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パレット・オチャ編

243話 花と王子

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パレット視点

授業も終わり帰り道を歩くリンを呼び止めた

「えっ?」
「写真をとってくれないか……一緒に」

持っていた荷物を見せた。

「カメラ?」
「よく知っていたな?」
「僕様の国にはあるから」

ナカンにカメラが?
確かアレは大正時代にはもうあったような記憶があるし
そこまで不思議でもない

「そうか」
「必要であれば仕方ないけどアレ嫌いなんだよねぇ」
「えっ」
「仕事で使うのはいいけれどね」
「王子なのに!?」
「昔は色々やったもんだよ」
「……ナカンの子供時代はどんな子だったんだ?」
「泥だらけで走るぐらいには」

色々してそうだな

「あとは腹いせに拷問したりとか」
「本当に?」
「え」
「確かに黒い事も多少したんだろうがリンに拷問を楽しむ趣味があるようには思えん」
「フツーにやったよ大量に子供殺した頭が悪い奴を地下室に入れて」
「親友に裏切られてもロクな拷問をしなかったお前が?」
「え」
「え?」
「親友なんだね僕様たち」
「あっ」
「……花壇で花と写してくれるかな?」

今時のスマホカメラと違ってタイマーなんて機能が付いていないために
二人で写るのは難しいと思っていた矢先
ユメカがカメラを持った。

「私がシャッターを切りますね」
「アルバムとやらはこの王族クラスを移せと言われただけなのだが」
「もし先生がそうおっしゃったのならばパレット様も含むと思いますよ」

リンに手を引かれた

「こちらへ来てくれこの時期にはいい花が咲く」
「うわ!?」

急に引っ張られてこけた
それはもう盛大に
地面がぬかるんでいたのもあり泥だらけである

「ごめーん?」
「何をする!?」
「でも、こういう思い出も悪くないだろう?」

パシャッ

「ユメカ!?」
「こういうの何だか懐かしいですね」
「懐かしいってリンとのやりとりがか?」
「気になるなら後で教えますよ」
「それより早く立ちなよ、ほら」

差し伸べられた手を握り返した
温かい温度でとても現実的
VRゲームだってここまで再現するのは難しい

「何がそんなに怖いの?」
「私は別に」
「手が震えてるけどぉ?」
「寒いだけだ」
「もうじき夏休みの言い訳として駄目でしょ」
「誰かさんのせいで泥まみれだから寒いんだが?」
「ほほう?僕様と口喧嘩がお望み?」

引き上げられ大地に立つ
泥の冷たさを感じるのは事実だ
感触があまりにもリアルで

「……私はこれまでの事を一生忘れないだろう」
「僕様を忘れるなんて事したら許さないから」
「年寄になったても覚えているだろうな」
「それは許すよ」
「いいのか」




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