流れ星が落ちた

貴美月カムイ

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流れ星が落ちた6

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 僕の中のユウコはどこにもいなかった。過去の美しい思い出たちは割れた一枚ガラスのように元に戻せないほどバラバラになっていた。その輝く破片を浴びて心を真っ赤に染めていた。涙すらも、流れなかった。先ほどのことも、きっと夢なのだろうと思った。
「よし、いくぜ」
「あん……飲んであげるから。お口に全部出して」
 マキトはユウコから勢いよく引き抜いた肉棒を振り向かせたユウコの口へと荒々しく押し込んだ。ユウコは音を立てて吸い付き、出し尽くしたマキトの残りの液まで吸い取るように丹念に飲み干した。
 この一年で、ユウコは完全な淫乱なメスに成り下がったのだ。何があったとしても、もう同情の余地もないほどにユウコは性欲の奴隷のようなメスに成り下がったのだ。僕はそう強く確信した。
 がっくりと肩を落とし、僕は地面に体を落とした。もう立ち上がる気力さえもなかった。
「先に行って。一緒に帰って見つかったら変に思われちゃう」
「いいじゃないかよ。もう恋人みたいなものだし。別れたんだろ? あいつと」
「お願い。先に行って」
 静かに、しかし強くユウコの声は届いた。もう、僕にとってはどうでもいいことだった。
 マキトは諦めたようで、足早にテントへと戻っていった。ユウコも戻るかと思ったら、マキトの姿が消えてしばらくしてから大きな声で泣き崩れた。
  僕は驚いてもう一度茂みから覗いてみた。裸のまま、地面に両腕をつけて、泣き崩れている。でも、飛び出していくような気力はなかった。愛情を与えたふりをして、裏切られたような気持ちが僕の心を支配して、声をかけることすらもできなかった。でも、どうして泣いているのだろう。犯されていたような感じではなかったのに。もしかして無理やり誘われ断りきれなくて、あんなことになったのだろうか。僕の考えはぐるぐるとめぐる。
 そのうち泣き止んで、ユウコは涙を拭いて、服を着て立ち上がった。テントへと戻るのかと思い、僕は身を隠したが、反対側の山のほうへと入っていく。
(どういうことだ?)
 まったくユウコの行動が理解できない。山へと行って、何をするつもりなのだろう。まさかそのまま戻ってこないつもりじゃないだろうか。砂浜で情事を終えたときのユウコの切なげな瞳を思い出し、再び不安を抱いた。
 暗い山道をゆくユウコの後を密かに追っていくと、森の奥の山道に白いワンボックスカーが停まっているのが見えた。ユウコがそこへと近づいていくと、ヘッドランプがついてユウコを照らした。
  車の中から運転手が出てきたが、ランプがまぶしくて運転手の顔が見えない。運転手がユウコに近づいたかと思うと、運転手はいきなりユウコを平手で殴りつけ た。ユウコは勢いよく地面に打ち付けられる。運転手は地面にへたり込んだユウコに足を振り上げ、蹴ろうとしているのが見えたので、僕は危ないと思って飛び出た。
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