32 / 34
番外編
サフィラ「攻めとの身長差を気にする受けは最高ですね!」
しおりを挟む
マールは非常に不満に思っていた。何が不満だったか、そうパデラの身長だ。
入学したての頃はパデラの方が少し上かなー? くらいの身長差だった。触ろうと思えばパデラの頭に触れられるくらいだ。しかし、あれから五か月程経った。パデラの身長は伸び、マールより八センチくらい大きいという差がついてしまった。これはパデラの成長が早いとか凄いとかではなく、マールの身長が低い。それで尚更不満だった。
加えて声だ。パデラは最近喉が痛いとか言うから「バカのくせに風邪か?」と笑ってやったが、どうやら風邪ではなく変声期のようだ。本人は気付いていないが、パデラの声がちょっとだけだが低くなってきている。
授業の実戦中、マールは確実に大きくなってきているパデラをじっと見つめていた。
「なぁ、マール。どうした?」
視線に気づいたパデラが魔力を引っ込め、マールの所に駆け寄る。
「なんで僕の身長は伸びないんだろうか」
反射で悩みを話してしまった。それが運の尽きと言うか、間違いだった。そのせいで、知りたくなかったことを知ってしまった。
「んー、魔力の使い過ぎじゃね? ほら言うじゃん。成長期前から魔力を使い過ぎると、体が「成長しなくとも魔力があるから大丈夫」って判断して、成長の妨げになるって」
「なにそれ、初めて聞いたんだけど」
魔力が成長の妨げになるなんて初耳だ。
「マジで? 俺十歳になった時に父さんから聞いたけど。だから身長が欲しいならほどほどにしとけって。お前、何するにも魔力使うじゃんか」
十歳になったときに教えてもらう事らしい。
しかし、マールは十歳になる頃に心情氷結を起こし三年の間も山に籠った。知っているわけがない。そして、魔力の使い過ぎには心当たりしかない。山に籠ってからもそうだが、その前も今も。半分魔力で生きているようなモノだ。
「……もっと早く教えろバカ!」
「マール頭いいから知ってるっておもったからぁー!」
「嘘つけ! 絶対嘘だろそれ!」
その物言いは絶対マールが知らない事を分かっていて黙っていた。こいつ、マウント取りたいからって手が卑怯だ。と言うか、元々お前の方が出来る事多いじゃんか。
「さぁどうでしょー!」
「うっざ!」
こいつ、ちょっと身長高いからって調子乗りやがって。ちょっと大人っぽくなったからって、ちょっと男らしくなったからって! 調子のりやがって! とマールは心の中で沸々としているのに気付いているのかいないのか、パデラはニヨニヨにながらマールの頭をぽんぽんとしてやる。
そんな様子をサフィラは、一見教師として見守っているように感じるが、実際はBL的な妄想をして盛り上がり、頬を緩ませるのを我慢していた。
入学したての頃はパデラの方が少し上かなー? くらいの身長差だった。触ろうと思えばパデラの頭に触れられるくらいだ。しかし、あれから五か月程経った。パデラの身長は伸び、マールより八センチくらい大きいという差がついてしまった。これはパデラの成長が早いとか凄いとかではなく、マールの身長が低い。それで尚更不満だった。
加えて声だ。パデラは最近喉が痛いとか言うから「バカのくせに風邪か?」と笑ってやったが、どうやら風邪ではなく変声期のようだ。本人は気付いていないが、パデラの声がちょっとだけだが低くなってきている。
授業の実戦中、マールは確実に大きくなってきているパデラをじっと見つめていた。
「なぁ、マール。どうした?」
視線に気づいたパデラが魔力を引っ込め、マールの所に駆け寄る。
「なんで僕の身長は伸びないんだろうか」
反射で悩みを話してしまった。それが運の尽きと言うか、間違いだった。そのせいで、知りたくなかったことを知ってしまった。
「んー、魔力の使い過ぎじゃね? ほら言うじゃん。成長期前から魔力を使い過ぎると、体が「成長しなくとも魔力があるから大丈夫」って判断して、成長の妨げになるって」
「なにそれ、初めて聞いたんだけど」
魔力が成長の妨げになるなんて初耳だ。
「マジで? 俺十歳になった時に父さんから聞いたけど。だから身長が欲しいならほどほどにしとけって。お前、何するにも魔力使うじゃんか」
十歳になったときに教えてもらう事らしい。
しかし、マールは十歳になる頃に心情氷結を起こし三年の間も山に籠った。知っているわけがない。そして、魔力の使い過ぎには心当たりしかない。山に籠ってからもそうだが、その前も今も。半分魔力で生きているようなモノだ。
「……もっと早く教えろバカ!」
「マール頭いいから知ってるっておもったからぁー!」
「嘘つけ! 絶対嘘だろそれ!」
その物言いは絶対マールが知らない事を分かっていて黙っていた。こいつ、マウント取りたいからって手が卑怯だ。と言うか、元々お前の方が出来る事多いじゃんか。
「さぁどうでしょー!」
「うっざ!」
こいつ、ちょっと身長高いからって調子乗りやがって。ちょっと大人っぽくなったからって、ちょっと男らしくなったからって! 調子のりやがって! とマールは心の中で沸々としているのに気付いているのかいないのか、パデラはニヨニヨにながらマールの頭をぽんぽんとしてやる。
そんな様子をサフィラは、一見教師として見守っているように感じるが、実際はBL的な妄想をして盛り上がり、頬を緩ませるのを我慢していた。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説

【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

完結 愛のない結婚ですが、何も問題ありません旦那様!
音爽(ネソウ)
恋愛
「私と契約しないか」そう言われた幼い貧乏令嬢14歳は頷く他なかった。
愛人を秘匿してきた公爵は世間を欺くための結婚だと言う、白い結婚を望むのならばそれも由と言われた。
「優遇された契約婚になにを躊躇うことがあるでしょう」令嬢は快く承諾したのである。
ところがいざ結婚してみると令嬢は勤勉で朗らかに笑い、たちまち屋敷の者たちを魅了してしまう。
「奥様はとても素晴らしい、誰彼隔てなく優しくして下さる」
従者たちの噂を耳にした公爵は奥方に興味を持ち始め……

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

あなたのことなんて、もうどうでもいいです
もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。
元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。


もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる