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9話 お昼休みと部活

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色七さんは乙女ゲームはやらないらしく、判断は自分にゆだねられた

「隣いいですか?」
「何故、俺なんかの傍に……」
「もっとカモックさんの事が知りたかったので」

これは本当だ、寡黙なキャラとして売りにしているのだろう
だから今までセリフがなくて何を考えているか分かりにくいのだ
それに中盤あたりで寡黙キャラと接点が無いと『からみ辛い』

リアルで考えたら半年喋った事ないクラスメートに突然おねがいとかされても『なんだお前、大して仲もよくないのに』となってしまうかもしれない

「物好きな奴だ、好きにしろ」

好感度上がったのが『わかる』ので成功のはずだ
とはいえそれ以降の会話らしい会話もなく、話題をふっても


「カモックさんのはどんな魔法ですか?」
「……」
「あのう、あっ好きな食べ物は?」
「……」

無視された、何をいってもひびかない

「えーと」
「ごちそうさまでした。」

と同時にキンコンとベルが鳴りひびく

「あっユメカさん」
「先生?」
「放課後は皆、部活の時間だよ!見学はどこも自由だからね」
「分かりました」

この世界に部活動があるのは少し以外だ
学校が金持ちしか入れない魔法学校の為貴族の遊びという括りなのだろう
色々見て周ろうかと思ったその時―――


「おい、アンタ」

カモック・ヒトリーが声をかけてきた

「ええと、どうしましたか?」
「さっきは悪かった……理由は分からないんだが、『返事が出来なかった』んだ」
「ん!?」

返事をしなかったではなく
『出来なかった』と彼は言う
勇気が無くて声が出せなくて、という事なのかと思ったが


「見えない力……時々感じる、世界の外からの干渉とでもいうのか?信じてくれるか?」
「し、しんじます!」

多分ゲームシステムの都合で喋れないとかあるのでは?
戦闘の時に『自分の順番にならないと動けない』何て事が起きた
つまり乙女ゲームの肝である会話パートも何かあってもおかしくない

「助かる、先ほどの詫びに俺の部活を案内する」

後を追いかけたのだが、違和感
カモックめちゃくちゃ喋る
もうちょっとこう『……部活……案内』とか二言で済ますみたいなキャラだと思ってたよ


「カモックさん、随分喋りますね?」
「……」
「ああ怒らせる事をしてしまったでしょうか!?」

まだ大して仲もよくないのに、少しフランクすぎたかもしれないと焦る
だが彼は怒ったというより困った顔をした

「他の奴に比べれば、俺は静かだ」

毒舌に熱血と中々濃いキャラ揃ってるからね、比べれば確かに静かな雰囲気かも

「確かに他の人たちはお喋り好きそうですものね!」
「ついたぞ」

見上げれば表札に『図書室』の文字

「ここ、図書室だよね?」
「『読書部』なんだ」
「お勧めの本とかあるの?」
「推理系でもいいのなら、とびっきりのがある」

【推理より恋愛がいいな】【読みたい!】


これしか選べない、というのが感覚で分かった

「読みたい!」
「……そうか、ついてこい」

中に入ると小さいが本は沢山ある
この世界で本は貴重品だが流石は金もちの学校
魔導書らしき物まである

「こんなに沢山の本が在るんだ?」
「ああ、それと――――これがおススメだ、受付で名前をかけば借りられるから寮で読むといい」
「そうするね、ありがとカモックさん」


ハートがマックスになって愛レベルがLV2になるのが見えた





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