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10話 最悪な事態!?(前編)

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真昼に言われて俺は気づく。
 少し肌寒い事に、さっきまで俺は興奮状態になっていた。
 と、自分で簡単に推測が出来る。
 まだ春を越えてないから急に寒く、なる事はあるが、そんな急に寒くなる物か? 俺は空を見る。
 俺の目には綺麗な夕焼けが映った。

「もうこんなに時間進んでいたのか」

 俺が感傷気味に言うと、真昼が苦笑しながら言って来た。

「てっきり音羽君は気づいてるのかと」
「いや全然気づいてなかったし、そろそろ離れてくれ」

 が再び現れるかもしれないし、何より俺の心臓が持たん! 真昼は少し距離感バグってるんだよな。
 本人は気付いてないだろうが、自分の顔が整っている事、自覚しといてくれよ。

「何で音羽君、顔赤いの?」

 おめぇの顔が近ぇからだよ。
 と、本人は言えない。
 些細な事で真昼がストレスを感じ、病気が進行してもいけない。
 それよりここで、泣かれたりしたら俺が困る。

「真昼の顔が近いからだよ」

 俺は素直に真昼へ行った。
 すると、真昼は口角を上げ、悪い顔をしていた。
 絶対、真昼こいつ何か企んでる。
 普段ならば逃げれば早い話しだが、今回はそうもいかない。
 さてさて、どうやり過ごそう? もし下手な言動をすれば、真昼は気付く。
 普段は才色兼備の美少女、おっとりな癒しキャラと、学校で言われている真昼だが。
 実際、頭の回転は物凄く速いし、洞察力も探偵が顔負けな程。

「なぁ真昼、もう空も暗くなるし、何処か泊まる場所を探そうか」
「ちぇ、分かったよ」

 待っていまこの子? 軽く舌打ちしたよね!? やっぱなんか企んでいた。
 どうやら上手く逃げられたみたいだ。
 それよりも今の難点は、宿泊場所を見つけないといけない。
 またネットカフェとかでも、いいかもしれんが、折角の旅行だし、真昼が泊まりたい場所に泊まろう。

「……うーん。音羽君が泊まりたい所でいいよ!」
「二人揃って同じ様な事、言ってどうすうねん?」

 真昼は俺の言葉に苦笑をしていた。
 真昼の性格を考えれば、俺に合わせたがる。
 その俺も真昼に合わせる。
 これでは埒らちがあかない。
 その時、俺の目には旅館のチラシが、目に入る。

「……旅館」
「旅館かいいね!」

 俺はどうやら口にしていたようだ。
 まぁ結果オーライか。
 真昼も乗り気で旅館と、言ってるし、俺達の次、行く場所であり、宿泊場所が決まった。
 ふと、俺は近くに旅館があるのか、疑問に思った。
 そんな時、真昼が自慢げにスマホを、見せて来る。
 スマホの画面には旅館と、旅館に行くまでのマップが映っていた。

「じゃーん見つけたよ!」
「……フゥ、流石お手上げです」

 俺が旅館と言って、五分も経ってないのに、スマホで見つけ出した。
 つうか俺、何も言ってないのに、よく分かったな。

「彼女を舐めちゃダメだよ?」

 真昼は微笑みながら言う。
 俺は真昼の発言に一切言葉を、出さなかった。
 出したとしても、「あ、はい」としか言えない。
 まるで心を読まれた気分だ。
 だが、流石の真昼でも心は読めない。
 心を読まれたと、思われるくらいの洞察力。
 よくよく考えたら怖いな。

「よくそんなすぐに見つけれたな?」
「まぁ実力かな!」
「何の実力だよ?」

 俺は呆れながら真昼に言う。
 真昼も流石に自分が、可笑しいと思ったのか苦笑をする。

「私達、いつまでここにおるの?」
「うん、そろそろ行こうか」

 他愛のない会話と考え事ばっか、していたせいで、時間が進んでいく。
 流石にそろそろ向かわないと、宿泊の部屋が埋まるかもしれない。
 とりあえずマップの通り、動けば目的地先に着く……その筈。
 真昼はわからないが、俺は少し方向音痴。

「音羽君大丈夫?」

 心配そうに真昼が俺を見ながら、言ってきた。
 逆にその優しさが辛いんだぞ?! 真昼よ。
 本人には全然言えない。

「心配しなくていいよ。流石にマップを見れば行ける」
「最悪私が手を繋いで行ってあげるよ!」
「……そうか」

 ただ真昼が手を繋ぎたいだけだろ。
 悪化の恐れがある為、手は繋げれない。
 頑張ってマップを見ながら、辿り着くしかない。

「真昼案内してくれるか」
「え? あ、そうか、これ私のスマホだったね」
「お前のじゃなかったら、一体誰のだよ」

 ハハッと笑みを浮かべてる。
 真昼は気を取り直した様に、「コホン」と軽く咳払いをした。
 そのまま、真昼はスマホを見ながら歩き出す。
 俺は真昼の後を付いて行く。
 俺達はひたすら歩き、体感的には一時間くらい歩いた。
 と、思うが実際はもう少し、歩いてるかもしれない。

「はぁはぁ疲れたな」
「うんそうだね。でももう着いたよ」

 俺は少し息切れをし、膝に手を置く。
 真昼の言葉を聞いて、安堵を覚えた。
 俺達から五メートル程の距離。
 そこに歴史を感じる様な建物がある。
 俺と真昼が宿泊を、しようと思っている旅館が合った。

「歴史を感じる旅館だな」
「うん。昔からの伝統な旅館らしいよ」

 歴史的な旅館にしては。
 若干新しい所もある気がする。
 視覚だけの情報しか。
 いまはないから何とも言えない。

「何か色々と考えているみたいだね」
「そういう所も全てお見通しか」

 いまごちゃごちゃ考えるな。
 悪化する恐怖があるとしても、全てを考えようと、してはいけない。
 とりあえず、旅館の中に入ってみるか。

「とりあえず中に入るか」
「うんそうだね」

 部屋空いてるといいな。
 と思いながら旅館の中に入る。
 中に入ると、女将らしい人物が待ちかねていた。

「おいでやす。お予約の篠宮様一行ですねー」
「はい予約した篠宮です」
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