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シャンテーネ
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今日は、待ちに待ったディナーデート。
洋服は、テオバルト様が好きそうなワンピースを選んだ。
透け感があって、フワフワで、思わず触れてみたくなるような、そんな男性受けが良さそうなワンピース。
それを皺にならないようバッグに詰め、王宮へ出勤した。
王宮は、魔塔と違って人が多い。
仲の良い友達も出来つつあり、私的には非常に充実した毎日を送っている。
ただ、少しだけ懸念していることがある。
それは、王宮には美女が多いということ。
その中で一番の美女は、王宮図書館で司書をしているハンナ様。
もちろん司書をしているくらいだから、頭脳明晰で、何より本好きなはず。
そしてテオバルト様も大の本好きだから、ちょくちょく王宮図書館へ出入りしている。
まぁ、テオバルト様に限って浮気とかしないと思うけど、世の中何が起きるかわからない。
そう思っていたら、今まさにテオバルト様が王宮図書館から出てきた。
「テオバルト様、おはようございます」
「ああ、おはよう」
「この頃、よく図書館に行きますよね。本の貸し借りなら助手である私がしますので、命じて下さい」
「いや、大丈夫だ」
こっちが大丈夫じゃないのに。
少し探りを入れてみよっかな。
「わかりました。そういえば近衛兵のジョン様が、王宮図書館にすっごい美人司書さんがいるって言ってましたが本当ですか? テオバルト様、知っていますか?」
ジョン様が言っていたというのは全くの嘘だ。
引き合いにだして申し訳ないけど、この会話が漏れることないだろうし、問題ないよね。
「恐らく、ハンナ・フックスのことだろう」
フルネームを知っているとは……。
雲行きが怪しいぞ。
「ハンナ様って言うんですね。ジョン様に脈ありそうですか?」
「さあ……。そんなことより、随分ジョンと仲良さそうだな」
まずい、なんか墓穴ほったかも。
「えっ…、そんなことありませんよ。あ、そういえば今日ですけど、何時頃、レストランを予約してるんですか? 今からすっごく楽しみです」
私は愛想笑いしつつ、強引に違う話題にもって行った。
テオバルト様はまだ不信感を募らせた表情をしているけど、手を握ったら表情が和らいだ。
それから私達は仕事に没頭し、アッと言う間に夕方に。
そろそろディナーデートに出かける時間。
私は、仕事を切り上げ、別室で念入りに化粧をし直し、制服から私服へ着替えた。
別室から戻ると、テオバルト様は上着だけ、別のオシャレなジャケットに着替えていた。
「そろそろ行こう」
「はい」
ディナーする場所は、なんと私がずっと行きたいと思っていた青い屋根のレストラン、シャンテーネ。
凄く人気店だから予約を取るのが大変だったはず。
でも、あれ……、なんでお客さんが私達以外、誰もいないのだろう。
もしかして、このお店も貸し切りにしたとか?
一体、どうやってこの人気店を……。
「テオバルト様、まさかとは思いますが、このお店もテオバルト様がオーナーだったりしますか?」
「ああ」
国一番の富豪を侮っていた。
このお店までテオバルト様が所有していたとは……、恐れ入りました。
スタッフも愛想がいいはずだ。
でも貸し切りにしたにしては、スタッフの数が多い気がする。
1,2,3……、10人以上いる。
その他にもコックさんもいて、生演奏している奏者も4人いて、トータル20人以上いると思われる。
私達2人だけのために、こんなにも多くの人から接待されるなんて、この上ない贅沢。
でも、テオバルト様が私の為にしてくれたことだし、ここは思う存分、その贅沢を享受させて頂こう。
「テオバルト様、こんな素敵なレストランに連れてきてくれて、ありがとうございます」
「ああ」
「ここって、床もテーブルも、天井も、全てがピカピカですね。素敵です」
「ああ」
テオバルト様は事前に、料理もドリンクも予約していたらしく、私達が着席すると、ウェルカムドリンク、前菜、スープ、ワインとタイミング良く運ばれてくる。
「このスープ、濃厚でとても美味しいです」
「ああ」
あれ、なんでテオバルト様「ああ」しか言わないんだろう。
さっきからずっと「ああ」だけだよね。
ならば「ああ」では答えられない質問をしてみよう。
「テオバルト様は、好きな食べ物は何ですか?」
「ああ」
やっぱり。
テオバルト様、どうしたんだろう?
具合悪いとか……?
うーーん、表情を見る限るそんなことはないけど、どこか上の空だ。
もう、せっかくのデートなのに。
でも私がムッとしても、テオバルト様は気が付かない。
機嫌を取るような事をいっても、何を言っても、「ああ」しかテオバルト様は言わない。
結局、テオバルト様の「ああ」はディナーが終わるまで続いた。
しかし馬車に乗り込んだテオバルト様は、さっきとは打って変わり、何か覚悟を決めたような真剣な顔をして、私を真っすぐ見る、じっと、じ~~~っと。
暫く視線を合わせていたけど、どうも耐えられなくなり私は視線をずらした。
その時、テオバルト様は私の手をギュッと握りしめる。
「アメリア、今から転移する」
テオバルト様の屋敷のベッドの上に転移するんだよね、それで、とうとうエッチなお時間……、じゃなくテオバルト様の幸せな時間を満喫するんだよね。
私はちゃんと、わかってます。
そう思っていたのに、私の的は大外れ。
転移した先は、だだっ広い野原、じゃなく湖……かな。
私達、湖の上に立っている?
いや立っているんじゃなくて、浮かんでいる?
「テオバルト様、ここは、どこですか? どうなっているんですか? 私達」
「上を見てみろ、アメリア」
私は言われるがまま、上を見上げた。
「わぁぁぁ~~~~~~」
私の頭上には、満天の、降るような星空が広がっている。
その星空の光が湖にも反射していて、どこを見ても、360度、星々が美しく瞬いている。
「アメリアはキラキラした物が好きだろう。気に入ったか?」
「すごい、すごいです、最高です。とても気に入りました。こんな素敵な場所に連れてきてくれて、ありがとうございます」
あまりの美しい星々に、感動し、目が潤む。
自然の美しさに、こんなにも感銘を受けたのは人生初だ。
もう嬉しくって、興奮して、私は駆け出した。
興奮した子犬のように、テオバルト様の周りをぐるっと。
「はぁっ、はぁっ、もう本当に最高です! 」
自分の語彙力が無くて、最高って言葉しか出てこないけど、もう本当に最高すぎ!
「アメリアはどの星が一番、好きだ?」
「どれも大好きです」
「そうか。では両手を出して」
私は素直に両手を差し出すと、テオバルト様は空高く、まるで星空を掴むように手を上げた。
その次の瞬間、星々が私に向かって降ってきた。
それも何個も、いや何百個、じゃなく何千個も、私の手の中に星々が降り注ぐ。
あまりに数が多くて、私の手から沢山こぼれ落ちてしまったが、そのこぼれた星々がまるで滝のように流れ落ち、湖に波紋が広がった。
その波紋も、また、美しい。
「素敵、すごく素敵です。今、人生の中で一番、最高に素敵な瞬間です」
「俺は、今人生の中で一番、緊張している」
「緊張ですか? どうしてですか?」
「それは……」
「それは?」
「アメリア……」
「はい?」
「アメリア、結婚しよう」
えっと、
ええっと、
どうしてだろう、頭の中は真っ白なのに、涙が次々と溢れ出てくる。
辺りは冷たい風が吹いているのに、私の身体の中心が、ぽかぽか、ぽかぽか、してくる。
ああ……、私は嬉しいんだ、私の心が嬉しくて、嬉しくて仕方がないんだ。
「テっ、テオバルト様、はい。結婚します。よろしくお願いします」
テオバルト様は満面の笑みを浮かべ、私に抱き付いた。
ぎゅっと、強く。
その瞬間、また私の手から星々がキラキラ輝きながら、こぼれ落ちる。
「テオバルト様、いっぱい落ちちゃいました。でもこれって何ですか? 本物の星ではないですよね? ガラス玉? 飴?」
「宝石だ。これらは全て、アメリアの物だ」
宝石って、うっ……、うそでしょ。
だって、だって、何千個も降ってきたよ。
殆ど、落としちゃったけど。
「これ全部、私の物……? この宝石全部が……」
「そう、俺の物は全て、アメリアの物だ」
「本当ですか? これ、私が貰っていいんですか?」
「そうだ。俺の全てはアメリアの物、アメリアの全ては俺のものだ」
突然、テオバルト様は、私をお姫様抱っこした。
そして、そのまま頬にキスをし、声を弾ませながら「全部、俺の物」と言い、今度は私の唇にキスをした。
それからしばらくの間、私達は星空をぼーっと眺めつつ、これからのことを話し合った。
まずは早々に、私の両親に挨拶に行き結婚の了承を得る。
次に、国王に結婚の了承を得たら、なるべく早くに結婚式を挙げる。
それがテオバルト様の希望。
テオバルト様は、私と早く一緒に住みたくて仕方がないみたい。
私もなぜだか、テオバルト様と一緒に住んで、色々してあげたくて仕方がない。
定番の「おかえりなさい、あなた。ご飯にする? お風呂にする? それとも……私?」を言ってみたい。
きゃーーっ、なんだか恥ずかしい。
でも、すっごく楽しみ!
洋服は、テオバルト様が好きそうなワンピースを選んだ。
透け感があって、フワフワで、思わず触れてみたくなるような、そんな男性受けが良さそうなワンピース。
それを皺にならないようバッグに詰め、王宮へ出勤した。
王宮は、魔塔と違って人が多い。
仲の良い友達も出来つつあり、私的には非常に充実した毎日を送っている。
ただ、少しだけ懸念していることがある。
それは、王宮には美女が多いということ。
その中で一番の美女は、王宮図書館で司書をしているハンナ様。
もちろん司書をしているくらいだから、頭脳明晰で、何より本好きなはず。
そしてテオバルト様も大の本好きだから、ちょくちょく王宮図書館へ出入りしている。
まぁ、テオバルト様に限って浮気とかしないと思うけど、世の中何が起きるかわからない。
そう思っていたら、今まさにテオバルト様が王宮図書館から出てきた。
「テオバルト様、おはようございます」
「ああ、おはよう」
「この頃、よく図書館に行きますよね。本の貸し借りなら助手である私がしますので、命じて下さい」
「いや、大丈夫だ」
こっちが大丈夫じゃないのに。
少し探りを入れてみよっかな。
「わかりました。そういえば近衛兵のジョン様が、王宮図書館にすっごい美人司書さんがいるって言ってましたが本当ですか? テオバルト様、知っていますか?」
ジョン様が言っていたというのは全くの嘘だ。
引き合いにだして申し訳ないけど、この会話が漏れることないだろうし、問題ないよね。
「恐らく、ハンナ・フックスのことだろう」
フルネームを知っているとは……。
雲行きが怪しいぞ。
「ハンナ様って言うんですね。ジョン様に脈ありそうですか?」
「さあ……。そんなことより、随分ジョンと仲良さそうだな」
まずい、なんか墓穴ほったかも。
「えっ…、そんなことありませんよ。あ、そういえば今日ですけど、何時頃、レストランを予約してるんですか? 今からすっごく楽しみです」
私は愛想笑いしつつ、強引に違う話題にもって行った。
テオバルト様はまだ不信感を募らせた表情をしているけど、手を握ったら表情が和らいだ。
それから私達は仕事に没頭し、アッと言う間に夕方に。
そろそろディナーデートに出かける時間。
私は、仕事を切り上げ、別室で念入りに化粧をし直し、制服から私服へ着替えた。
別室から戻ると、テオバルト様は上着だけ、別のオシャレなジャケットに着替えていた。
「そろそろ行こう」
「はい」
ディナーする場所は、なんと私がずっと行きたいと思っていた青い屋根のレストラン、シャンテーネ。
凄く人気店だから予約を取るのが大変だったはず。
でも、あれ……、なんでお客さんが私達以外、誰もいないのだろう。
もしかして、このお店も貸し切りにしたとか?
一体、どうやってこの人気店を……。
「テオバルト様、まさかとは思いますが、このお店もテオバルト様がオーナーだったりしますか?」
「ああ」
国一番の富豪を侮っていた。
このお店までテオバルト様が所有していたとは……、恐れ入りました。
スタッフも愛想がいいはずだ。
でも貸し切りにしたにしては、スタッフの数が多い気がする。
1,2,3……、10人以上いる。
その他にもコックさんもいて、生演奏している奏者も4人いて、トータル20人以上いると思われる。
私達2人だけのために、こんなにも多くの人から接待されるなんて、この上ない贅沢。
でも、テオバルト様が私の為にしてくれたことだし、ここは思う存分、その贅沢を享受させて頂こう。
「テオバルト様、こんな素敵なレストランに連れてきてくれて、ありがとうございます」
「ああ」
「ここって、床もテーブルも、天井も、全てがピカピカですね。素敵です」
「ああ」
テオバルト様は事前に、料理もドリンクも予約していたらしく、私達が着席すると、ウェルカムドリンク、前菜、スープ、ワインとタイミング良く運ばれてくる。
「このスープ、濃厚でとても美味しいです」
「ああ」
あれ、なんでテオバルト様「ああ」しか言わないんだろう。
さっきからずっと「ああ」だけだよね。
ならば「ああ」では答えられない質問をしてみよう。
「テオバルト様は、好きな食べ物は何ですか?」
「ああ」
やっぱり。
テオバルト様、どうしたんだろう?
具合悪いとか……?
うーーん、表情を見る限るそんなことはないけど、どこか上の空だ。
もう、せっかくのデートなのに。
でも私がムッとしても、テオバルト様は気が付かない。
機嫌を取るような事をいっても、何を言っても、「ああ」しかテオバルト様は言わない。
結局、テオバルト様の「ああ」はディナーが終わるまで続いた。
しかし馬車に乗り込んだテオバルト様は、さっきとは打って変わり、何か覚悟を決めたような真剣な顔をして、私を真っすぐ見る、じっと、じ~~~っと。
暫く視線を合わせていたけど、どうも耐えられなくなり私は視線をずらした。
その時、テオバルト様は私の手をギュッと握りしめる。
「アメリア、今から転移する」
テオバルト様の屋敷のベッドの上に転移するんだよね、それで、とうとうエッチなお時間……、じゃなくテオバルト様の幸せな時間を満喫するんだよね。
私はちゃんと、わかってます。
そう思っていたのに、私の的は大外れ。
転移した先は、だだっ広い野原、じゃなく湖……かな。
私達、湖の上に立っている?
いや立っているんじゃなくて、浮かんでいる?
「テオバルト様、ここは、どこですか? どうなっているんですか? 私達」
「上を見てみろ、アメリア」
私は言われるがまま、上を見上げた。
「わぁぁぁ~~~~~~」
私の頭上には、満天の、降るような星空が広がっている。
その星空の光が湖にも反射していて、どこを見ても、360度、星々が美しく瞬いている。
「アメリアはキラキラした物が好きだろう。気に入ったか?」
「すごい、すごいです、最高です。とても気に入りました。こんな素敵な場所に連れてきてくれて、ありがとうございます」
あまりの美しい星々に、感動し、目が潤む。
自然の美しさに、こんなにも感銘を受けたのは人生初だ。
もう嬉しくって、興奮して、私は駆け出した。
興奮した子犬のように、テオバルト様の周りをぐるっと。
「はぁっ、はぁっ、もう本当に最高です! 」
自分の語彙力が無くて、最高って言葉しか出てこないけど、もう本当に最高すぎ!
「アメリアはどの星が一番、好きだ?」
「どれも大好きです」
「そうか。では両手を出して」
私は素直に両手を差し出すと、テオバルト様は空高く、まるで星空を掴むように手を上げた。
その次の瞬間、星々が私に向かって降ってきた。
それも何個も、いや何百個、じゃなく何千個も、私の手の中に星々が降り注ぐ。
あまりに数が多くて、私の手から沢山こぼれ落ちてしまったが、そのこぼれた星々がまるで滝のように流れ落ち、湖に波紋が広がった。
その波紋も、また、美しい。
「素敵、すごく素敵です。今、人生の中で一番、最高に素敵な瞬間です」
「俺は、今人生の中で一番、緊張している」
「緊張ですか? どうしてですか?」
「それは……」
「それは?」
「アメリア……」
「はい?」
「アメリア、結婚しよう」
えっと、
ええっと、
どうしてだろう、頭の中は真っ白なのに、涙が次々と溢れ出てくる。
辺りは冷たい風が吹いているのに、私の身体の中心が、ぽかぽか、ぽかぽか、してくる。
ああ……、私は嬉しいんだ、私の心が嬉しくて、嬉しくて仕方がないんだ。
「テっ、テオバルト様、はい。結婚します。よろしくお願いします」
テオバルト様は満面の笑みを浮かべ、私に抱き付いた。
ぎゅっと、強く。
その瞬間、また私の手から星々がキラキラ輝きながら、こぼれ落ちる。
「テオバルト様、いっぱい落ちちゃいました。でもこれって何ですか? 本物の星ではないですよね? ガラス玉? 飴?」
「宝石だ。これらは全て、アメリアの物だ」
宝石って、うっ……、うそでしょ。
だって、だって、何千個も降ってきたよ。
殆ど、落としちゃったけど。
「これ全部、私の物……? この宝石全部が……」
「そう、俺の物は全て、アメリアの物だ」
「本当ですか? これ、私が貰っていいんですか?」
「そうだ。俺の全てはアメリアの物、アメリアの全ては俺のものだ」
突然、テオバルト様は、私をお姫様抱っこした。
そして、そのまま頬にキスをし、声を弾ませながら「全部、俺の物」と言い、今度は私の唇にキスをした。
それからしばらくの間、私達は星空をぼーっと眺めつつ、これからのことを話し合った。
まずは早々に、私の両親に挨拶に行き結婚の了承を得る。
次に、国王に結婚の了承を得たら、なるべく早くに結婚式を挙げる。
それがテオバルト様の希望。
テオバルト様は、私と早く一緒に住みたくて仕方がないみたい。
私もなぜだか、テオバルト様と一緒に住んで、色々してあげたくて仕方がない。
定番の「おかえりなさい、あなた。ご飯にする? お風呂にする? それとも……私?」を言ってみたい。
きゃーーっ、なんだか恥ずかしい。
でも、すっごく楽しみ!
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