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前世で武神と呼ばれた男、依頼の話を聞く
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へロルフは押し黙ったあと口を開く。
俺を尾行していたこととは別件で話しがあるらしい。
「これは父親が治める都市近辺での話だ」
「うーん、帰っていい?」
「は?」
俺の投げやりな態度にへロルフは怒気を露わにする。
「だって、なんか面白くなさそうだ」
俺がそう言うと、へロルフは逡巡し、話しを切り出す。
「……単刀直入に言うと、都市近郊で凶悪な魔物の群れが出没した。それを退治するために後々に父親が冒険者ギルドに依頼をお願いするんだ。それをお前にも受けてもらおうという話だ」
「おいおい……おいおい!」
「痛っ、気安く肩に触れるな!」
俺はテンションが上がりすぎて、へロルフの肩を軽く叩いた。
「凶悪な魔物の群れか……ドラゴンかな」
「ドラゴンの群れがきたら町はとうに滅びている。そもそもドラゴンはプライドが高くて群れない」
「へぇ~」
俺は生返事をしながら前世を思い出していた。
火炎竜、氷結竜、緑深竜と呼ばれる、ドラゴンの王が三体共群れて襲いかかってきたのを思い出した。
確かにドラゴンは群れないが彼らには知性がある。単独では倒せない俺を倒すために徒党を組んで襲いかかってきたことがある。
ドラゴンの群れが良かったな。今の俺だと勝てないかもしれないが……っと、今はそれより依頼の話だ。
「魔物の正体は?」
「オーガーと呼ばれる魔物だ」
「オーガー……どんなんだっけ」
聞いたことがあるが思い出せない。
「……オーガーは人、動物、魔物、あらゆる生物を糧として生きる魔物だ。普通は群れたりはしない」
肌が緑っぽくて身長が三メートルから四メートルぐらいあるやつだ。
「話を続けるぞ」
へロルフがそう言うと、俺は応じるように頷く。
「オーガーが単独で行動するのは単純に強いからだ。ゴブリン、コボルト、オークを簡単に屠れて一人で生きることができる。しかし、森の中でオーガーが数体群れてるとの情報がきた。森にいるオーガーの調査という依頼を先に出したが依頼を受けた冒険者が消息不明だ」
「それは大変だな。早急にオーガーを片付けた方がいい」
「不思議なことに向かわせた冒険者以外の人的被害は出ていない。洞窟の中で身を潜めてるという報告を最後に冒険者は不明になっている。あまりにも不気味なオーガーだ。そのため後々に大々的に依頼を出し、姉上と共に参戦するつもりだ。どうだ? 戦い好きのお前なら、この依頼を――」
「受けます! オーガーの群れとの殴り合いか、へへへっ」
俺は食い気味に返事をし、口の端を上げた。
「そ、そうか……」
そんな俺に対し、へロルフは口を歪めていた。
そして、へロルフから依頼を受けるための方法を聞いた。依頼を受けるには冒険者ギルドで冒険者として登録しなければならないようだ。ちなみに冒険者ギルドは各都市にあり、登録した都市を拠点として活動することができるらしい。
今のところ村から出る予定がないのでわざわざ都市の冒険者ギルドに登録するのは面倒だ。
「村に冒険者ギルド作ることはできる?」
「領主の許可とギルド長合わせて五人のメンバーが必要だ。その条件さえ満たせれば、建物が掘っ立て小屋でもギルドとして認められる」
「じゃあ、俺とハッカとソリスと……へロルフとヒルダだな」
「なんで俺と姉上がいるんだ」
「とりあえず村に移住してみない?」
俺は軽いノリで誘ってみせた。
「俺は貴族の子息として参戦する。依頼は一週間後に各地に出す。依頼の実施日はさらにその一週間後だ。それまでにギルドを作るんだな」
へロルフは冷静に言葉を返し、身を翻した。
『寵愛の儀』を終えて、村でいつも通りの生活を送ろうと思っていたがいい目標ができた。
俺を尾行していたこととは別件で話しがあるらしい。
「これは父親が治める都市近辺での話だ」
「うーん、帰っていい?」
「は?」
俺の投げやりな態度にへロルフは怒気を露わにする。
「だって、なんか面白くなさそうだ」
俺がそう言うと、へロルフは逡巡し、話しを切り出す。
「……単刀直入に言うと、都市近郊で凶悪な魔物の群れが出没した。それを退治するために後々に父親が冒険者ギルドに依頼をお願いするんだ。それをお前にも受けてもらおうという話だ」
「おいおい……おいおい!」
「痛っ、気安く肩に触れるな!」
俺はテンションが上がりすぎて、へロルフの肩を軽く叩いた。
「凶悪な魔物の群れか……ドラゴンかな」
「ドラゴンの群れがきたら町はとうに滅びている。そもそもドラゴンはプライドが高くて群れない」
「へぇ~」
俺は生返事をしながら前世を思い出していた。
火炎竜、氷結竜、緑深竜と呼ばれる、ドラゴンの王が三体共群れて襲いかかってきたのを思い出した。
確かにドラゴンは群れないが彼らには知性がある。単独では倒せない俺を倒すために徒党を組んで襲いかかってきたことがある。
ドラゴンの群れが良かったな。今の俺だと勝てないかもしれないが……っと、今はそれより依頼の話だ。
「魔物の正体は?」
「オーガーと呼ばれる魔物だ」
「オーガー……どんなんだっけ」
聞いたことがあるが思い出せない。
「……オーガーは人、動物、魔物、あらゆる生物を糧として生きる魔物だ。普通は群れたりはしない」
肌が緑っぽくて身長が三メートルから四メートルぐらいあるやつだ。
「話を続けるぞ」
へロルフがそう言うと、俺は応じるように頷く。
「オーガーが単独で行動するのは単純に強いからだ。ゴブリン、コボルト、オークを簡単に屠れて一人で生きることができる。しかし、森の中でオーガーが数体群れてるとの情報がきた。森にいるオーガーの調査という依頼を先に出したが依頼を受けた冒険者が消息不明だ」
「それは大変だな。早急にオーガーを片付けた方がいい」
「不思議なことに向かわせた冒険者以外の人的被害は出ていない。洞窟の中で身を潜めてるという報告を最後に冒険者は不明になっている。あまりにも不気味なオーガーだ。そのため後々に大々的に依頼を出し、姉上と共に参戦するつもりだ。どうだ? 戦い好きのお前なら、この依頼を――」
「受けます! オーガーの群れとの殴り合いか、へへへっ」
俺は食い気味に返事をし、口の端を上げた。
「そ、そうか……」
そんな俺に対し、へロルフは口を歪めていた。
そして、へロルフから依頼を受けるための方法を聞いた。依頼を受けるには冒険者ギルドで冒険者として登録しなければならないようだ。ちなみに冒険者ギルドは各都市にあり、登録した都市を拠点として活動することができるらしい。
今のところ村から出る予定がないのでわざわざ都市の冒険者ギルドに登録するのは面倒だ。
「村に冒険者ギルド作ることはできる?」
「領主の許可とギルド長合わせて五人のメンバーが必要だ。その条件さえ満たせれば、建物が掘っ立て小屋でもギルドとして認められる」
「じゃあ、俺とハッカとソリスと……へロルフとヒルダだな」
「なんで俺と姉上がいるんだ」
「とりあえず村に移住してみない?」
俺は軽いノリで誘ってみせた。
「俺は貴族の子息として参戦する。依頼は一週間後に各地に出す。依頼の実施日はさらにその一週間後だ。それまでにギルドを作るんだな」
へロルフは冷静に言葉を返し、身を翻した。
『寵愛の儀』を終えて、村でいつも通りの生活を送ろうと思っていたがいい目標ができた。
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