最強の魔帝の少年〜魔力がゼロの無能と思われているが実は最強。落ちこぼれの令嬢を守る為に力を奮い無双する

黒詠詩音

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43話 魔帝の面影

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「クロお前って治癒魔法を使えるのか?」
「はい? 考えた事ないですね。多分使えません」
「だったらなんで体が完治している?」

その言葉を聞き、ボクは自分の体を触る、すると、さっきまで合った傷、痛みがない事に気付く。
一体何が起きている? さっきまで瀕死の肉体だった、それなのに今ほぼ完治している。
この時、ボクの頭にある出来事が、映像のように流れる。
ユウナさんが怪我して帰ってきた時、いつの間にか怪我が治っていた。
状況が少し似ている、この場には執事長はいない。
必然的にあの時、ユウナさんの怪我を治したのはボク、一つ問題を上げるならばどうやって回復した?

「無意識下の治癒魔法」

無意識下の治癒? 確かにそれしかない。それ以上に説明ができない。

「わっちでもできない高度な魔法。唯一できるのはユウナくらいだ」
「できそうですねあの人ならば、それではボクは向かいます」
「待て、向かう手段がまずないだろ? それにまず場所分かるのか?」

盲点だった、助ける事ばっかり頭にいってたから、向かう手段がない。
場所に関しては、魔人とユウナさんの魔力の残影を追えばいい。
問題は風紀員長も言っている移動手段。

「場所に関しては何とかなります。問題は移動手段」
「それならばこいつを貸してやる」

パチンと鳴ると、上空から獣の咆哮と共に、両翼の翼に尻尾、全身を覆うような鱗、一見それはドラゴンに見える。
だけど実際が違う。

「ワイバーン!?」

ドラゴンと同じ種族であり、唯一人間と共存ができている竜種。
使い魔としては人気で強い、けれどその反面、実力の高い魔法師しか使役できない。
まさか風紀員長が使い魔として、ワイバーンを使役しているとは思わなかった。
でもこの人ならば不思議ではない。
問題はボクがワイバーンを操れるかだ。

「グゥゥゥゥルルルル」
「そう騒ぐなワイバーン」

ワイバーンは明らか様に警戒をしている。このままでは魔人を追いかけられない。
自分の主人以外に、力を貸したくないんだろ? お前の気持ちは充分分かる。
でも今ボクにはお前の力が必要だ! 次の瞬間、ワイバーンはボクに近付き、頭を下げる。
腕を伸ばし頭に触れる、すると、ワイバーンはボクの体に頭を擦りつけてくる。

「あのワイバーンは簡単に懐くなんて‥…」

ボクも内心驚いているよ、ワイバーンは人懐こくない、決して簡単に手懐ける事はできない。
もしできるとしても相当な実力者。
いや今はそんな事どうでもいい。

「ワイバーン。ボクに力を貸してくれ」
「グゥゥゥル」

気持ちワイバーンが頷いた気がする。
多分気のせいなんだろうけどな、ワイバーンは背を向ける。
乗れって事か、ボクはジャンプしてワイバーンの背中に乗り移る。

「クロわっちのワイバーンを借りるんだ、絶対にユウナを連れ戻して来い!」
「死んでもユウナさんを助け出します」
「ばーか、二人で戻って来い、歓迎してやるから、それにフォストをぶっ飛ばすんだろ?」

コクリと頷く、まずはユウナさんを助け出さなければ、何事も始まらない。

「頼むぞ、ワイバーン!」

ボクの言葉に応えるかのように、物凄い咆哮を上げる。
ワイバーンは両翼を大きく広げ、羽ばたかせる。
空に浮いている、ボクは少し感動を覚えてしまった。
本当にあのワイバーンの背中に乗っている! 感動に浸る暇はない。
今この時間でユウナさんが、傷ついてるかもしれない。

「それではボク……オレは向かいます」
「あぁ行って来い」

ボクは軽くワイバーンを叩く、反応するかのように上に向かっていく。
ユウナさん待っていて下さい!

「行っちゃったねクロ」
「ん? リリィか、合流するって言っただろ?」
「ごめんごめん。私も少し見たくてね。新しい王をね」
「王か……わっちはあやつ魔帝の面影を感じた。何百年──

        ◇
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