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21話 愚か者の愛
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「……う、ん?」
「良かった、目が覚めた」
起きるとベッドの傍にいたパレット
今朝や崖から突き落としたときのように険しい顔はしていない
だが、酷く疲れた表情に見えた
「パレット様……え?」
窓の外が真っ黒である
「……僕こんなつもりは無かったんです」
「え?」
「世界がここまでバグるのは、想定外だと言っても僕に信用なんかありませんよね」
「信用するしないではなく先にこれ教えてくれます?」
「何をです?」
「家に大切な家族が……弟さんがいて、父親が入院していて家に帰らないといけないって嘘ですか?」
だとすれば、行動のつじつまもあうのだが
「真実です、僕には大切な優しい弟は実際にいますし父さんは入院中ですよ」
「ならどうしてルートから外れるような真似を!?」
「聖女の血を集めるのは難しい、各地での魔物の解放も失敗する可能性が高く『ユメカ』さんだけでも幸せになれるように別のルートに行って欲しかった……だから私に狙われているように見せるために崖からつきおとした、そうすればリン・ゴールドが私から守る為に監禁するだろうと踏んでいたのです」
失敗するかもしれないから、誰かにって
「端的に言ってあなたの事が今、嫌いです」
「……川に突き落としましたからね、覚悟はできてます」
「川に突き落とした理由がもし『ルート上で必然』なら私は構わなかったんですよ!」
「え?」
「パレット様……いえ七色勇気さん、私はこの世界から出る為なら何だってするつもりでした」
「それ、は」
「この世界は王族が庶民から税を巻き上げ」
学園で優雅に暮らす彼らの資金は、飢えに苦しむ民ので成り立つ
「王族同士は政略婚ばかりで」
王族は最低限でも貴族との結婚しか許されない
もしくは私のように、聖女の者
彼らにとってステータスでしか無い
「どんな家に生まれても地位の低い者は虐げられる」
ゴミをあさって、どうにか生きて来た
冬に水を汲んでこいと言われて氷がはっていて汲めず、言い訳するなと蹴られ
誰も助けてはくれなかった
「……この世界で暮らしていくなんて絶対に嫌だ、元の世界に帰りたい!」
目に涙が浮かんで、それを袖で拭った
今は泣いてる場合なんかじゃない
外の世界へ脱出するルートが確保できてない今、世界の崩壊をどうにか止めなければ
「―――僕は、何をすればよかったのかな」
「私との恋?」
「へっ!?」
「悪役をただ、やればよかったんですよ」
天井にヒビが入っているし、0やら1やらの数値がチラチラと見えている
「やりなおせれば、いいんですけどね」
「……それだ」
「はい?」
大声で叫んだ
「エルアールスタートセレクト!」
「良かった、目が覚めた」
起きるとベッドの傍にいたパレット
今朝や崖から突き落としたときのように険しい顔はしていない
だが、酷く疲れた表情に見えた
「パレット様……え?」
窓の外が真っ黒である
「……僕こんなつもりは無かったんです」
「え?」
「世界がここまでバグるのは、想定外だと言っても僕に信用なんかありませんよね」
「信用するしないではなく先にこれ教えてくれます?」
「何をです?」
「家に大切な家族が……弟さんがいて、父親が入院していて家に帰らないといけないって嘘ですか?」
だとすれば、行動のつじつまもあうのだが
「真実です、僕には大切な優しい弟は実際にいますし父さんは入院中ですよ」
「ならどうしてルートから外れるような真似を!?」
「聖女の血を集めるのは難しい、各地での魔物の解放も失敗する可能性が高く『ユメカ』さんだけでも幸せになれるように別のルートに行って欲しかった……だから私に狙われているように見せるために崖からつきおとした、そうすればリン・ゴールドが私から守る為に監禁するだろうと踏んでいたのです」
失敗するかもしれないから、誰かにって
「端的に言ってあなたの事が今、嫌いです」
「……川に突き落としましたからね、覚悟はできてます」
「川に突き落とした理由がもし『ルート上で必然』なら私は構わなかったんですよ!」
「え?」
「パレット様……いえ七色勇気さん、私はこの世界から出る為なら何だってするつもりでした」
「それ、は」
「この世界は王族が庶民から税を巻き上げ」
学園で優雅に暮らす彼らの資金は、飢えに苦しむ民ので成り立つ
「王族同士は政略婚ばかりで」
王族は最低限でも貴族との結婚しか許されない
もしくは私のように、聖女の者
彼らにとってステータスでしか無い
「どんな家に生まれても地位の低い者は虐げられる」
ゴミをあさって、どうにか生きて来た
冬に水を汲んでこいと言われて氷がはっていて汲めず、言い訳するなと蹴られ
誰も助けてはくれなかった
「……この世界で暮らしていくなんて絶対に嫌だ、元の世界に帰りたい!」
目に涙が浮かんで、それを袖で拭った
今は泣いてる場合なんかじゃない
外の世界へ脱出するルートが確保できてない今、世界の崩壊をどうにか止めなければ
「―――僕は、何をすればよかったのかな」
「私との恋?」
「へっ!?」
「悪役をただ、やればよかったんですよ」
天井にヒビが入っているし、0やら1やらの数値がチラチラと見えている
「やりなおせれば、いいんですけどね」
「……それだ」
「はい?」
大声で叫んだ
「エルアールスタートセレクト!」
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