不吉と罵られた私が聖女だと学園で分かりましたが元の世界に帰りたい

5話 願いは一つ

学生寮が全員同じ場所で本当に助かった
不自然ではないようにパレットの部屋に招かれ
あとからクルリーナに入ってきてもらった
テーブルを囲んでお茶とイギリスなどヨーロッパ風のお菓子のタワーをつつく

「話し合いをするけど、皆に聞きたい大事な話があるわ」

この状況である、どんな話でもとりあえずしなければ始まらないのだ

「クルリーナ･･････あ、本名の方が良い？」
「私の事はクルリーナでいいわ、分けて呼ぶのも大変だし」
「分かった」
「僕もそうするね」

最初に確認すべきことをクルリーナに聞かれた

「2人は、元の世界もどりたい？」
「私はすっっっごく戻りたいと思ってるよ！」
「ヒロインなんてどのエンドでも幸せになれそうだけども、それでも？」
「だって私、すごい勉強がんばって親友と同じ大学に合格して来たんだよ！？」

毎晩とにかく問題を解いて解いてなんとか合格ラインまで持って行って
合格発表では泣きながら抱き合った
親友は容量がよくゲームを沢山やっているのに成績は誰より良かった

でも決して威張ったりはしない、幼い頃からの親友だった


「私も戻りたいの、このゲーム他社のだからやってなくて」
「他社？」
「私ってゲームクリエイターなのよ、そういえば貴方は？」
「シェフです、レストラン経営してました」
「貴方も戻りたい？」
「絶対に戻らないといけないんです！」
「何か明確な理由が？」


「母は去年亡くなっていて、父が突如入院してしまい……家にはまだ小学3年生の弟が1人だけなんです！」

それは帰らなきゃ駄目だ
母親の次に父親が入院してあげくに頼みの綱である兄が行方不明ってこと！？
子供にそんな思いさせたくないよ！


「協力します！」
「ワタクシも帰りたいですわ！あっ」
「わかる、僕とか私とか口調こんがらがるよね･･････うん、私はパレットに口調を合わせよう」
「下手な事をするよりもずっとクルリーナとしての話し方がよさそうですわね、とにかくワタクシもゲームファンが待っていますので帰らなければなりませんわ」

心は1つだが


「なるほど、なら全員一致で帰る！なんだけど･･････ユメカとパレットが結ばれるルート以外は元の世界には戻れないんだよね」
「結ばれると言っても具体的に何が起きるのか分からなければバグりそうで怖いですわね、どこかで※コンフリクトしそうですし」

※ゲームバグの原因の一種、どんな人間でも『右手上げて』と『右手下げて』を同時に出来ないのと原理は同じ

「コン？僕の見たネタバレが確かなら多分そこまで大きくバグる事はないかも」
「ちなみにどんなネタバレを見ましたの？」
「･･････僕が、というかパレット・オチャが世界を破壊する」
「RPGのラスボスみたいなエンドですわね」
「パレットの私だからこそわかる事がいくつかあるのでそれを話しておきたい」