本好き魔導士の溺愛

夾竹桃

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遠征

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 部屋に戻り、すぐにお風呂に入った。
まだ、アソコがヌメヌメしている。
さっきのことを思い出すと、すぐにまた濡れてくる。
だから私はなるべく何も考えないようにして体を洗い、お風呂から出た。
すぐにベッドに寝転んで少し寝ようとしたが、さっきの出来事をどうしても思い出してしまう。
やっぱり、テオバルト様は変態すぎ。
あんなねちっこく、触るなんて。
私の想像のはるか100倍上をいく触り方だった。
触っていた時間も長かったし。
1時間くらい、いや2時間くらいは触っていたに違いない。
それに、まさか、アソコをあんな風に触るなんて、信じられない。
パーティーの時には、テオバルト様のこと、ちょっと好きになりかけたけど、やっぱり私には無理かもしれない。
あんな変態、荷が重すぎる。
それに1つ目のお願い事が胸を触ることなら、2つ目のお願いは、どう考えてもアソコを触ることだよね。あんなねちっこくアソコを触られたら……、たまったものではない。
となれば早い時期に別れなければいけないけど、テオバルト様、ショック受けるかな。ものすごく罪悪感を感じる。あと、問題なのは、レーナお姉様だよね。今、テオバルト様を別れたら激怒して私を追い出すに違いない。
だから、その前に住み込みできる就職先を確保することが必須だ。
一般的に、貴族の令嬢の働き口は、家庭教師、侍女、あとは教会関係、魔塔関係ぐらいしかない。けど今はそんな一般常識に構っていられるほど私には余裕がないから、平民女性のように、メイドや何かの作業員、もう何でもいいから職を探そう。
午後は暇だし、外に出て転職先を探そう。

 私は早速外出し、まずは職業案内所を訪れた。
職業案内所は、役所に併設されていて誰でも自由に出入りできる。
紹介されている職は、ざっと見ただけでも30以上ありそう。
しかし、そのどれもが推薦状もしくは保証人必須となっている。
私は、それらを、どちらとも用意することは不可能だ。
転職は、絶望的。
とりあえず、私は職業案内所を出て、都を散策しながら、今後のことを考えることにした。

はぁ~、どうしよう。
転職ができない場合、田舎出戻りか~。
田舎に出戻ってお見合いして、結婚……。
それもありかもしれないけど、もっと遊びたい、楽しみたい、恋したい、この都をもっと謳歌したい。
う~~~ん、どうすれば……、残念なことに私の頭じゃ何も思いつかない。
って、あのお店、かわいい~。
鳥が描かれた小物入れや、バラの刺繍が施されたハンカチ、可愛い雑貨がいっぱい売っている。
せっかくだから何か気晴らしに買っちゃおうかな。
うん、考え事は後にして、今はお買い物を楽しんじゃおっと。

 私はそのお店で、ハンカチ2枚とお手頃価格のピンキーリングを購入した。
ハンカチ1枚はレーナお姉様にあげる予定だ。
その後、ブラブラと色々なお店を見て回り帰路についた。

 部屋に戻るとレーナお姉様はいつものように不在で、結局ハンカチを渡せたのは次の日の朝だった。

「おはよう、レーナお姉様」

「おはよう、アメリア」

「昨日ね、外に出て買い物したの。このハンカチあげる。かわいいでしょう」

「青い小鳥が刺繍されていて素敵だわ。ありがとう。それでアメリア、遠征の事聞いたかしら?」

「何、遠征って。何も聞いてないよ」

「ローザンナ地方で今、魔物が数多く出現しているらしく、その討伐のために国軍が遠征するの」

「へぇ~。大変そぉ」

「何を言っているの、アメリア。その遠征にアメリアも行くのよ」

「は???」

「その遠征に、魔導士のテオバルトも行くことになったの。だからテオバルトの助手であるアメリアも当然行くのよ」

「嘘でしょ……」

「本当よ。今日、テオバルトと会って確認してみなさい。ちなみに出発は明日よ」

「明日? なんでそんな急なの」

「それだけ魔物の被害が大きいということでしょうね」

「そんな……。私、無理だよ。どう考えても無理」

「ちなみに聖女として、テオバルトの妹、イザベラも軍に加わるわ。だからわかっているわよね」

「イザベラ様をスパイしろって言うんでしょ。そんなの無理。そんな状況で無理無理」

「無理かどうかやってみないとわからないわ」

「いやいや、そもそも私、その遠征に行きたくない。絶対に行かない」

「それは駄目よ、アメリア。もし行かなければ、家門も罪に問われるわ」

「なんで?」

「一度、出陣する軍の名簿に名前が載ったら、拒否できないわ。軍とはそういうものなの」

「もし、参加しなかったら?」

「逃亡兵として、処罰されるでしょうね。もちろんアメリアの姉である私も処罰の対象になるわ」

「そっ、そんな~。レーナお姉様は行かないの?」

「私は他の仕事があって行けないの。残念だわ」

「残念なの?」

「ええ、皇太子殿下も行かれるから」

「そうなんだ……」

「まあ、詳しいことは、テオバルトに聞きなさい」

 私は、急ぎ魔塔に向かった。
もう昨日のこととか、転職のこととか、そんなことどうでもいいと思えるほど、今回の遠征は私にとって大ピンチだ。
魔物なんて、今まで一度も見たことなし、そもそも魔物が住む森に入るなんて、恐怖でしかない。

 私が魔塔に着くと、テオバルト様もいて、用紙に何かを真剣に書いている。
けれど私が来たことにテオバルト様が気付くと、手を止め、何か言うのを躊躇っているような苦い表情を浮かべた。
だから私から、遠征に関しての問いをテオバルト様に投げかけた。

「テオバルト様っ、本当なんですか。遠征のお話」

「姉から聞いたか。そうだ、本当だ」

「わっ、私、全く役立たないどころか迷惑かけると思います」

「そうだな」

 テオバルト様は全く否定しない。
少しくらい否定してもいいのに。

「なんとか行かなくする方法はないですか?」

「難しいな。この遠征で指揮を取る皇太子殿下が、アメリアが俺の助手だと知っているからな」

「そんな……。私、森とか、物凄く苦手なんです。怖くて」

 前世で、山で遭難して死んだから森が大の苦手だ。
あんな恐怖二度と味わいたくない。

「アメリアは俺が守るから、あまりそう心配するな」

 テオバルト様は、そう言って私の頭をポンポンと軽く叩いた。
確かにテオバルト様といれば安全かもしれない。
なんせ、最強魔導士だ。
とりあえず、遠征が終わるまで別れるとかは、無しにしよう。
そう、遠征が終わったら、また考えよう。

「絶対に守ってくださいね、テオバルト様」

「わかっている。それじゃあ買い物に行くぞ」

「買い物?」

「そうだ。一通りの装備は支給されるが、それでも足りないものがあるだろう。特に着るものだ。持っていないだろ?」

「はい。森に行くような服は一着もありません」

 私はテオバルト様と一緒に街に出て洋品店に行った。
その洋品店は、可愛いものは一切なく、地味な黒、茶、グリーン色の頑丈そうな服ばかり。値札を確認してみると、意外とお高い。
けれど今回遠征にかかる費用は、テオバルト様が全額負担してくれるとのこと。
時間もないので、テオバルト様の指示のもと、私は丈夫な洋服を素早く選び、試着した。最終的に上下合わせて10着ほど選び、他にも必要と思われるリュック、軍手、帽子、タオル、水筒など多くを購入した。
テントなどは、軍が用意してくれるらしい。

 洋品店を出てからはテオバルト様と別行動になった。
テオバルト様は遠征の準備で他にも色々やることがあるから、私一人に構っていられないのだと思う。
その代わりではないが、私はテオバルト様から10万Gものお金を頂いた。
テオバルト様曰く、遠征で必要な物はもう揃ったから、10万Gのお金は、好きに使っていいとのこと。
でも遠征と行ったらやっぱり、非常食は重要なはず。
私はそう思ってスイーツショップを訪れた。
遭難した時のことを考えると、5日~7日ほどのスイーツが必要だ。
多めに持って行って損はないので、私は日持ちがするチョコやビスケットを大量購入した。
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