最強の魔帝の少年〜魔力がゼロの無能と思われているが実は最強。落ちこぼれの令嬢を守る為に力を奮い無双する

黒詠詩音

文字の大きさ
上 下
24 / 51

24話 風紀員の仕事

しおりを挟む
風紀員長はユウナさんに理解がある。他の風紀員は違うもかもしれない。
現に突き刺さっている男は、ユウナを邪険に扱った。
もし風紀員長が手を出してなかったら、ボクが攻撃をしていた。

「さてさて改めて歓迎するよクロ! ようこそ風紀員に!」

風紀員長は両手を広げ、歓迎をしてくれた。他の人たちはどうなんだろう? 黒衣のローブを纏ったままだから分からない。
風紀員は他の生徒と違い、制服を着てないが何か意味があるのか。

「あのなんで制服じゃなく、黒衣のローブ何ですか?」
「説明をしてなかったね。これは風紀員の正装さ」

黒衣のローブが正装ってのも、また不思議な事だ。
基本この学園は白を基調とした制服。
それとはまるで真逆のように、風紀員は黒衣のローブ。
ローブは魔法師としての証でもある。ソロモンでは教員以外は風紀員しか、ローブを着てない。

「どうしたの? わっちに見惚れているの?」
「いやそれはないので安心して下さい」

風紀員長の思わぬ言葉に、思っていた以上に冷たく反応してしまった。
風紀員長は肩を落とし、目で分かるくらいにがっかりしていた。
そこまでがっかりするか? 見惚れそうな見た目はしている。
それでも一概には中性、見惚れているとは言い切りたくない。
もし女性だとしてもなんか嫌だ。なんか、うんムカつくから嫌だ。
そんな単純明解な気持ちが、今少なくともボクを動かしている。

「こんな美少女に見惚れないなんて」
「えっ!? 女性何ですか!」
「失礼だなこれでも学園が誇る美少女だよ!」

風紀員長が胸を張り、誇らしく言った。
部屋には沈黙が続き、空気が凍ったような感覚。背中がヒューっと冷たい感覚に何故か襲われた。
まるで本当に空気が凍っているようだ。
何か話しを変えた方がいい、それでも話題が全く思い付かない。
助けを求めるように、横にいるユウナさんを見る。
ユウナさんは目を逸らした。あっ、これは完全に見捨てられた。
一体どうすればいい? 風紀員長の興味がある事……まず、そもそも今日初めて合ったから分からん。
あぁもう流れに任せる! 直に風紀員長は拗ね始めた。
すると他の風紀員たちは、フードを外し、風紀員長を隅に追いやった。
ピンク髪の女性がボクらに近付く。咳払いをしてから話しかけてきた。

「えっと家のボスがごめんね。何度も言う見たいだけど、君を歓迎するよ!」

これで何度目か、分からないくらい歓迎をされた。
ピンク髪の女性は風紀員長の方に、時々を目を向けていた。
さっき自分らで追いやったのに、気にするのか、あれでも一応風紀員のボス。

「実力は十分高いんだけどね、人間性がまだ」

ピンク髪の人は半笑いをしながら、風紀員長を少し小馬鹿にしていた。
その発言にユウナさんはクスクスと、笑っていた。横にいるから笑い声が普通に聞こえる。
ピンク髪の女性は半笑いのままだった。
実力高いのは分かっている、ボクも少しだけ目にした。
それでもまだ色々と未知数な所はある、風紀員長は確かに強い。
けれど他の強い人、特有の強者感もオーラもない。
それなのに強い、理事長の言葉を借りるならば不気味。

「あっそうだ、クロは風紀員の仕事を知っている?」
「いえ知りません。何ならば今日初めて風紀員があるのを知りました」

ピンク髪の人の動きが止まり、動き出したかと思えばこめかみを抑え、深々と溜め息を吐いた。
それを聞いて風紀員長の体が、ビクッとした。
ほぉーう、立場上風紀員長の方が偉いが、実際はピンク髪の女性の方が上らしい。
実力は高くても人間性では、風紀員長は弱いからピンク髪の人が、実質のボスといえるだろう。

「本当ごめんね! 理事長も家のボスもポンコツだからさ」

今この人、何の迷いもなく、自分のボスと理事長をポンコツと言った。
風紀員長は隅で固まりながら、こちらを凝視する、いや普通に怖いって! こっちをそんなに見ないで欲しい。
ピンク髪の女性は踵を返し、風紀員長の下に向かい、すぐに奥へ進んでいた。
まじでこの空間は一体何なんだ? 意味不明過ぎる。
少ししてからローブを持って、ピンク髪の女性がこちらに来た。
ローブを手渡してきた、黒衣ではなく、黒と赤が混合したローブ。
他の風紀員の人たちと違うローブ。
ボクは迷いながらローブを受け取る。

「それじゃあ羽織ってみて」

執事服の上からと思いながら、ボクは赤と黒の混合されたローブを羽織る。
特段、何か変わっている訳でもなく、魔力が込められているに過ぎない。
次に剣を渡された、普通のロングソードだった。
ボクは剣を渡された事に困惑し、それでも受け取った。
剣を持つと鉄の重量が手に乗っかる。
魔道具とかではなく、普通のロングソード。他の風紀員は誰も持ってない。

「どう? そのローブは?」
「どうって言われても何も感じないす。それより何故ロングソード?」

別に騎士になるつもりはないんだけどな。
ロングソードは全世界共通で、騎士が所有している。
魔法師が普通の武器を持つ事はない。
まだ魔道具ならば分かる、でも今ボクはロングソードを渡された。魔力もない鉄の塊。
ボクの様子を見て、ピンク髪の女性はぶつぶつと何かを言っている。
言い終わったかと思えば、拗ねている風紀員長が来た。
ピンク髪の女性は露骨に嫌そうな顔をした。

「そのロングソードは君だから渡した」
「クロ、君は近接戦が得意。今の現状では多分肉弾戦が一番」

それに関しては全く否定ができない。
今は多少の魔法を使えるとはいえ、未だに肉弾戦に頼ろうとはしている。

「君の魔道具、それは剣状の物だ、それを使いこなすには剣に慣れる必要がある」
「それでロングソードですか」
「その通り」

この人たちは一体どこまで知っているんだ? 風紀員長の指摘は的を得ている。
これからあの魔道具を使うならば、剣に慣れておいた方がいい。
それでもよくこんな物、用意できたな。少し関心をしてしまう、剣状の魔道具は複数あると聞いた。
それに対してロングソードは、一番効率のいい練習具になる。

「次にそのローブは特にない。最後に風紀員の仕事を説明をする」

やっと今回の本題が出てきた。
さっきまでの拗ねている様子と違い、真面目に風紀員長は話し始めた。
風紀員の仕事には大きく分けて二つある。
一つはこの学園の秩序、正確には昇格戦での不正や、学園の不穏分子を消し去る。
この学園ではクラスが高い程に偉い、その為、ユウナさんみたいに虐められる人が多い。そういう人を守るのも役目。
もう一つはこの学園のトップである事。学園の交流会とかもあり、学園対抗戦で勝てる程の実力を持つ。
それが二つ目の仕事であり役目。
簡潔にいえば、学園を守りながら最強でいろって所だろ。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【宮廷魔法士のやり直し!】~王宮を追放された天才魔法士は山奥の村の変な野菜娘に拾われたので新たな人生を『なんでも屋』で謳歌したい!~

夕姫
ファンタジー
【私。この『なんでも屋』で高級ラディッシュになります(?)】 「今日であなたはクビです。今までフローレンス王宮の宮廷魔法士としてお勤めご苦労様でした。」 アイリーン=アドネスは宮廷魔法士を束ねている筆頭魔法士のシャーロット=マリーゴールド女史にそう言われる。 理由は国の禁書庫の古代文献を持ち出したという。そんな嘘をエレイナとアストンという2人の貴族出身の宮廷魔法士に告げ口される。この2人は平民出身で王立学院を首席で卒業、そしてフローレンス王国の第一王女クリスティーナの親友という存在のアイリーンのことをよく思っていなかった。 もちろん周りの同僚の魔法士たちも平民出身の魔法士などいても邪魔にしかならない、誰もアイリーンを助けてくれない。 自分は何もしてない、しかも突然辞めろと言われ、挙句の果てにはエレイナに平手で殴られる始末。 王国を追放され、すべてを失ったアイリーンは途方に暮れあてもなく歩いていると森の中へ。そこで悔しさから下を向き泣いていると 「どうしたのお姉さん?そんな収穫3日後のラディッシュみたいな顔しちゃって?」 オレンジ色の髪のおさげの少女エイミーと出会う。彼女は自分の仕事にアイリーンを雇ってあげるといい、山奥の農村ピースフルに連れていく。そのエイミーの仕事とは「なんでも屋」だと言うのだが…… アイリーンは新規一転、自分の魔法能力を使い、エイミーや仲間と共にこの山奥の農村ピースフルの「なんでも屋」で働くことになる。 そして今日も大きなあの声が聞こえる。 「いらっしゃいませ!なんでも屋へようこそ!」 と

東京異世界派遣 ーー現場はいろんな異世界!依頼を受けて、職業、スキル設定して派遣でGO!

大濠泉
ファンタジー
当社《東京異世界派遣株式会社》では、転送機で異世界へ派遣しております。 細胞サイズまで情報化して転送しますので、厳密に言えば、転送するたびに存在としては死んでから再生することになります。 さらに、体内に埋め込まれたナノマシンによって、異世界での現地適応を果たしておりますから、派遣依頼に応じて設定した〈勇者〉とか〈聖女〉〈魔法使い〉といった役割を全うしてもらいます。 ちなみに、〈俺様キャラの男〉や、〈ホスト狂いの女〉を派遣することになってしまったのは、バイト募集に応じてくれたのが、この二人だけだったからであって、他意はありません。あしからず。 ※勘違い系コメディーです。 ※小説家になろう・カクヨムにも投稿しています。

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

大魔法Hit!インパクト

夏々蜜柑
ファンタジー
 主人公カツミは美術部員。クラスメートの麻美と茂も同部の仲間だ。物の印象を様々なに記号化して描くのが得意でイマジネーション能力豊かな高校生。  日常の一歩下、現世と異なる魔法力を法則とする世界があった。大陸に出現した邪道機械との戦いの切り札としてカツミは召還されてしまう。  カツミを呼び出した魔法使いラヌは雷と火を極めた強力な術者だった。砦の主人と呼ばれ、領域を統治し、理力が高く威厳ある少女だった。しかし彼女の魔力でも邪道機械には歯が立たない。ラヌはカツミの世界の法則をイメージを介して転用させろと言う。あまりの強引さに渋々応じたカツミだったが、自分の空想をラヌに武装させてしまい、激しい怒りと当惑を買うものの、その威力は絶大だった。遠慮がちで平和主義のカツミと誇り高く激しい性格のラヌはコンビを組んで戦うことになる。  二人の戦いはこの世界の何を変えるのか――――

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

処理中です...