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賭け(1)
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「賭けをしようか」
私にそう問いかけしてきたのは、悪魔だ。
悪魔と取引してはいけない、それは鉄則だ。
「賭け?」
「そうだ。賭けに乗るだけで君の友人を助けよう」
悪魔の甘い囁きだ。
絶対に話に乗ってはいけないと、私は知っている。
けれど、友人を救いたい。
「その賭けの勝敗関係なく、友人を助けるということなの?」
「そうだ。けれど早く決断したほうがいい。もうすぐ君の友人は俺の友人に食べられてしまうからね」
私の友人、ライラは悪魔崇拝者だ。
いや、悪魔崇拝者というより、悪魔とか魔女とかを熱狂的に愛していると言った方が正しい。
だからライラは悪魔的イベントがあると盲目的に参加してしまう。
今回のイベントもライラに誘われて私も渋々一緒に参加した。
今まで参加してきたイベントは、どれも悪魔風なイベントばかりで、まやかし物なのだが、今回のイベントは違う、本物だ。
本物の悪魔が2人もいる。
ただ2人とも人間の男性の姿をしている。
なぜ私が、その男性が本物の悪魔かどうか区別出来るかというと、私の家系は霊力が高く、何かと怨霊とか霊的な物に関わってきたから。
もちろん私も霊力が高く、幽霊とか怪しい物が見えたりもする。
ただ、霊力は高いが、お祓いが出来たり退治は出来ない。
そんな事が出来るのは私の姉だ。
私はそんな姉も家系も嫌で日本の家を飛び出し、イギリスに来た。
イギリスに来て、私の初めての親友がライラで、ライラは同じ大学に通う学友でもある。
ライラには、かなり助けられている。
そのライラが今、悪魔に食べられようとしている。
正確に言えば、ライラは悪魔オリアクスに犯されようとしている。
悪魔オリアクスに犯される事を希望する女性はライラの他にもいて、ライラは順番待ちをしている。
ライラは3番目だが、恐らく後、20、30分もすればライラの番になるだろう。
その順番待ちをしているライラの映像を、私は別の部屋で見ている。
私の目の前にいる悪魔が、その映像を魔法か何かで私に見させている。
私はライラと一緒にイベント会場に入ったのだが、混雑していて離れ離れになってしまった。
慌てた私は間違えて違う部屋に入り、目の前の悪魔と遭遇して今に至る。
目の前の悪魔は自分の事を、セル・グリフィスと名乗った。
セルは髪は黒、目はダークグリーンの白人男性。
身長は高く190センチ近くありそうで、年齢は30歳弱に思われる。
顔はさすが悪魔だけあって魅惑的な美しさを備えている。
そのセルが私に対して挑発的な視線を投げかけ、薄っすらと笑みを浮かべている。
そして、セルが再度、私に問いかける。
「さあ、どうする?」
「賭けの内容を教えて」
「そうだな⋯⋯。君がエクスタシーに達したら俺の勝ち、達しなかったら君の勝ち、という賭けはどうかな?時間制限は1時間ってところかな」
「えっ、えっ、エクスタシーって、それってっ」
「エクスタシーは、イクってことだよ。もしかして未経験か?イッた事がない処女の君の方が、分がありそうだ」
確かに私は処女だし、エクスタシーなんて、イッたことなんてない。
「私とセックスするという事?」
「君を気持ちよくさせるだけだよ」
「話にならないわ。私がそんな賭けに乗るはずがない」
「そう、別にそれはそれで、俺は構わないけどね」
セルがそう言うと、セルの美しく長い指が私を手招きをする。
その途端、私の身体はフワリと浮かび上がり、セルが座っているソファーの上に移動し、セルの膝の上に私は落ちた。
すかさず、セルは私を組み敷き、いきなり私の首筋に唇を這わす。
「ちょっ、何するのっ、私は賭けなんてしないと言ったでしょ」
私はセルを振り払おうとしたけど、セルはビクとも動かない。
それどころか、セルは私のスカートの中に手を入れ、私の太腿に触れる。
セルの冷たい指がゆっくりと上へと這う。
「そうだね。俺も、賭けをしないと言った君を犯さない、とは一言も言っていない。それともう一つ説明しとくが、君の友人は犯されると同時に魂の一部を食べられ、生きた屍になる。そうなった女性の末路は、悲惨だよ」
「そんなっ⋯⋯」
「君は、俺の賭けに乗るだけで友人を助け出せる。けれど賭けに乗らなければ、ただ単に俺に犯されまくるだけだ」
「最低ねっ」
「褒め言葉として受け取っておくよ。ご褒美として、もう一度だけ聞いてあげようか。俺の賭けに乗る?」
「賭けの報酬は?」
「君が勝ったら1つだけ何でも願いを叶えてあげよう。もし君が負けたら、君は永遠に俺のものになる。もちろん君の処女も頂く。さあ、どうする?」
私が賭けに乗らなかったら、私は犯され、友人ライラは廃人になる。
私が賭けに乗って勝ったら、友人ライラは助かり、一つだけ願い事を叶えてくれる。
私が賭けに乗って負けたら、友人ライラは助かるけど、私は悪魔のものになる。
どう考えても、賭けに乗る方が得策だ。
それに、もう迷っている時間もない⋯⋯。
「わかったわ。賭けに乗る」
「いい子だ」
セルは満足げに私を見下ろすと、パチンッと指を鳴らす。
すると、順番待ちをしていたライラの姿が突如消える。
「ライラはどこに行ったの?」
「心配しなくていい。君の友人はこの建物の外に出したよ。もう入れないだろう。それに友人を無事家に送り届けるよう、使いも手配した」
「そう⋯⋯」
「では、賭けをスタートしようか。今は夜の11時だから、12時までに君がイッたら君の負けだ。それで君の名前は?」
「答える義務は、ないわ」
「それじゃあ君の頭の中を少し、覗かせて貰うよ」
セルはそう言うと、私の頭に手を置こうとしが、私はその手を振り払った。
「私の名前は、紗羅よ。結城紗羅よ」
「サーラ、いい名だ」
セルは目を細め、私に口付けをしようと顔を私に近づける。
私は絶対にさせまいと顔を背け、セルから逃れようと足をジタバタさせる。
「サーラ、どういうつもりだ?」
「私は、抵抗しない、とは言ってない」
私はセルから逃げる気でいた。
エッチなことを容易くやられてなるものか。
「そうだな。確かに言っていない。俺も、拘束しない、とも言ってないな」
セルがそう言うと、何処からともなく縄が現れ、私を拘束した。
私は大の字のような形で両手、両足を縄で縛られ、全く身動きできなくなってしまった。
その姿を、セルは満足そうに見つめる。
私にそう問いかけしてきたのは、悪魔だ。
悪魔と取引してはいけない、それは鉄則だ。
「賭け?」
「そうだ。賭けに乗るだけで君の友人を助けよう」
悪魔の甘い囁きだ。
絶対に話に乗ってはいけないと、私は知っている。
けれど、友人を救いたい。
「その賭けの勝敗関係なく、友人を助けるということなの?」
「そうだ。けれど早く決断したほうがいい。もうすぐ君の友人は俺の友人に食べられてしまうからね」
私の友人、ライラは悪魔崇拝者だ。
いや、悪魔崇拝者というより、悪魔とか魔女とかを熱狂的に愛していると言った方が正しい。
だからライラは悪魔的イベントがあると盲目的に参加してしまう。
今回のイベントもライラに誘われて私も渋々一緒に参加した。
今まで参加してきたイベントは、どれも悪魔風なイベントばかりで、まやかし物なのだが、今回のイベントは違う、本物だ。
本物の悪魔が2人もいる。
ただ2人とも人間の男性の姿をしている。
なぜ私が、その男性が本物の悪魔かどうか区別出来るかというと、私の家系は霊力が高く、何かと怨霊とか霊的な物に関わってきたから。
もちろん私も霊力が高く、幽霊とか怪しい物が見えたりもする。
ただ、霊力は高いが、お祓いが出来たり退治は出来ない。
そんな事が出来るのは私の姉だ。
私はそんな姉も家系も嫌で日本の家を飛び出し、イギリスに来た。
イギリスに来て、私の初めての親友がライラで、ライラは同じ大学に通う学友でもある。
ライラには、かなり助けられている。
そのライラが今、悪魔に食べられようとしている。
正確に言えば、ライラは悪魔オリアクスに犯されようとしている。
悪魔オリアクスに犯される事を希望する女性はライラの他にもいて、ライラは順番待ちをしている。
ライラは3番目だが、恐らく後、20、30分もすればライラの番になるだろう。
その順番待ちをしているライラの映像を、私は別の部屋で見ている。
私の目の前にいる悪魔が、その映像を魔法か何かで私に見させている。
私はライラと一緒にイベント会場に入ったのだが、混雑していて離れ離れになってしまった。
慌てた私は間違えて違う部屋に入り、目の前の悪魔と遭遇して今に至る。
目の前の悪魔は自分の事を、セル・グリフィスと名乗った。
セルは髪は黒、目はダークグリーンの白人男性。
身長は高く190センチ近くありそうで、年齢は30歳弱に思われる。
顔はさすが悪魔だけあって魅惑的な美しさを備えている。
そのセルが私に対して挑発的な視線を投げかけ、薄っすらと笑みを浮かべている。
そして、セルが再度、私に問いかける。
「さあ、どうする?」
「賭けの内容を教えて」
「そうだな⋯⋯。君がエクスタシーに達したら俺の勝ち、達しなかったら君の勝ち、という賭けはどうかな?時間制限は1時間ってところかな」
「えっ、えっ、エクスタシーって、それってっ」
「エクスタシーは、イクってことだよ。もしかして未経験か?イッた事がない処女の君の方が、分がありそうだ」
確かに私は処女だし、エクスタシーなんて、イッたことなんてない。
「私とセックスするという事?」
「君を気持ちよくさせるだけだよ」
「話にならないわ。私がそんな賭けに乗るはずがない」
「そう、別にそれはそれで、俺は構わないけどね」
セルがそう言うと、セルの美しく長い指が私を手招きをする。
その途端、私の身体はフワリと浮かび上がり、セルが座っているソファーの上に移動し、セルの膝の上に私は落ちた。
すかさず、セルは私を組み敷き、いきなり私の首筋に唇を這わす。
「ちょっ、何するのっ、私は賭けなんてしないと言ったでしょ」
私はセルを振り払おうとしたけど、セルはビクとも動かない。
それどころか、セルは私のスカートの中に手を入れ、私の太腿に触れる。
セルの冷たい指がゆっくりと上へと這う。
「そうだね。俺も、賭けをしないと言った君を犯さない、とは一言も言っていない。それともう一つ説明しとくが、君の友人は犯されると同時に魂の一部を食べられ、生きた屍になる。そうなった女性の末路は、悲惨だよ」
「そんなっ⋯⋯」
「君は、俺の賭けに乗るだけで友人を助け出せる。けれど賭けに乗らなければ、ただ単に俺に犯されまくるだけだ」
「最低ねっ」
「褒め言葉として受け取っておくよ。ご褒美として、もう一度だけ聞いてあげようか。俺の賭けに乗る?」
「賭けの報酬は?」
「君が勝ったら1つだけ何でも願いを叶えてあげよう。もし君が負けたら、君は永遠に俺のものになる。もちろん君の処女も頂く。さあ、どうする?」
私が賭けに乗らなかったら、私は犯され、友人ライラは廃人になる。
私が賭けに乗って勝ったら、友人ライラは助かり、一つだけ願い事を叶えてくれる。
私が賭けに乗って負けたら、友人ライラは助かるけど、私は悪魔のものになる。
どう考えても、賭けに乗る方が得策だ。
それに、もう迷っている時間もない⋯⋯。
「わかったわ。賭けに乗る」
「いい子だ」
セルは満足げに私を見下ろすと、パチンッと指を鳴らす。
すると、順番待ちをしていたライラの姿が突如消える。
「ライラはどこに行ったの?」
「心配しなくていい。君の友人はこの建物の外に出したよ。もう入れないだろう。それに友人を無事家に送り届けるよう、使いも手配した」
「そう⋯⋯」
「では、賭けをスタートしようか。今は夜の11時だから、12時までに君がイッたら君の負けだ。それで君の名前は?」
「答える義務は、ないわ」
「それじゃあ君の頭の中を少し、覗かせて貰うよ」
セルはそう言うと、私の頭に手を置こうとしが、私はその手を振り払った。
「私の名前は、紗羅よ。結城紗羅よ」
「サーラ、いい名だ」
セルは目を細め、私に口付けをしようと顔を私に近づける。
私は絶対にさせまいと顔を背け、セルから逃れようと足をジタバタさせる。
「サーラ、どういうつもりだ?」
「私は、抵抗しない、とは言ってない」
私はセルから逃げる気でいた。
エッチなことを容易くやられてなるものか。
「そうだな。確かに言っていない。俺も、拘束しない、とも言ってないな」
セルがそう言うと、何処からともなく縄が現れ、私を拘束した。
私は大の字のような形で両手、両足を縄で縛られ、全く身動きできなくなってしまった。
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