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古い手紙と淫らな衝動
古い手紙と淫らな衝動4
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宙に浮いたまましがみ付き肉棒を締め付ける麻弥子に和夫も抑えきれずに秘部の奥へとビュクビュクと肉棒をけいれんさせて、白い子種を放出する。大きく息をしている麻弥子はとろんとした目で和夫へと舌を絡ませてねっとりと口づけをしてくる。離すと唇から唾液の糸が伸びる。
和夫が麻弥子の肉体から肉棒を引き抜くと、ぽたぽたと麻弥子の秘部から子種が床に落ちた。その時、麻弥子が床に落ちているものに気がついた。
「あら?こんなところに古い封筒が落ちているわよ?」
和夫が麻弥子の視線の先へと目をやると、紀之が持っていたはずの黄ばんだ封筒が落ちていた。
「あれ? 間違って持ってきちゃったのかな」
あまりにもいろいろなことが起きすぎているせいで、気が動転していたのかもしれない。紀之の服へと戻したような気もするが、その記憶もあいまいだった。それにしてもこんな気色の悪い封筒をいつまでも持っているわけにはいかない。今日はもう遅いので、明日病院へと行って、こん睡状態の紀之へと封筒を返しておこうと思った。
「これ、なんなの?」
しゃがんで不審そうに封筒を拾い中身を見ようとする麻弥子に、和夫は突然大きな声を張り上げて静止した。
「麻弥子! やめろ!」
びくっとして顔を上げる麻弥子の顔が一瞬別の女の顔に見えた。今日何度も見たような気がする女。和夫は一瞬凍りついた。
「どうしたの。そんなに大きな声出して、びっくりするじゃない」
麻弥子の顔は元の麻弥子の顔に戻っていた。和夫は唾をごくりと飲み込み、冷や汗が額に浮かぶのを感じながら、ああ今日の俺は疲れているんだ、と改めて思った。
「とにかく、それは見ちゃダメなんだ」
あんな気色の悪いものを麻弥子に見せるわけにはいかない。和夫は封筒を玄関横の靴箱の上に置いておいた。なるべく、部屋には置きたくないと思った。
麻弥子には、「気持ち悪すぎるものだからダメ、人の手紙だし」というと、おどおどしながら、わかった、と納得してくれた。間違っても髪の毛がごっそり入っているなどとは言えない。
その夜、ご飯を食べ終えて風呂に入っていた和夫は、浴室のすりガラスにうつるぼやけた姿を見て、麻弥子め、一緒に入るつもりかな、と心を躍らせていた。
いつまでも入ってこない麻弥子に、催促しようと呼びかける。
「おい、麻弥子。恥ずかしがってないで入って来いよ。いっぱい洗ってやるから」
湯船の中の肉棒はすでに硬く脈打っていた。それにしてもいつまでも入ってこない麻弥子に少し疑問を覚えた和夫は、すりガラスの向こう側をよく見た。
おかしい。
髪が長い。麻弥子はショートヘアのはずだ。それに白い服を着ているのがわかる。
ぼやけた姿がすりガラスへと近づくにつれ、その姿がよりはっきりと浮かんでくる。それは着物姿の髪の長い女だった。肉棒が一気に萎えると同時に引っかきたてるような恐怖の叫び声を和夫はあげていた。
その叫び声に麻弥子が驚いて、どうしたの、と浴室へと勢いよく入ってくる。
「な、なんでもないんだ」
と、和夫は動揺を隠せず風呂から上がろうとすると突然湯船の中から手が伸びてきて右手首を強く掴まれた。はっと、ありえない感触に振り向くと湯船の中に白い着物の女らしき物体が髪を漂わせながらいた。
恐怖が全身を支配して和夫は動転のあまり足を滑らせて湯船へと尻から落ちてじゃぶじゃぶと溺れたように水をかいた。
事情の知らない麻弥子はその姿を見て、けらけらと笑った。
「何をしているのよ。風呂場で溺れかかるなんて冗談にもならないわよ。そそっかしいわね」
和夫はぎょろぎょろと風呂の中を見回したが、すでに女の姿はなかった。
「今日は本当におかしいわよ? まるで幽霊でも見たような顔してるもの」
和夫は一連の出来事を、あまりの疲れのせいで神経がまいってきたのだと自分に言い聞かせた。少し会社も休養をとって、ゆっくり養生したほうがいい。そうすれば治るはずだと思った。
その夜、和夫はなかなか寝付けなかった。すやすやと眠る麻弥子を横にしていても、目をつむれば暗闇の中に女の顔が浮かぶのではないかと気が気ではなかった。緊張なのか恐怖なのかどちらともつかない神経の張り詰めの中、首筋の周りに暑苦しさから油をべっとりと塗られたように汗をかいていた。
夜の一時過ぎ電話のベルが鳴り出した。間違い電話かと思って黙っているといつまでも鳴り止まない。
「何の用だよ。こんな時間に」
寝つきのいい麻弥子はピクリともせず寝息を立てている。仕方なく和夫が受話器を取って耳を当て、もしもしと言うと、いつまでたっても無言のままで答えなかった。
「どちらさまですか? 間違い電話ですか? いたずらですか? 切りますよ」
と言い耳を澄ますと受話器の向こうから微かに音がする。
――ザザザザザザ……
――ザザザザザザ……
これは、何の音だろうと和夫は耳を澄ました。すると歌声が聞こえてきた。
か ご めか ご め
籠の 中の 鳥は
和夫は勢いよく受話器を置いた。その時、パサリと床に紀之の黄ばんだ封筒が落ちて中から髪の毛が出た。そんな馬鹿な。玄関においておいたはずだ。和夫はいち早くその髪を封筒の中に戻そうとすると、封筒の中にはすでに髪の毛が入っていた。明らかに増えている。
和夫はそのことを考えないようにして玄関先に戻し震えながら布団をかぶって、あまり眠れないまま朝を迎えた。
和夫が麻弥子の肉体から肉棒を引き抜くと、ぽたぽたと麻弥子の秘部から子種が床に落ちた。その時、麻弥子が床に落ちているものに気がついた。
「あら?こんなところに古い封筒が落ちているわよ?」
和夫が麻弥子の視線の先へと目をやると、紀之が持っていたはずの黄ばんだ封筒が落ちていた。
「あれ? 間違って持ってきちゃったのかな」
あまりにもいろいろなことが起きすぎているせいで、気が動転していたのかもしれない。紀之の服へと戻したような気もするが、その記憶もあいまいだった。それにしてもこんな気色の悪い封筒をいつまでも持っているわけにはいかない。今日はもう遅いので、明日病院へと行って、こん睡状態の紀之へと封筒を返しておこうと思った。
「これ、なんなの?」
しゃがんで不審そうに封筒を拾い中身を見ようとする麻弥子に、和夫は突然大きな声を張り上げて静止した。
「麻弥子! やめろ!」
びくっとして顔を上げる麻弥子の顔が一瞬別の女の顔に見えた。今日何度も見たような気がする女。和夫は一瞬凍りついた。
「どうしたの。そんなに大きな声出して、びっくりするじゃない」
麻弥子の顔は元の麻弥子の顔に戻っていた。和夫は唾をごくりと飲み込み、冷や汗が額に浮かぶのを感じながら、ああ今日の俺は疲れているんだ、と改めて思った。
「とにかく、それは見ちゃダメなんだ」
あんな気色の悪いものを麻弥子に見せるわけにはいかない。和夫は封筒を玄関横の靴箱の上に置いておいた。なるべく、部屋には置きたくないと思った。
麻弥子には、「気持ち悪すぎるものだからダメ、人の手紙だし」というと、おどおどしながら、わかった、と納得してくれた。間違っても髪の毛がごっそり入っているなどとは言えない。
その夜、ご飯を食べ終えて風呂に入っていた和夫は、浴室のすりガラスにうつるぼやけた姿を見て、麻弥子め、一緒に入るつもりかな、と心を躍らせていた。
いつまでも入ってこない麻弥子に、催促しようと呼びかける。
「おい、麻弥子。恥ずかしがってないで入って来いよ。いっぱい洗ってやるから」
湯船の中の肉棒はすでに硬く脈打っていた。それにしてもいつまでも入ってこない麻弥子に少し疑問を覚えた和夫は、すりガラスの向こう側をよく見た。
おかしい。
髪が長い。麻弥子はショートヘアのはずだ。それに白い服を着ているのがわかる。
ぼやけた姿がすりガラスへと近づくにつれ、その姿がよりはっきりと浮かんでくる。それは着物姿の髪の長い女だった。肉棒が一気に萎えると同時に引っかきたてるような恐怖の叫び声を和夫はあげていた。
その叫び声に麻弥子が驚いて、どうしたの、と浴室へと勢いよく入ってくる。
「な、なんでもないんだ」
と、和夫は動揺を隠せず風呂から上がろうとすると突然湯船の中から手が伸びてきて右手首を強く掴まれた。はっと、ありえない感触に振り向くと湯船の中に白い着物の女らしき物体が髪を漂わせながらいた。
恐怖が全身を支配して和夫は動転のあまり足を滑らせて湯船へと尻から落ちてじゃぶじゃぶと溺れたように水をかいた。
事情の知らない麻弥子はその姿を見て、けらけらと笑った。
「何をしているのよ。風呂場で溺れかかるなんて冗談にもならないわよ。そそっかしいわね」
和夫はぎょろぎょろと風呂の中を見回したが、すでに女の姿はなかった。
「今日は本当におかしいわよ? まるで幽霊でも見たような顔してるもの」
和夫は一連の出来事を、あまりの疲れのせいで神経がまいってきたのだと自分に言い聞かせた。少し会社も休養をとって、ゆっくり養生したほうがいい。そうすれば治るはずだと思った。
その夜、和夫はなかなか寝付けなかった。すやすやと眠る麻弥子を横にしていても、目をつむれば暗闇の中に女の顔が浮かぶのではないかと気が気ではなかった。緊張なのか恐怖なのかどちらともつかない神経の張り詰めの中、首筋の周りに暑苦しさから油をべっとりと塗られたように汗をかいていた。
夜の一時過ぎ電話のベルが鳴り出した。間違い電話かと思って黙っているといつまでも鳴り止まない。
「何の用だよ。こんな時間に」
寝つきのいい麻弥子はピクリともせず寝息を立てている。仕方なく和夫が受話器を取って耳を当て、もしもしと言うと、いつまでたっても無言のままで答えなかった。
「どちらさまですか? 間違い電話ですか? いたずらですか? 切りますよ」
と言い耳を澄ますと受話器の向こうから微かに音がする。
――ザザザザザザ……
――ザザザザザザ……
これは、何の音だろうと和夫は耳を澄ました。すると歌声が聞こえてきた。
か ご めか ご め
籠の 中の 鳥は
和夫は勢いよく受話器を置いた。その時、パサリと床に紀之の黄ばんだ封筒が落ちて中から髪の毛が出た。そんな馬鹿な。玄関においておいたはずだ。和夫はいち早くその髪を封筒の中に戻そうとすると、封筒の中にはすでに髪の毛が入っていた。明らかに増えている。
和夫はそのことを考えないようにして玄関先に戻し震えながら布団をかぶって、あまり眠れないまま朝を迎えた。
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