死ぬまでずっと1人ぼっちだなんて…」 ユーリは神様からもらったチートスキルを活かして未来を変えることを決意! 「いい子になってみんなに愛してもらえるように頑張ります!」  まずユーリは、1番近くにいてくれる従者のアルバートと仲良くなろうとするが…? 「ユーリ様を害する者は、すべて私が排除しましょう」 「うぇ!?は、排除はしなくていいよ!!」 健気に頑張るご主人様に、ハイスペ従者の溺愛が急成長中!? そんなユーリの周りにはいつの間にか人が集まり…。 《これは、1人ぼっちになった少年が、温かい居場所を見つけ、運命を変えるまでの物語》

姫を拐ったはずが勇者を拐ってしまった魔王

ミクリ21
BL
姫が拐われた! ……と思って慌てた皆は、姫が無事なのをみて安心する。 しかし、魔王は確かに誰かを拐っていった。 誰が拐われたのかを調べる皆。 一方魔王は? 「姫じゃなくて勇者なんだが」 「え?」 姫を拐ったはずが、勇者を拐ったのだった!?

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

処理中です...