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仲良し兄弟の形はそれぞれ違う。
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次の日の朝、パデラが目を覚ます。隣を確認してみると、すでにマールは起きているようだ。半分の意識で外に目をやると、そこにいた。時刻は日が出切っていない朝四時。昨日、早く寝すぎて起きてしまったのだろう。パジャマのまま地べたにペタンと座り、ぼーっと空を眺めている。
パデラは、まだ眠る使い魔を起こさないように、静かに起き上がり外に出る。
そして、半分眠そうな声でマールに話しかけた。
「よぉマール」
「あぁ、パデラ。おはよう」
マールは慣れない微笑みを浮かべる。こちらも起きたばかりではあるから、まだぼんやりとしている状態だ。
「もうちょっと寝ようぜ」
腕を引き促すと、マールは素直に頷いた。
「そうだな……」
魔力で軽くついた汚れを落とし、二人はベッドに寝転がった。こうしてみるとふかふかで、気持ちよかった。
再度目が覚めた時は、朝の七時になっていた。目覚めもすっきりで、丁度いい時間だ。
エテルノ達もど途に出てきて、身だしなみを整えたらすぐに行こうと決めた。
鏡を取り出し、髪を軽く整いていると、後ろで使い魔二匹が話し出した。
『こうしてみると、身長以外で見分けつかねぇな』
『よくみろ、ピピル。目の色が若干違う、それに魔力の属性も違うだろ。これで見分けられる』
『なるほどぉー』
使い魔達の気持ちは良くわかる。この先祖とは、自分でも一目で分かるほど似ているのだ。
「ほんと、アサナトって兄ちゃんよりも俺と同じ顔だぜ」
パデラから見ても、同じ親から生まれた兄よりも似ている。おそらくアサナトを兄に見せたら、少し嫉妬するだろう。アイツは結構な弟好きだ。
アサナトはパデラの兄の事が気になった。自分にそっくりな奴の兄貴……となると、そいつも俺に似ているのだろうか。
「お前の兄ちゃんどんな奴?」
「兄ちゃんはねー、右翼州だか左兄翼州だかでちっちぇーやつに簡単な魔法教えるやつやってる」
職業を訊いたわけではないが、それはそれで興味深い内容だ。
エテルノはパデラの簡易的な説明で、あてはまる職業を一つ思い出した。
「あぁー、幼児魔力教育者か」
幼児魔力教育者、まさにパデラの言う内容の仕事だ。
魔力が発生してから、学校に入学出来る歳になるまでの約十年の間に通う事が可能な施設がある。そこで、歳にあった簡単な魔法を教えたり、魔力で遊んでみたりと……日本で言う、保育園や幼稚園みたいなもの。
魔法実力もそうだが、これは加えて頭がよくないとなれない職業だ。
「意外だな。パデラの兄貴なのに」
マールが呟くと、パデラは自慢げに笑う。
「兄ちゃんは頭いいぞ~、今度会うか?」
「気になる」
それは普通に会ってみたい。マールが即答すると、アサナトが「俺も俺もー」と手を上げた。
「じゃあ、後で連絡しとくな」
パデラはついでに二人にも訊いた。
「アサナトとエテルノはいたの? 弟」
「僕は妹がいたな。一歳だけ年下の」
「俺は結構年上の姉ちゃんが二人いたぜ。娘二人産んでしばらくしてから、母さんが、やっぱ息子も欲しいって父さんに言って、俺が出来たんだって」
「そうなんだ」
女兄弟とかどんな感じなのだろうか。マールは訊いてみようと思ったが、きっと覚えてないだろうと思ったので触れなかった。
制服を着ると直ぐに出かけた。小屋はピピルが魔法で回収し、その跡には何も残らなかった。
歩いていると、段々暗竜様の魔力が強まっていき、城が近づいてきている事が分かる。
もう少しだというところで、エテルノが足を止めなにやら考え始めた。
「マール。ここから先は、このままじゃついていけない」
考えた末に放ったその言葉。
なぜか気になったマールは首を傾げて尋ねた。
「どうして?」
「僕等、長年封印されてたからか肉体が不安定でな、暗竜様の魔力が強すぎるから呑まれるかもしれない」
そんなことあるのかと内心驚いていると、パデラがそれ以上に驚愕していた。
「そんなことあるん⁉」
「うん、あるの」
頷くと、エテルノは水晶を指さした。
「だから、その中にいる。僕の魔力は好きに使っていいから」
「おう、そうだな。俺のも使っていいぞー」
アサナトとエテルノは勝手に杖を引き出し、水晶の中に入ってしまった。そこで納得できた、肉体が不安定だからこの中に入れるのかと。
「じゃあ行こうか」
気を取り直して進もうとすると、パデラが木陰を指さしちょっと休んでこうぜとマールの袖を引っ張る。
断る理由もないから、そうすることにした。しかし、体力は残ってるだろうにどうしたのだろうか。不思議に思っていると、答えは直ぐに分かった。
「なぁマール。昨日、リールから俺を通してお前に連絡来てさ、これ」
それを見せたかったのか。マールはパデラから差し出された魔力の塊を受け取り、メッセージを確認するために宙に広げる。
『ねぇ兄さん、知ってた? 兄さんみたいな人を世の中ではツンデレって言うんだよ(/・ω・)/ヤーイツンデレー。あ、パデラさんに兄さんの事は教えておいたから、安心してね! いつでも帰りを待ってるからね(=^・ω・^=)兄さんの使い魔、見たいなぁ~。
可愛い弟、リールより。
追伸、彼氏できたら教えてね(*・ω・*)』
一読すると、それは即閉じた。そして、魔力の塊となったそれをすりつぶし、自身のモノとして吸収する。
ツッコミどころが多すぎる。まずツンデレではないし、パデラに教えておいただ? 余計な事をするな。
そして一番言いたいのは、最後の追伸。間違えるわけないだろう、自分は男だ。つくモンついているさ。女に興味ないと言っても、男が好きなわけではない。総じて言いたい事は、兄をからかうのも大概にしろ。
「パデラ、リールに送っておけ」
「なんだ?」
言いたいことは色々あるが、全部ひっくりめて一言。
「『次会った時、覚悟してろ』」
「おうよ」
微苦笑を浮かべ、パデラは言われた通りの言葉を送った。
この威圧感。おそらく文字越しでも伝わるだろう。
パデラは始まりそうな兄弟喧嘩を想定し、その時はどうやって止めるかを試行錯誤していた。この兄弟を本気で喧嘩させるのはまずい。まあ、何とかなるかと片付け、道の先に進むことにした。
パデラは、まだ眠る使い魔を起こさないように、静かに起き上がり外に出る。
そして、半分眠そうな声でマールに話しかけた。
「よぉマール」
「あぁ、パデラ。おはよう」
マールは慣れない微笑みを浮かべる。こちらも起きたばかりではあるから、まだぼんやりとしている状態だ。
「もうちょっと寝ようぜ」
腕を引き促すと、マールは素直に頷いた。
「そうだな……」
魔力で軽くついた汚れを落とし、二人はベッドに寝転がった。こうしてみるとふかふかで、気持ちよかった。
再度目が覚めた時は、朝の七時になっていた。目覚めもすっきりで、丁度いい時間だ。
エテルノ達もど途に出てきて、身だしなみを整えたらすぐに行こうと決めた。
鏡を取り出し、髪を軽く整いていると、後ろで使い魔二匹が話し出した。
『こうしてみると、身長以外で見分けつかねぇな』
『よくみろ、ピピル。目の色が若干違う、それに魔力の属性も違うだろ。これで見分けられる』
『なるほどぉー』
使い魔達の気持ちは良くわかる。この先祖とは、自分でも一目で分かるほど似ているのだ。
「ほんと、アサナトって兄ちゃんよりも俺と同じ顔だぜ」
パデラから見ても、同じ親から生まれた兄よりも似ている。おそらくアサナトを兄に見せたら、少し嫉妬するだろう。アイツは結構な弟好きだ。
アサナトはパデラの兄の事が気になった。自分にそっくりな奴の兄貴……となると、そいつも俺に似ているのだろうか。
「お前の兄ちゃんどんな奴?」
「兄ちゃんはねー、右翼州だか左兄翼州だかでちっちぇーやつに簡単な魔法教えるやつやってる」
職業を訊いたわけではないが、それはそれで興味深い内容だ。
エテルノはパデラの簡易的な説明で、あてはまる職業を一つ思い出した。
「あぁー、幼児魔力教育者か」
幼児魔力教育者、まさにパデラの言う内容の仕事だ。
魔力が発生してから、学校に入学出来る歳になるまでの約十年の間に通う事が可能な施設がある。そこで、歳にあった簡単な魔法を教えたり、魔力で遊んでみたりと……日本で言う、保育園や幼稚園みたいなもの。
魔法実力もそうだが、これは加えて頭がよくないとなれない職業だ。
「意外だな。パデラの兄貴なのに」
マールが呟くと、パデラは自慢げに笑う。
「兄ちゃんは頭いいぞ~、今度会うか?」
「気になる」
それは普通に会ってみたい。マールが即答すると、アサナトが「俺も俺もー」と手を上げた。
「じゃあ、後で連絡しとくな」
パデラはついでに二人にも訊いた。
「アサナトとエテルノはいたの? 弟」
「僕は妹がいたな。一歳だけ年下の」
「俺は結構年上の姉ちゃんが二人いたぜ。娘二人産んでしばらくしてから、母さんが、やっぱ息子も欲しいって父さんに言って、俺が出来たんだって」
「そうなんだ」
女兄弟とかどんな感じなのだろうか。マールは訊いてみようと思ったが、きっと覚えてないだろうと思ったので触れなかった。
制服を着ると直ぐに出かけた。小屋はピピルが魔法で回収し、その跡には何も残らなかった。
歩いていると、段々暗竜様の魔力が強まっていき、城が近づいてきている事が分かる。
もう少しだというところで、エテルノが足を止めなにやら考え始めた。
「マール。ここから先は、このままじゃついていけない」
考えた末に放ったその言葉。
なぜか気になったマールは首を傾げて尋ねた。
「どうして?」
「僕等、長年封印されてたからか肉体が不安定でな、暗竜様の魔力が強すぎるから呑まれるかもしれない」
そんなことあるのかと内心驚いていると、パデラがそれ以上に驚愕していた。
「そんなことあるん⁉」
「うん、あるの」
頷くと、エテルノは水晶を指さした。
「だから、その中にいる。僕の魔力は好きに使っていいから」
「おう、そうだな。俺のも使っていいぞー」
アサナトとエテルノは勝手に杖を引き出し、水晶の中に入ってしまった。そこで納得できた、肉体が不安定だからこの中に入れるのかと。
「じゃあ行こうか」
気を取り直して進もうとすると、パデラが木陰を指さしちょっと休んでこうぜとマールの袖を引っ張る。
断る理由もないから、そうすることにした。しかし、体力は残ってるだろうにどうしたのだろうか。不思議に思っていると、答えは直ぐに分かった。
「なぁマール。昨日、リールから俺を通してお前に連絡来てさ、これ」
それを見せたかったのか。マールはパデラから差し出された魔力の塊を受け取り、メッセージを確認するために宙に広げる。
『ねぇ兄さん、知ってた? 兄さんみたいな人を世の中ではツンデレって言うんだよ(/・ω・)/ヤーイツンデレー。あ、パデラさんに兄さんの事は教えておいたから、安心してね! いつでも帰りを待ってるからね(=^・ω・^=)兄さんの使い魔、見たいなぁ~。
可愛い弟、リールより。
追伸、彼氏できたら教えてね(*・ω・*)』
一読すると、それは即閉じた。そして、魔力の塊となったそれをすりつぶし、自身のモノとして吸収する。
ツッコミどころが多すぎる。まずツンデレではないし、パデラに教えておいただ? 余計な事をするな。
そして一番言いたいのは、最後の追伸。間違えるわけないだろう、自分は男だ。つくモンついているさ。女に興味ないと言っても、男が好きなわけではない。総じて言いたい事は、兄をからかうのも大概にしろ。
「パデラ、リールに送っておけ」
「なんだ?」
言いたいことは色々あるが、全部ひっくりめて一言。
「『次会った時、覚悟してろ』」
「おうよ」
微苦笑を浮かべ、パデラは言われた通りの言葉を送った。
この威圧感。おそらく文字越しでも伝わるだろう。
パデラは始まりそうな兄弟喧嘩を想定し、その時はどうやって止めるかを試行錯誤していた。この兄弟を本気で喧嘩させるのはまずい。まあ、何とかなるかと片付け、道の先に進むことにした。
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