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4話 釣り

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「よっ」
「え」
「もう説明終わったか?」
「一応は、入江さんはどうしてここに?」
「オジジと遊ばない?」
「遊ぶって」
「釣りしようよ、釣り」

恭平は想像していた遊びと違って安心しつつも、釣りなどやった事が無かった。
ゲームで釣ったことはあるが現実はゲームのようにいかないと縦に首を振りかねていた
また何か大きな失礼をしてしまったらと決めかねた

「えっ、と」
「釣りしたこと無い?」
「ゲームでしかありませんっ」
「なら話が早い、すぐそこにある湖だと凄い色々釣れるから行こうぜ!」


入江にごり押しされ、ほんとうにすぐそこにあった湖で2人して釣りをする事になった
先ほど聞いた話では23時だったので真夜中な筈なのだが釣りに誘うなんて、よほど先ほどの失礼な発言に怒っているのかもしれないと脅えていると


「ねぇねぇ、どんな子タイプ?」
「え」

生前乗れなかった話の1つ
だから自分は孤独に成った、合わせたのに
皆に合わせる癖に自分で遠ざけた

「言っとくけど、男でって意味よ?」
「……それ、は」

ここは自分と同じで、男を愛する人しかいないとラウが言っていた

「答えたくないなら遠慮せずに、嫌ですって言ってもいいよー?あと、なんでも聞いて?」


「その、アイドルが」
「何時の時代も持てる奴は男女問わずモテるもんだよ、オジジいっぱい見て来たから」
「その、入江さん」
「何々ー?なんでも言って―!聞いて―!」
「いつ生まれです?」
「すごーい昔、ただ正確な事は分かんない、忘れたから」
「そう、なんですね……」
「でも生前の趣味なら言えるよ、弾碁(だんぎ)とか」

歴史に疎いせいで、それが何なのか全く分からない

「そうです、か」
「まぁ指で囲碁の駒をはじく遊び、オジジは囲碁が苦手だったからさ」
「へ、へぇ」

垂らしていた釣り糸が、引っ張られた

「お、さっそくか、いいね」
「ええと、糸を巻き取って……!」


勢いが激しく釣り竿がかなり重い
ギリギリと引いて、水しぶきと共に上がってきたのは
大きな黒い


「長靴だね」
「……はずれが吊れたんですよね、これ」
「いやいや?長靴ってオジジからすればいいもんよ?」
「入江さんは衣服、というか靴は出せないんです?」
「ん~下駄ぐらいなら出せるよ」
「今時の物は難しい、って事……です?」
「出来なくはないけど難しいみたいな?ものによっては50kmのマラソンする方がまだ出来るってぐらい出しにくかったりするよ」

何て言ってる入江の竿が明らかにひいている、先ほどの長靴とは勢いが違う

「竿!ひいてますよ!?」
「おっとっと」

そして釣れたのは、確かに魚で

「やりましたね!」
「……この魚おいしいよ」

そこにあった木のバケツに入れていれる入江

「僕、魚ちょっと苦手で」
「誰だって苦手な食べ物が一つぐらいあるものじゃない?もう死んでるんだから我が儘でいいんだよ」

入江はうっかりなでそうになって、慌てて手を引っ込めた

「今撫でようとしました?」
「こんかいは未遂じゃん!」
「……撫でても、いいですよ」
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