10 / 26
十話 学校
しおりを挟む
「初めまして、私はこの地獄学校の先生、名前は牧田木陰(まきたこかげ)です」
巨大な木造の建物の一階。先生というのは僧のように知識を教えてくれる存在らしい。
「最初に自己紹介をしましょう、これは学校の決まりです。男性の――シノガタさんから順番にどうぞ」
「私はシノガタと申します、文字や、今の日本を学びにきました」
「赤鬼のナキだ、シノガタの拷問をしていた」
なんでそんな鬼とともにきたのだという声がした。疑問は分かるが、まずは名乗ってもらわねばならない。
「僕はライト・エンジェルだよ。ハーフ」
「はあふ?」
「異国人と日本人の間に産まれた者だ」
「……なるほど」
「殺し屋してました!!よろしくね」
殺し屋? なんだろう。赤鬼を見つめる。
「えーとだな、人を変わりに殺すことを生業とする仕事だ」
「……地獄ですからね」
罪人が落ちる場所、人を殺す生業の一人ぐらいはいるだろう。
次の人が立ち上がった。随分と年よりなようだ。
「おっワシの番かの!? ワシはヤマグチ・ヒロシじゃけぇよろしく」
「……妖怪の犬神忠(いぬがみ・ただし)です」
鬼がいるのだから妖怪がいても不思議はない。
次は女性だ。3人いる。女も学べるのか。
「アタシはニエです、産まれは奈良時代。次の人どうぞ!」
「オウカはオウカなの、女の子なの」
「うちは……天道冬美(てんどう。ふゆみ)やで」
この8名が同じ組の者ということになる。
なんだか懐かしい、同じ村とは違うが同じ組か。
「先生はこの8名にできるかぎりのことを教えるつもりです」
「お嬢ちゃん結婚しとるんか?」
老人はすぐそういう話を聞きたがる、まぁ美人だなとは思ったが……。何かこう、失礼なような気もする。
「私は結婚しません、というよりここは地獄なので婚約という行為がありません」
「え?」
「一度でも地獄に落ちた者は転生するまで婚約できません」
「……決まっとるだけじゃろ?」
「地獄で嘘をつくことは重罪、また鬼の責め苦を受けたくはありませんから」
「先生も罪人じゃったみたいな言い方するの」
「私も罪人ですよ、人を二人殺しました」
「えっ」
巨大な木造の建物の一階。先生というのは僧のように知識を教えてくれる存在らしい。
「最初に自己紹介をしましょう、これは学校の決まりです。男性の――シノガタさんから順番にどうぞ」
「私はシノガタと申します、文字や、今の日本を学びにきました」
「赤鬼のナキだ、シノガタの拷問をしていた」
なんでそんな鬼とともにきたのだという声がした。疑問は分かるが、まずは名乗ってもらわねばならない。
「僕はライト・エンジェルだよ。ハーフ」
「はあふ?」
「異国人と日本人の間に産まれた者だ」
「……なるほど」
「殺し屋してました!!よろしくね」
殺し屋? なんだろう。赤鬼を見つめる。
「えーとだな、人を変わりに殺すことを生業とする仕事だ」
「……地獄ですからね」
罪人が落ちる場所、人を殺す生業の一人ぐらいはいるだろう。
次の人が立ち上がった。随分と年よりなようだ。
「おっワシの番かの!? ワシはヤマグチ・ヒロシじゃけぇよろしく」
「……妖怪の犬神忠(いぬがみ・ただし)です」
鬼がいるのだから妖怪がいても不思議はない。
次は女性だ。3人いる。女も学べるのか。
「アタシはニエです、産まれは奈良時代。次の人どうぞ!」
「オウカはオウカなの、女の子なの」
「うちは……天道冬美(てんどう。ふゆみ)やで」
この8名が同じ組の者ということになる。
なんだか懐かしい、同じ村とは違うが同じ組か。
「先生はこの8名にできるかぎりのことを教えるつもりです」
「お嬢ちゃん結婚しとるんか?」
老人はすぐそういう話を聞きたがる、まぁ美人だなとは思ったが……。何かこう、失礼なような気もする。
「私は結婚しません、というよりここは地獄なので婚約という行為がありません」
「え?」
「一度でも地獄に落ちた者は転生するまで婚約できません」
「……決まっとるだけじゃろ?」
「地獄で嘘をつくことは重罪、また鬼の責め苦を受けたくはありませんから」
「先生も罪人じゃったみたいな言い方するの」
「私も罪人ですよ、人を二人殺しました」
「えっ」
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
帝国皇子のお婿さんになりました
クリム
BL
帝国の皇太子エリファス・ロータスとの婚姻を神殿で誓った瞬間、ハルシオン・アスターは自分の前世を思い出す。普通の日本人主婦だったことを。
そして『白い結婚』だったはずの婚姻後、皇太子の寝室に呼ばれることになり、ハルシオンはひた隠しにして来た事実に直面する。王族の姫が19歳まで独身を貫いたこと、その真実が暴かれると、出自の小王国は滅ぼされかねない。
「それなら皇太子殿下に一服盛りますかね、主様」
「そうだね、クーちゃん。ついでに血袋で寝台を汚してなんちゃって既成事実を」
「では、盛って服を乱して、血を……主様、これ……いや、まさかやる気ですか?」
「うん、クーちゃん」
「クーちゃんではありません、クー・チャンです。あ、主様、やめてください!」
これは隣国の帝国皇太子に嫁いだ小王国の『姫君』のお話。
溺愛
papiko
BL
長い間、地下に名目上の幽閉、実際は監禁されていたルートベルト。今年で20年目になる檻の中での生活。――――――――ついに動き出す。
※やってないです。
※オメガバースではないです。
【リクエストがあれば執筆します。】
ひとりぼっちの180日
あこ
BL
付き合いだしたのは高校の時。
何かと不便な場所にあった、全寮制男子高校時代だ。
篠原茜は、その学園の想像を遥かに超えた風習に驚いたものの、順調な滑り出しで学園生活を始めた。
二年目からは学園生活を楽しみ始め、その矢先、田村ツトムから猛アピールを受け始める。
いつの間にか絆されて、二年次夏休みを前に二人は付き合い始めた。
▷ よくある?王道全寮制男子校を卒業したキャラクターばっかり。
▷ 綺麗系な受けは学園時代保健室の天使なんて言われてた。
▷ 攻めはスポーツマン。
▶︎ タグがネタバレ状態かもしれません。
▶︎ 作品や章タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。
薬師は語る、その・・・
香野ジャスミン
BL
微かに香る薬草の匂い、息が乱れ、体の奥が熱くなる。人は死が近づくとこのようになるのだと、頭のどこかで理解しそのまま、身体の力は抜け、もう、なにもできなくなっていました。
目を閉じ、かすかに聞こえる兄の声、母の声、
そして多くの民の怒号。
最後に映るものが美しいものであったなら、最後に聞こえるものが、心を動かす音ならば・・・
私の人生は幸せだったのかもしれません。※「ムーンライトノベルズ」で公開中
可愛い男の子が実はタチだった件について。
桜子あんこ
BL
イケメンで女にモテる男、裕也(ゆうや)と可愛くて男にモテる、凛(りん)が付き合い始め、裕也は自分が抱く側かと思っていた。
可愛いS攻め×快楽に弱い男前受け
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる