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十話 学校

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「初めまして、私はこの地獄学校の先生、名前は牧田木陰(まきたこかげ)です」

 巨大な木造の建物の一階。先生というのは僧のように知識を教えてくれる存在らしい。

「最初に自己紹介をしましょう、これは学校の決まりです。男性の――シノガタさんから順番にどうぞ」
「私はシノガタと申します、文字や、今の日本を学びにきました」
「赤鬼のナキだ、シノガタの拷問をしていた」

 なんでそんな鬼とともにきたのだという声がした。疑問は分かるが、まずは名乗ってもらわねばならない。

「僕はライト・エンジェルだよ。ハーフ」
「はあふ?」
「異国人と日本人の間に産まれた者だ」
「……なるほど」
「殺し屋してました!!よろしくね」

 殺し屋? なんだろう。赤鬼を見つめる。

「えーとだな、人を変わりに殺すことを生業とする仕事だ」
「……地獄ですからね」

 罪人が落ちる場所、人を殺す生業の一人ぐらいはいるだろう。
次の人が立ち上がった。随分と年よりなようだ。

「おっワシの番かの!? ワシはヤマグチ・ヒロシじゃけぇよろしく」
「……妖怪の犬神忠(いぬがみ・ただし)です」

 鬼がいるのだから妖怪がいても不思議はない。
 次は女性だ。3人いる。女も学べるのか。

「アタシはニエです、産まれは奈良時代。次の人どうぞ!」
「オウカはオウカなの、女の子なの」
「うちは……天道冬美(てんどう。ふゆみ)やで」

 この8名が同じ組の者ということになる。
 なんだか懐かしい、同じ村とは違うが同じ組か。

「先生はこの8名にできるかぎりのことを教えるつもりです」
「お嬢ちゃん結婚しとるんか?」

 老人はすぐそういう話を聞きたがる、まぁ美人だなとは思ったが……。何かこう、失礼なような気もする。

「私は結婚しません、というよりここは地獄なので婚約という行為がありません」
「え?」
「一度でも地獄に落ちた者は転生するまで婚約できません」
「……決まっとるだけじゃろ?」
「地獄で嘘をつくことは重罪、また鬼の責め苦を受けたくはありませんから」
「先生も罪人じゃったみたいな言い方するの」
「私も罪人ですよ、人を二人殺しました」
「えっ」
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