上 下
220 / 284
ゴウホ・ユリー編

219話 ゴウホ・ユリーEP9

しおりを挟む
ゴウホ視点

「質問がいくつかあるわ」
「……」
「ユメカちゃんの事は好き?」
「うぇ!?そっち!?」

隠しているつもりだろうが彼がユメカ・マボロシに惚れている
これは確信している、あまりにもそこだけは分かる
恋に落ちた人間の目ぐらい見分けがつく

「の、わりにアタシとくっつけたがるのが不思議なのよ」
「私が婚約したら世界が崩壊するからな」
「適当いった?」
「私もできれば嘘として言いたかった」

嘘をつくのが苦手な彼なので今のは本当だと思える

「何か協力できることはないかしら?」
「え」
「ユメカちゃんとくっつきたいんでしょ?」
「違う!!いや厳密にいえばそうなんだが!!」
「いいじゃないいくらフタギロの堅物の国王でも聖女が嫁になる事に反対する奴とか頭おかしいわ」
「ユメカがゴウホと結婚式をあげないと死ぬんだ私たちは!!」

どういう事?と思ったが

「何かそういう呪いなのね?」
「呪いを解く為にまずユメカとフタギロでデートしてくれないか?」
「デートするだけなら出来るけども」
「頼んだ、世界の命運がかかっているんだ」

デートに?


「ユメカちゃん今度のお休みに公園へ一緒にいかないかしら?」
「はい!!」
「……嬉しそうね」
「デートですから」


フタギロの公園で彼女とデートする
それは構わないというか惚れているならくっついてハッピーエンド
捨てたつもりだった国王になる道でも今は悪くない

それで終わりよ

「綺麗ね」
「何度見ても綺麗ですね」
「……ちょっと人が聞いていない場所で話がしたいわ」

観光地で人々が多い
だからこその死角がある
嫌な商売をやるには人込みの中


「この店に入りましょう」
「……はい」

店は人がほとんどいない

『……ご注文は?』
「珈琲にジャムを追加して頂戴、苦くしたいの」
『上へどうぞ』

驚く彼女だが

「きれいごとだけじゃ王妃にはなれないわよ」
「……そうですね」

大人しく2階へついて来た。


「ズバリで聞くけどユメカちゃんアタシと婚約したい?」
「―――はい」
「それは彼が言っていた通りだけど」
「彼?」
「パレットちゃんを尋問したらデートしてきてくれって訳がわかんない事を言われたわ」
「そうですか」
「アタシと婚約するだけでハッピーエンドとはならなそうよね」
「……」

彼女は素の表情
今まで『作っていた顔』を止めた
張り付けていた笑顔が崩れ面倒な客を見ている売春婦の視線

「ソッチの方が可愛く見えるのは何故かしらね」
「ここまで来たから油断しました……」
「あなた達の目的は一体何!?」

ジジジジジジッ!!!!

酷い砂嵐が建物を襲ったのかと思ったが違った
一瞬だけ世界の方がおかしく変化して
世界が壊れてしまうというパレットの話が蘇る


『やっぱりここにいましたか!』
「って貴方なんで!?」

自国の兵士長である

『世界中で魔物が暴れています!!すぐ来てください!!』
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生令嬢、死す。

ぽんぽこ狸
恋愛
 転生令嬢、死す。  聖女ファニーは暇していた。それはもう、耐えられないほど退屈であり、このままでは気が狂ってしまいそうだなんて思うほどだった。  前世から、びっくり人間と陰で呼ばれていたような、サプライズとドッキリが大好きなファニーだったが、ここ最近の退屈さと言ったら、もう堪らない。  とくに、婚約が決まってからというもの、退屈が極まっていた。  そんなファニーは、ある思い付きをして、今度、行われる身内だけの婚約パーティーでとあるドッキリを決行しようと考える。  それは、死亡ドッキリ。皆があっと驚いて、きゃあっと悲鳴を上げる様なスリルあるものにするぞ!そう、気合いを入れてファニーは、仮死魔法の開発に取り組むのだった。  五万文字ほどの短編です。さっくり書いております。個人的にミステリーといいますか、読者様にとって意外な展開で驚いてもらえるように書いたつもりです。  文章が肌に合った方は、よろしければ長編もありますのでぞいてみてくれると飛び跳ねて喜びます。

侯爵令嬢は悪役だったようです

Alice
恋愛
卒業パーティー会場で王太子や側近候補をはべらかす男爵令嬢。 侯爵令嬢リリア・ヴェルザードの婚約者である王太子レオンハルト殿下が告げた内容に会場がざわめく事となる。 ざまぁは捉え方によって微程度となります。 異世界の話ですので多少の違和感はお許しください。 本編は14話。 番外編では他者視点あり。 初投稿です。拙い文章ですが宜しくお願いします。 追記:最後の番外編で残酷な描写が入る予定あり。その為R15かけます。

【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~

イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」   どごおおおぉっ!! 5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略) ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。 …だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。 それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。 泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ… 旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは? 更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!? ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか? 困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語! ※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください… ※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください… ※小説家になろう様でも掲載しております ※イラストは湶リク様に描いていただきました

離婚したらどうなるのか理解していない夫に、笑顔で離婚を告げました。

Mayoi
恋愛
実家の財政事情が悪化したことでマティルダは夫のクレイグに相談を持ち掛けた。 ところがクレイグは過剰に反応し、利用価値がなくなったからと離婚すると言い出した。 なぜ財政事情が悪化していたのか、マティルダの実家を失うことが何を意味するのか、クレイグは何も知らなかった。

悪役令嬢に転生したら手遅れだったけど悪くない

おこめ
恋愛
アイリーン・バルケスは断罪の場で記憶を取り戻した。 どうせならもっと早く思い出せたら良かったのに! あれ、でも意外と悪くないかも! 断罪され婚約破棄された令嬢のその後の日常。 ※うりぼう名義の「悪役令嬢婚約破棄諸々」に掲載していたものと同じものです。

聖女のわたしを隣国に売っておいて、いまさら「母国が滅んでもよいのか」と言われましても。

ふまさ
恋愛
「──わかった、これまでのことは謝罪しよう。とりあえず、国に帰ってきてくれ。次の聖女は急ぎ見つけることを約束する。それまでは我慢してくれないか。でないと国が滅びる。お前もそれは嫌だろ?」  出来るだけ優しく、テンサンド王国の第一王子であるショーンがアーリンに語りかける。ひきつった笑みを浮かべながら。  だがアーリンは考える間もなく、 「──お断りします」  と、きっぱりと告げたのだった。

【 完結 】「婚約破棄」されましたので、恥ずかしいから帰っても良いですか?

しずもり
恋愛
ミレーヌはガルド国のシルフィード公爵令嬢で、この国の第一王子アルフリートの婚約者だ。いや、もう元婚約者なのかも知れない。 王立学園の卒業パーティーが始まる寸前で『婚約破棄』を宣言されてしまったからだ。アルフリートの隣にはピンクの髪の美少女を寄り添わせて、宣言されたその言葉にミレーヌが悲しむ事は無かった。それよりも彼女の心を占めていた感情はー。 恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい!! ミレーヌは恥ずかしかった。今すぐにでも気を失いたかった。 この国で、学園で、知っていなければならない、知っている筈のアレを、第一王子たちはいつ気付くのか。 孤軍奮闘のミレーヌと愉快な王子とお馬鹿さんたちのちょっと変わった断罪劇です。 なんちゃって異世界のお話です。 時代考証など皆無の緩い設定で、殆どを現代風の口調、言葉で書いています。 HOT2位 &人気ランキング 3位になりました。(2/24) 数ある作品の中で興味を持って下さりありがとうございました。 *国の名前をオレーヌからガルドに変更しました。

逆行令嬢は聖女を辞退します

仲室日月奈
恋愛
――ああ、神様。もしも生まれ変わるなら、人並みの幸せを。 死ぬ間際に転生後の望みを心の中でつぶやき、倒れた後。目を開けると、三年前の自室にいました。しかも、今日は神殿から一行がやってきて「聖女としてお出迎え」する日ですって? 聖女なんてお断りです!

処理中です...