45 / 51
45話 ユウナのいる場所
しおりを挟む
オレの一言は屋敷内に反響する。この言葉を魔人が、聞いて反応してくれれば一番楽。
まぁ現実はそこまで甘くはない。
屋敷内で魔力の流れを消す方法、そんな物は普通はない。
魔人にそんな技術があるならば別。
だけど、ユウナさんにはない。
「いくら考えてもまとまらない。地道に部屋を探すしかない」
しらみつぶしに部屋を見る、何処にも魔人やユウナさんはいない。
それ所か、魔力の残影すらない。
まだ一つだけ見てない所はあるが、一番の可能性が低いと思われる場所。
「行くだけ行くしかないな」
踵を返し向かう。屋敷内は綺麗なまま、一切の傷もない。
玄関には争った痕跡は合った、執事長が一方的にやられたのか、それとも起死回生に一撃を入れたのか、気になる所。
そんな事を考えている間にも残りの部屋に着く。
「やはりここしかないな、執事長と使っていた特訓部屋」
特訓部屋はリステリ邸の中で、一番魔力が籠っている部屋。
しかし疑問も抱く、もしこの部屋にいるのであれば、多少の気配は感じる。
扉に手をかけ開くと、そこには誰もいなかった。
「おいおいふざけんなよ! ここにいなければ何処にいるんだよ!!」
オレは感情任せに床を殴る、ドンっと音が響く。
それと同時に奥の壁が少しズレる。
「今奥の壁がズレた? なんで……だ」
無意識に魔帝の魔道具に触れる。執事長はこれをオレに渡す時、奥に向かった。
もしかしたらあの奥の壁、あそこに何か秘密がある。
慎重に近付く、壁の最奥付近までに行く、壁に触れる。
と、ギギギッと音が鳴る、壁は横にズレた。
ズレたその先には地下に繋がる階段。
次にポケットにある、ヴァニタスの魔導書を触れる。
「地下の禁断書庫……ここならば隠れれる」
特に確証なんかない、ただ自分の直感がそう言っている。
階段を降りる、だんだんと魔力の流れが強く、濃くなっていく。
「一体どんだけ続くんだ?」
それなりに階段を降りたが、まだ続いている。
降りるだけで疲労する、それからひたすらに階段を降りると、およそ二メートルを越える二つ扉。
扉の前、階段の間には無駄に広い空間がある。
「早く言え」
何か声が聞こえる、話し声か? 音と気配を殺し、聞き耳を立てる。
「魔帝の武器のありかを早く答えろ!」
「絶対に嫌だ! 貴方なんかに答えない!」
この声は!! ユウナさんの声、必然的に話し相手は魔人。
今すぐにでも突撃したいが、それでは学園にいた時と同じだ。
隙を伺え、タイミングを見計らう。
「答えないとお前を殺す!」
くっ! 抑えろ、今出ては駄目だ。
今すぐにでも飛び出しそうな、体を力づくで抑える。
「貴方たちに教えても使いこなせない!」
「どうだろうな! あの方ならばきっと使いこなせる」
あの方? それに会話的にこの魔剣、そうか、全て分かった。
どうして魔人がユウナさんを攫い、リステリ邸の地下にいるのか。
全てに線が繋がった。
魔帝の事をリステリ家は代々伝承している、地下には魔帝の何かしらの道具が封印されているだろう。
それを手に入れる為にはユウナさんが必要。
だからわざわざ攫い、ここにいる。
「まぁ情報を渡さないならば、少し痛い目に遭って貰う」
もうこのタイミングしかない! オレは急いで階段を駆け降りる。
ロングソードを肩に担ぎ、魔人に斬り掛かる。
「な、なんで貴様がここに!?」
「その顔始めて見たよ!」
虚をつく攻撃なのに魔人は簡単に避ける。オレが現れた事に驚愕し、一瞬、体を止めた。
間髪入れずに魔人を蹴り抜く。
魔人の顔が歪む、反撃の余地なんかやらない! 片手で剣を振る。
「はぁはぁ、流石にちょっと焦ったぞ!」
「嘘つけ、大分焦っただろ?」
オレと魔人は軽口を叩き合う、あの攻撃を避けるか。
蹴りを入れ、魔人の体勢が崩れ、そこに剣を振る。
コンビネーションとしては、結構高かった筈、それなのに簡単に避けられた。
「そんな事がどうでもいい、よくこの場所が分かったなぁ」
「貴様の考える事くらい分かる」
「分かりやすい嘘だなぁ、まぁいいさ。お前はここで死ぬんだからなぁ!」
魔人はさっきまでの焦りと違い、戦闘体勢。
さっきのでやれなかったのは惜しい。
とはいえ、必ず奴に勝てるとも限らない。
魔人はこちらに向かう。
「まっ待って! 私の事は好きにしてもいい! だからクロ君には手を出さないで」
ユウナさんの啖呵を切る言葉、それを聞き、ここに来て始めて見る。
目から涙を流し、オレを真っ直ぐ見ている。
こんなに見られているのに、一切気付く事ができなかった。
まぁ現実はそこまで甘くはない。
屋敷内で魔力の流れを消す方法、そんな物は普通はない。
魔人にそんな技術があるならば別。
だけど、ユウナさんにはない。
「いくら考えてもまとまらない。地道に部屋を探すしかない」
しらみつぶしに部屋を見る、何処にも魔人やユウナさんはいない。
それ所か、魔力の残影すらない。
まだ一つだけ見てない所はあるが、一番の可能性が低いと思われる場所。
「行くだけ行くしかないな」
踵を返し向かう。屋敷内は綺麗なまま、一切の傷もない。
玄関には争った痕跡は合った、執事長が一方的にやられたのか、それとも起死回生に一撃を入れたのか、気になる所。
そんな事を考えている間にも残りの部屋に着く。
「やはりここしかないな、執事長と使っていた特訓部屋」
特訓部屋はリステリ邸の中で、一番魔力が籠っている部屋。
しかし疑問も抱く、もしこの部屋にいるのであれば、多少の気配は感じる。
扉に手をかけ開くと、そこには誰もいなかった。
「おいおいふざけんなよ! ここにいなければ何処にいるんだよ!!」
オレは感情任せに床を殴る、ドンっと音が響く。
それと同時に奥の壁が少しズレる。
「今奥の壁がズレた? なんで……だ」
無意識に魔帝の魔道具に触れる。執事長はこれをオレに渡す時、奥に向かった。
もしかしたらあの奥の壁、あそこに何か秘密がある。
慎重に近付く、壁の最奥付近までに行く、壁に触れる。
と、ギギギッと音が鳴る、壁は横にズレた。
ズレたその先には地下に繋がる階段。
次にポケットにある、ヴァニタスの魔導書を触れる。
「地下の禁断書庫……ここならば隠れれる」
特に確証なんかない、ただ自分の直感がそう言っている。
階段を降りる、だんだんと魔力の流れが強く、濃くなっていく。
「一体どんだけ続くんだ?」
それなりに階段を降りたが、まだ続いている。
降りるだけで疲労する、それからひたすらに階段を降りると、およそ二メートルを越える二つ扉。
扉の前、階段の間には無駄に広い空間がある。
「早く言え」
何か声が聞こえる、話し声か? 音と気配を殺し、聞き耳を立てる。
「魔帝の武器のありかを早く答えろ!」
「絶対に嫌だ! 貴方なんかに答えない!」
この声は!! ユウナさんの声、必然的に話し相手は魔人。
今すぐにでも突撃したいが、それでは学園にいた時と同じだ。
隙を伺え、タイミングを見計らう。
「答えないとお前を殺す!」
くっ! 抑えろ、今出ては駄目だ。
今すぐにでも飛び出しそうな、体を力づくで抑える。
「貴方たちに教えても使いこなせない!」
「どうだろうな! あの方ならばきっと使いこなせる」
あの方? それに会話的にこの魔剣、そうか、全て分かった。
どうして魔人がユウナさんを攫い、リステリ邸の地下にいるのか。
全てに線が繋がった。
魔帝の事をリステリ家は代々伝承している、地下には魔帝の何かしらの道具が封印されているだろう。
それを手に入れる為にはユウナさんが必要。
だからわざわざ攫い、ここにいる。
「まぁ情報を渡さないならば、少し痛い目に遭って貰う」
もうこのタイミングしかない! オレは急いで階段を駆け降りる。
ロングソードを肩に担ぎ、魔人に斬り掛かる。
「な、なんで貴様がここに!?」
「その顔始めて見たよ!」
虚をつく攻撃なのに魔人は簡単に避ける。オレが現れた事に驚愕し、一瞬、体を止めた。
間髪入れずに魔人を蹴り抜く。
魔人の顔が歪む、反撃の余地なんかやらない! 片手で剣を振る。
「はぁはぁ、流石にちょっと焦ったぞ!」
「嘘つけ、大分焦っただろ?」
オレと魔人は軽口を叩き合う、あの攻撃を避けるか。
蹴りを入れ、魔人の体勢が崩れ、そこに剣を振る。
コンビネーションとしては、結構高かった筈、それなのに簡単に避けられた。
「そんな事がどうでもいい、よくこの場所が分かったなぁ」
「貴様の考える事くらい分かる」
「分かりやすい嘘だなぁ、まぁいいさ。お前はここで死ぬんだからなぁ!」
魔人はさっきまでの焦りと違い、戦闘体勢。
さっきのでやれなかったのは惜しい。
とはいえ、必ず奴に勝てるとも限らない。
魔人はこちらに向かう。
「まっ待って! 私の事は好きにしてもいい! だからクロ君には手を出さないで」
ユウナさんの啖呵を切る言葉、それを聞き、ここに来て始めて見る。
目から涙を流し、オレを真っ直ぐ見ている。
こんなに見られているのに、一切気付く事ができなかった。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件
フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。
だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!?
体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
【宮廷魔法士のやり直し!】~王宮を追放された天才魔法士は山奥の村の変な野菜娘に拾われたので新たな人生を『なんでも屋』で謳歌したい!~
夕姫
ファンタジー
【私。この『なんでも屋』で高級ラディッシュになります(?)】
「今日であなたはクビです。今までフローレンス王宮の宮廷魔法士としてお勤めご苦労様でした。」
アイリーン=アドネスは宮廷魔法士を束ねている筆頭魔法士のシャーロット=マリーゴールド女史にそう言われる。
理由は国の禁書庫の古代文献を持ち出したという。そんな嘘をエレイナとアストンという2人の貴族出身の宮廷魔法士に告げ口される。この2人は平民出身で王立学院を首席で卒業、そしてフローレンス王国の第一王女クリスティーナの親友という存在のアイリーンのことをよく思っていなかった。
もちろん周りの同僚の魔法士たちも平民出身の魔法士などいても邪魔にしかならない、誰もアイリーンを助けてくれない。
自分は何もしてない、しかも突然辞めろと言われ、挙句の果てにはエレイナに平手で殴られる始末。
王国を追放され、すべてを失ったアイリーンは途方に暮れあてもなく歩いていると森の中へ。そこで悔しさから下を向き泣いていると
「どうしたのお姉さん?そんな収穫3日後のラディッシュみたいな顔しちゃって?」
オレンジ色の髪のおさげの少女エイミーと出会う。彼女は自分の仕事にアイリーンを雇ってあげるといい、山奥の農村ピースフルに連れていく。そのエイミーの仕事とは「なんでも屋」だと言うのだが……
アイリーンは新規一転、自分の魔法能力を使い、エイミーや仲間と共にこの山奥の農村ピースフルの「なんでも屋」で働くことになる。
そして今日も大きなあの声が聞こえる。
「いらっしゃいませ!なんでも屋へようこそ!」
と
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
東京異世界派遣 ーー現場はいろんな異世界!依頼を受けて、職業、スキル設定して派遣でGO!
大濠泉
ファンタジー
当社《東京異世界派遣株式会社》では、転送機で異世界へ派遣しております。
細胞サイズまで情報化して転送しますので、厳密に言えば、転送するたびに存在としては死んでから再生することになります。
さらに、体内に埋め込まれたナノマシンによって、異世界での現地適応を果たしておりますから、派遣依頼に応じて設定した〈勇者〉とか〈聖女〉〈魔法使い〉といった役割を全うしてもらいます。
ちなみに、〈俺様キャラの男〉や、〈ホスト狂いの女〉を派遣することになってしまったのは、バイト募集に応じてくれたのが、この二人だけだったからであって、他意はありません。あしからず。
※勘違い系コメディーです。
※小説家になろう・カクヨムにも投稿しています。
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
大魔法Hit!インパクト
夏々蜜柑
ファンタジー
主人公カツミは美術部員。クラスメートの麻美と茂も同部の仲間だ。物の印象を様々なに記号化して描くのが得意でイマジネーション能力豊かな高校生。
日常の一歩下、現世と異なる魔法力を法則とする世界があった。大陸に出現した邪道機械との戦いの切り札としてカツミは召還されてしまう。
カツミを呼び出した魔法使いラヌは雷と火を極めた強力な術者だった。砦の主人と呼ばれ、領域を統治し、理力が高く威厳ある少女だった。しかし彼女の魔力でも邪道機械には歯が立たない。ラヌはカツミの世界の法則をイメージを介して転用させろと言う。あまりの強引さに渋々応じたカツミだったが、自分の空想をラヌに武装させてしまい、激しい怒りと当惑を買うものの、その威力は絶大だった。遠慮がちで平和主義のカツミと誇り高く激しい性格のラヌはコンビを組んで戦うことになる。
二人の戦いはこの世界の何を変えるのか――――
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる