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九話 疑惑の始まり

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 温泉から出て、人々が話している側で子鬼が風呂上がりには【コーヒー牛乳】を毎回飲んでいるからとゴクリゴクリと呑み始める。

「あーうっま!!」
「ほんとに自由な奴……」

 子鬼が微笑ましい光景を見せてくれるなか、人々が話をしている。

「あれってシノガタさんじゃないか?」
「聞いても正直な話、気の毒な感じがするじゃん?」
「まぁ、でもこんなところで、本人もかかわってるのに噂するのも――」
「でもアレ、村人を騙していた人間はざまぁって感じだよな」
「言えてる」

 騙していた。何のことだ。村を焼かれたのは確かだ、故に復讐した。


「……あのう」
「す、すいません本人がいるのに噂話なんか!!」
「そのの件について教えてもらえませんか?」
「ええっと俺はほんと新聞の記事で読んだだけで、お前は?」
「俺も――でも鬼なら当時の資料とか見てるだろ?」

 赤鬼様に何かご存知ならば教えて欲しいと。
 しばらく口を開けなかったが、しばらくして俺も良くしらないと。

「一応、資料として残ってはいるし相手もまだ地獄で責め苦を受けている。鬼として加担した言い方もできんしかといって隠したりはせん。真相がしりたければ俺はとめられない」

 真相、何が、あのとき村を焼かれた、だから焼きかえした。
 他にあるとでもいうのか、私は、その真相を知るべきなのか?
 私の復讐が間違っていた、とは考えたくはない。

「これだけ教えてください、私の村を焼き殺したのは隣村の連中だったかどうか!!」

 赤鬼、ナキは何とも言い難いと。

「……子鬼よ、お前らはどう考える」
「えぇ俺達っすか!?」
「オイラは別にそれ自体に間違いはねぇと思う、村を焼かれたから焼き返したのは本当だし。焼いたのは隣村の例の奴だろ?」
「まぁ……その、シノガタさんには難しい話が多いのでもっと今のことを知ってからでなければ難しいとだけは」
「シノガタさん文字も読めねぇもんな」

 新聞というものを渡されたが何も分からない。私は文字を読めない。

「噂しちゃったから見出しだけ読みます、前代未聞の異世界人」
「異世界?」

 子鬼たちが話しだした。異世界とか現代人なら理解できるが奈良時代の私には難しいだろう。せめて今の日本についてが先じゃないか、と。

「……私は、知りたい」

 知らねば私は生まれ変わることも終わることもえらべない。どんな結末を迎えるにしても私は真実と向き合う覚悟をしなければ。

「オイラ学校ってところ知ってるよ」
「学校?」
「いろんなことを知れる場所かな、行くか行かないかはシノガタさん次第だけど――」

 そこに行けば何かが分かると、赤鬼と共に学校とやらへ赴くことに決めた。
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