半監禁結婚

にくだんご

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そもそもシたからどう出来ないからどうって価値観が合わないんだと思います。

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逃げるように書斎に来てしまった。気にしてるだろうか。おでこにキスなんてしてしまったが、本当は今すぐ押し倒したかった。押し倒して、彼女をもっと見たい。見て、感じさせて、自分の物にしたい。
「はあぁ。」
深いため息が漏れる。綺麗過ぎるのだ、彼女は。簡単に手を出せる物でもなかった。


しばらく仕事をしてから、一息つく。彼女はお風呂に入った頃だろうか。確認しに行くと、リビングにもバスルームにもいない。ベランダの窓が少し空いていた。コソコソと話し声が聞こえる。
「でもかっこいいんだよ?私の好きなキャラクターに似てて。」
「だって華の好きなキャラだっていつもおじんじゃーん。」
電話越しに相手の声も聞こえてくる。彼女は声が小さい方だが、相手はなかなかの声量で話しているようだ。耳を傾けると、会話がよく聞こえた。
「で?」
「え、でって。なんですか。」
彼女の口調がまた緩やかで可愛い。普段自分と話す時はハキハキと落ち着いたトーンで話すため、新鮮だった。
「いや、シたの。えっち。」
「そっ、、、。そんなすぐしないよ。」
「えー!えっちしないで結婚決めたの!?」
「うん、、。でも、なんかそう言うのって私からしていいって言うのも変だし。」
「あー華が誘えるわけないしねぇ。なにせ、処女だしな!」
「ちょっ、、声でかいわあ。」
随分とあっけらかんとした友達を持っているようだ。処女という事にも少し驚いたが、あの家庭環境で男の子と遊ぶこともままならなかったのだろう。
「えー、じゃあキスは?」
「してないよぉ。」
「どうすんのめっちゃ口臭かったら。」
「絶対そんなことないからっ。」
楽しそうに話している。いつか自分にもこうやって素で向き合ってくれるのだろうか。
「籍入れる前に確認した方がいいと思うけどなあ。せめてキスはさ、あっちの相性もキスで結構わかるっていうし。」
「え?そうなの?」
「そーだよお。なんか美味しいらしいよ。私は美味しかったことないけど。」
「じゃあ椿の彼は運命の相手ではなかったんだねえ。」
「うわっ!そういうこと言う?結婚決まってる人の余裕かこれが!」
たしかに、学術的にはキスの相性はセックスの相性とも関連づいている。甘く感じるのは、遺伝子の相性が良いからだ。
「今日キスくらいしなよ。結婚してからじゃ後悔できないよ?」
「うう~。椿意地悪。キスだってした事ないの知ってるでしょ?」
「えー知らない知らない。初彼氏に手も繋がせてもらえないってフラれた話なんて知らない。」
「それ知ってるから!あ、そろそろ児江さんが来るかも。」
「はいよー。明日またかけてよ、どうだっだか教えてね。応援してるから。」
「ありがとう、椿。」
「まあ何より、華が自分で何かを選んだ事が嬉しいよ。」
「うん。じゃあ。」
そう言って彼女は電話を切った。慌てて冷蔵庫へ向かい、今来たふりをした。
「あ、児江さん。お仕事もう良いんですか?」
「うんまあ、ひと段落ついたからね。」
ああ言う話した後だからか、彼女は少し固くなっていた。
「あっ、私お風呂入ってきますね!すいませんダラダラしてしまって。」
そう言って彼女は足早に部屋を出た。
「はああ~~。」
深く息を吐き、しゃがみ込む。キス、もうして良いのか。したとして、その先を我慢できるのだろうか。彼女の初めてを大切にしたいと思い、簡単に手が出せない。なら結婚を急がなければ良いと思いもするが、早く彼女を繋ぎ止めたいと思ってしまっている。余裕の無さが彼女に伝わるのも嫌だ。自分自身、行為自体高校以来なのだ。
一度書斎に戻り、仕事を続けた。邪念が消えていく。


暫くすると、彼女がドアをノックした。
「どうぞー。」
仕事をしながら答える。
「あの、お茶を淹れました。」
「あ、ありがとう。」
この時間は寝れなくなるのが嫌で、水しか飲まないのだが、それは少しずつ気づいて貰えば良いと思い、お茶を啜る。普通のお茶と違う味がした。
「寝れなくなっちゃうと、あれかなって思って、ノンカフェインのお茶あったので。」
そんなお茶がある事自体知らなかった。お茶とは寝れなくなる物だと。お風呂上がりの匂いがする。乾かしたばかりの髪の毛は落ち着いており、すべすべした肌に思わず触りたくなる。
「児江さんは、カフェインとか、大丈夫な人ですか?」
「いいや、ありがとう。夜は水しか飲んでなかったから、凄く嬉しいよ。」
彼女の顔が緩んだ。素直な表情を見ると愛おしくなる。立ち上がって抱きしめる。
「僕も、お風呂入ってこようかな。」
というのも、あんな話を聞いてしまったせいか、彼女を見るだけで反応してしまうのだ。歳に合わず、恥ずかしい気持ちになる。
「じゃあ、私は寝室にいます。」
そう言って彼女は部屋を出た。
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