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2話 刺された剣と突き刺した剣

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「あなたの事は知りませんが、生まれと死んだ時期から何が起きたのかは何となく予想がつきました」

ラウは暗い森の中をランタン1つで迷いなく歩いていき、恭平はついていった。

「今、何時でしょうか?」
「23時です」
「あの世にも時間があるんだ?」
「この付近では朝になっても太陽は登りませんが、時間はありますよ」

やがてたどり着いたのは、一見ではキャンプ場に思える場所だった
黄色く大きめのテントが様々な場所に建てられているためである

「ラウ?」

1人の男がボサボサの頭をガリガリとかきながらテントから出てきた

「今巨大なテントから出て来たこの人は入江中守(いりえなかもり)さんです、形だけの長老みたいな役目の方です」
「その、こんばんは、僕は・・・・・・山下恭平と、言います」

ビクビクしながらだが、何とか言えたと

「ふーん?可愛い子じゃん?」

雷に打たれるような衝撃、恭平に向かって可愛いなどと子供でもあるまいしなどと思っていたら頭を撫でられていた

「へ、あ?」
「よしよし、たとえ皆に嫌われてもオジジが可愛がってやるから安心しな~」

確かに恭平は男が好きだが、その範囲は誰も彼も構わず体を許せるほどでも無かった
だが年上の、目上の人には逆らわずに生きて来たので止められなかった

「止めて下さい、嫌がってます」

ラウさんがその手を退けてくれた

「ありゃ?いつの間にか頭すらダメになったのか?」
「今の価値では単純に知らない人に触られたくないんですよ」
「ちぇー」

長老だと言っていたのに、逆らって注意など恭平にとつては恐ろしくて出来ない真似である。

「あの、僕は、平気だから」
「この人セクハラ癖があるので、嫌なら普段は探さないで下さい」
「えーと、男の僕何かにセクハラ?はないですよ、気持ち悪い」


その一言で、二人の顔がこれでもかと引きつった


「・・・・・・大事な事は最初に言えよ」
「すみません、これは私が悪い」

入江さんはまた頭をガリガリして、どこかへと向かった

「あの、僕何かやっちゃいました?」
「ここは男色家の集まり・・・・・・ゲイ?うーん時代が違うと言葉が分かりにくいですねいつも」

暖色?芸?なにを言っているのだと困惑する恭平

「おー、また来たのかホモの仲間!」
「うわあ!?」

突然の子供に驚くし、ホモだと言われて固まるしか無かった

「そうそれです!」
「え?」
「簡単に言えば、ここにはホモしかいません」


「ええええええッッーーーー!?」


天国(?)に、そんな場所があるのかと
それよりもホモしかいない
ならば案内してくれた彼もという事になる為に恭平は悲鳴のあとに全身をまじまじと眺めた

「でも、こんな子供・・・・・・までもが?」
「にしてもお前スゲー酷いやつだな」
「えと?」

恭平が理解出来ず困惑していると、少年は浴びせるかの如く言葉を羅列した。

「入江のオジジに気持ち悪いって言っただろ!生きてる時に言われて嫌じゃなかったのかよ!自分の嫌がること人にしちゃいけないんだぞ!」

先程聞いた、全員がホモだという事
子供の頃から苦しめられて来た呪いの言葉
いつの間にか自分も彼らと同じになっていた

「ご、ごめん」
「謝る相手が違う」
「ラウさんあのっ、謝ってきたほうがいいですよね!?」
「・・・・・・」

何も答えずに考えてる様子だった

「ラウ、さん?」
「彼の事は後にしましょう、また傷つけないように最低限の事は知っておきましょう。とりあえずこの世界について詳しく話す所からです」

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