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第九章 海賊編
乱戦〜朝〜☆
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朝が来た。
船のあちこちが腐食してできた隙間から朝日が差し込んで、船内に細い光の筋を幾つも投げかけている。
銃弾が船体に当たる音がする。時折、船の上を誰かがよじ登り、駆けていく足音がする。
マルスはルビーの激情を飲み込んだ。舌を絡め取り、口腔の隅々まで舐め回し、更に奥深く挿し入れて、息をつく間も与えない。
ルビーはいつしか怒りを忘れていた。代わりに、躰の奥深くがじんじんと疼き出す。何かを、もっともっと、と欲しがっている。ルビーはたまらずマルスの頸に腕を絡めた。これ以上ないほど奥まで舌を絡めているのに、まだ足りない。もっと、もっと。
マルスはそんなルビーに応えるように、ルビーの服の中に手を滑り込ませた。滑らかな背中を直に抱きしめると、ルビーは小さく息を呑んだ。
「は……あっ……」
マルスの掌の愛撫に耐えきれず、ルビーは身を捩った。だが勿論マルスの腕からは逃げられない。
と、その時、兵士が壁一枚挟んですぐ外側に立った。ルビーたちのいる船体を盾にして、銃を構えている。
(声を上げたら、見つかる――!)
ルビーは必死で声を飲み込んだ。そんなことはお構いなしに、マルスの手が乳房を包み、先端を摘む。ルビーは涙を滲ませて唇を噛み締めた。
船体に銃弾が当たる音がする。
マルスの手がルビーの躰を滑り降り、両脚の間へ差し込まれた。
「……っ、く」
喘ぎかけた唇を、マルスの唇が塞いだ。長い指先が蕾を見つけ、くるくると転がすように愛撫する。
全身を貫いた快感に、ルビーは思わずマルスを押しのけようとした。当然ながらマルスはびくともしない。どころか、更に執拗に秘所を蹂躙してくる。固く閉じたルビーの入り口をなぞり、割り開く。
「――――っ!」
指の先端が挿入っただけで、ルビーは喉を反らせて悶えた。その首筋をマルスが甘噛みする。
ルビーはたまらずマルスにしがみついた。正体のわからない何かの波が、躰の奥から溢れてくる。
マルスは溢れ出た蜜を指に絡ませ、狭い襞を割って奥まで挿し入れた。ルビーの顔が苦痛に歪む。マルスはそんなルビーを眺めながら、ゆっくりと感じる場所を探して指を動かした。痺れるような感覚に、ルビーは恍惚とした。もう痛みは感じなかった。
ルビーはマルスの氷色の瞳を覗き込んで、無言のまま懇願した。
マルスは屹立したそれを、ルビーの入り口に充てがった。だがそこは、たっぷりの蜜で濡れそぼっているとはいえ、まだとても狭かった。
「息を大きく吸って、ゆっくり吐け」
マルスはルビーに囁いた。言われるままに息を吸い、ふうっと吐息を吐き出した瞬間、少しだけ緩んだそこにマルスは侵入した。
「――!」
両眼と口をいっぱいに開いて、ルビーは無言で衝撃に耐えた。
その時、ダァン、ダァン、と銃声がした。
「ぐあっ……」
すぐ外に潜んでいた兵士が、ドン、と船体に寄りかかった。撃たれたのだ、とルビーが思った瞬間、マルスがルビーの奥まで突き入れた。
「――――っ…………!」
ダァン、ともう一度、銃声が鳴った。錆びた鉄の隙間から、兵士の血液が中に吹き込んできた。それは暗がりに差し込む朝日の筋の中に鮮やかに赤く、ルビーの目に焼き付いた。
*
誰の目にも国軍の勝利は確実だった。
それが覆ったのは、イランとカイヤーンの主力部隊がいよいよ市場から撤退しようというときだった。
「そろそろみんな、ドレイクの船に移ったかな」
イランが昇りきった太陽を見上げて言った。カナルが倉庫から奴隷たちを誘導してくれているはずだった。
「もう、腕が上がらねぇ」
カイヤーンが曲剣をだらりと提げて言った。
「ああ、頃合いだな。撤退しよう」
そう言うイランの槍先も低い。
「――おい」
退路を確認しようと背後を見たカイヤーンは、呆然とした。
「なんか、撤退できねえみたいだぞ」
「いや、これ以上は死人が増えるだけだ」
「そうじゃなくて。見てみろよ、うしろ」
「え?」
ようやくイランも振り返る。イランがそこに見たのは、倉庫街へと続く海岸を、砂煙を立てて駆けてくる集団だった。
イランは地面が揺れているかと思った。
わああああ……と雄叫びを上げて迫ってくるのは。
「……あいつら……逃げなかったのか……」
千人強の奴隷集団の攻撃の前に、三百の陸軍治安部隊はあえなく敗走した。
奴隷たちはほぼ素手での攻撃だったが、圧倒的な数の差と、一晩中カナン自由民と戦い続けていた国軍側の疲労が、勝敗を決した。更に直前での総指揮官の戦線離脱も響いていた。
船のあちこちが腐食してできた隙間から朝日が差し込んで、船内に細い光の筋を幾つも投げかけている。
銃弾が船体に当たる音がする。時折、船の上を誰かがよじ登り、駆けていく足音がする。
マルスはルビーの激情を飲み込んだ。舌を絡め取り、口腔の隅々まで舐め回し、更に奥深く挿し入れて、息をつく間も与えない。
ルビーはいつしか怒りを忘れていた。代わりに、躰の奥深くがじんじんと疼き出す。何かを、もっともっと、と欲しがっている。ルビーはたまらずマルスの頸に腕を絡めた。これ以上ないほど奥まで舌を絡めているのに、まだ足りない。もっと、もっと。
マルスはそんなルビーに応えるように、ルビーの服の中に手を滑り込ませた。滑らかな背中を直に抱きしめると、ルビーは小さく息を呑んだ。
「は……あっ……」
マルスの掌の愛撫に耐えきれず、ルビーは身を捩った。だが勿論マルスの腕からは逃げられない。
と、その時、兵士が壁一枚挟んですぐ外側に立った。ルビーたちのいる船体を盾にして、銃を構えている。
(声を上げたら、見つかる――!)
ルビーは必死で声を飲み込んだ。そんなことはお構いなしに、マルスの手が乳房を包み、先端を摘む。ルビーは涙を滲ませて唇を噛み締めた。
船体に銃弾が当たる音がする。
マルスの手がルビーの躰を滑り降り、両脚の間へ差し込まれた。
「……っ、く」
喘ぎかけた唇を、マルスの唇が塞いだ。長い指先が蕾を見つけ、くるくると転がすように愛撫する。
全身を貫いた快感に、ルビーは思わずマルスを押しのけようとした。当然ながらマルスはびくともしない。どころか、更に執拗に秘所を蹂躙してくる。固く閉じたルビーの入り口をなぞり、割り開く。
「――――っ!」
指の先端が挿入っただけで、ルビーは喉を反らせて悶えた。その首筋をマルスが甘噛みする。
ルビーはたまらずマルスにしがみついた。正体のわからない何かの波が、躰の奥から溢れてくる。
マルスは溢れ出た蜜を指に絡ませ、狭い襞を割って奥まで挿し入れた。ルビーの顔が苦痛に歪む。マルスはそんなルビーを眺めながら、ゆっくりと感じる場所を探して指を動かした。痺れるような感覚に、ルビーは恍惚とした。もう痛みは感じなかった。
ルビーはマルスの氷色の瞳を覗き込んで、無言のまま懇願した。
マルスは屹立したそれを、ルビーの入り口に充てがった。だがそこは、たっぷりの蜜で濡れそぼっているとはいえ、まだとても狭かった。
「息を大きく吸って、ゆっくり吐け」
マルスはルビーに囁いた。言われるままに息を吸い、ふうっと吐息を吐き出した瞬間、少しだけ緩んだそこにマルスは侵入した。
「――!」
両眼と口をいっぱいに開いて、ルビーは無言で衝撃に耐えた。
その時、ダァン、ダァン、と銃声がした。
「ぐあっ……」
すぐ外に潜んでいた兵士が、ドン、と船体に寄りかかった。撃たれたのだ、とルビーが思った瞬間、マルスがルビーの奥まで突き入れた。
「――――っ…………!」
ダァン、ともう一度、銃声が鳴った。錆びた鉄の隙間から、兵士の血液が中に吹き込んできた。それは暗がりに差し込む朝日の筋の中に鮮やかに赤く、ルビーの目に焼き付いた。
*
誰の目にも国軍の勝利は確実だった。
それが覆ったのは、イランとカイヤーンの主力部隊がいよいよ市場から撤退しようというときだった。
「そろそろみんな、ドレイクの船に移ったかな」
イランが昇りきった太陽を見上げて言った。カナルが倉庫から奴隷たちを誘導してくれているはずだった。
「もう、腕が上がらねぇ」
カイヤーンが曲剣をだらりと提げて言った。
「ああ、頃合いだな。撤退しよう」
そう言うイランの槍先も低い。
「――おい」
退路を確認しようと背後を見たカイヤーンは、呆然とした。
「なんか、撤退できねえみたいだぞ」
「いや、これ以上は死人が増えるだけだ」
「そうじゃなくて。見てみろよ、うしろ」
「え?」
ようやくイランも振り返る。イランがそこに見たのは、倉庫街へと続く海岸を、砂煙を立てて駆けてくる集団だった。
イランは地面が揺れているかと思った。
わああああ……と雄叫びを上げて迫ってくるのは。
「……あいつら……逃げなかったのか……」
千人強の奴隷集団の攻撃の前に、三百の陸軍治安部隊はあえなく敗走した。
奴隷たちはほぼ素手での攻撃だったが、圧倒的な数の差と、一晩中カナン自由民と戦い続けていた国軍側の疲労が、勝敗を決した。更に直前での総指揮官の戦線離脱も響いていた。
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