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12話 入学の準備

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「ねぇクロ君。どうしてあんな事になった?」
「ボクはただユウナさんの期待を応えたかっただけです」
「期待か……あれほぼ冗談のつもりだったのにな。でもありがとうね」
「御礼を言われる立場ではありません。ボクは執事長に負けてしまった」
「ん? 何か勘違いしているぽいけど? 君の勝ちだよ」
「は、はい!?」

ユウナさんの言葉で起き上がる。すると頭にチョップを喰らう。
ユウナさんは不機嫌そうな表情をしてる。
あ、命令破ってしまった。どうする戻るか? いや流石にこれ以上はまずいな。
大人しくこのままでいよう。
それでも少しユウナさんから距離を置く。そしてユウナさんの真正面に座る。

「どういう事ですか?」
「いやどうと言われても? 君はあの時勝ったんだよ……」
 
       ◇

ユウナさんの話しからすると、ボクは壁に衝突し倒れ込んだ。だけど数秒経った頃に立ち上がり、執事長を殴り飛ばし、気絶をするように倒れた。
ボクが起きる数分前まで、執事長も気絶していたらしい。最後の一発で勝負に決着が着いた。
待ってこれはどうなるんだ? 結果的には倒した事になる。
つまり学校に行く許可を貰えたのか?

「あ、クロ君、レードさんが後で例の部屋に来いって」

例の部屋、執事長とボクが特訓に使っている部屋の事。早々に勝ったって思い込んでは駄目だ。続きの可能性が高い。
身を引き締めていかないと。
ボクは立ち、服についた砂ぼこりを払う。黒い色の執事服の為、汚れは目立つ。ある程度払えたから向かう事にした。

「クロ君。レードさんとの話しが終わったら私の部屋に来てね」
「……分かりました」

今日は本当に忙しい一日だ。
でもまぁ主人の命令、笑顔を守る為にはいたしかたない事。
      
       ◇
魔力で構成された部屋の前にいる。そこにはこないだまで、なかった看板が合った。
看板には特訓部屋と書かれていた。
扉を開け、中に入ると、今までと比にならない程の魔力が充満している。
部屋の真ん中には執事長が座り込んでいる。目を瞑っていた。一歩部屋に進む。

「待っていましたよクロさん」

さっきとは違い穏やかな表情に声音。その声と表情に一瞬、気を抜いてしまった。すぐに気を引き締める。今の執事長は敵対心を持っているかは、定かではない。油断は命取りになる。
警戒をしろ、悟られない程度で臨戦体勢を取る。一瞬でも気を抜かない。

「そんなに警戒しないで下さいよ。まぁここに呼ばれたら無理って話しですね」
「何の為に呼び出したんですか?」
「簡単な話し。ワタシの完敗です。君はワタシの予想を上回った」

予想を上回ったか、これは油断を誘う為の言葉の可能性。

「正直悔しい。君との勝負で負けるつもりはなかった。でも君の意志は強かった」
「執事長要件を言って下さい」
「ユウナ様をお守りを下さい。入学を許可します」
「本当ですか!? と言いたいけど条件付きですよね?」

執事長は笑みを浮かべ、腹を抱えて笑い飛ばしていた。いつもの礼儀正しさも品性も今は全くない。
これがこの人の素なのか? 流石に演技ではないと思う。
もしこれが演技だったら恐ろしい。


「はっはっ、こんな短期間でワタシの事理解されているとは──条件は学校で最強に成れ」
「それは何の為にですか? リステリ家の保身ですか? それとも執事としての誇りを?」
「そんな嫌味たらしく言わないでくれ」

執事長は立ち上がる動作をし、奥にある壁に向かって歩きながら、ボクと話しを進める。

「その全てとも違う。ユウナ様の立場を考えても、君は必ず最強にならないといけない。それがユウナ様を守る最短であり効率的な事」

なるほど的を得ている。学校に行って守るだけでは駄目だ。もし交流際が合った時どうする? 今のままだとユウナさんの立場を落とす。
それならば、学園を踏み台にしても最強になる。リステリの執事──右腕としてもだ。
決心を固めていた。その時──布で隠された棒状の物を差しだされる。
執事長の表情は真剣であり、固い意志を感じた。
受け取る。すると体内に不思議な感覚が襲い掛かる。直後痛みに襲われた。
その痛みは今までの比ではなく、表す事はできない。
体の細胞一つ一つに入り込む感覚。

「はぁはぁ……」

布で隠された物を受け取ってから、膝を付いてた。意味が分からないくらいに息苦しい、一歩動くだけで痺れる。
くそっ! 一体何が起きているんだ? まるで力に呑み込まれるようだ。

「クロ君。それはね魔道具であり魔剣何です。それは曰く付きのブツ

魔道具? 魔剣? 執事長の言っている意味が分からない。自分自身で確かめる。
痺れる体の力を振り絞り布を取る。
そこには!?

「それは名を封印されたブツ。かつてとされています」
「つまりこれを使いこなせって事ですね?」
「ええ、君にならば使いこなされると思っている」
「正直──とんでもない化け物を渡してくれたなと思っていますよ」
「きついか?」
「きついすよ。でもこれすら使いこなしてボクは最強になる」
「その意気です。それはワタシからの入学祝いです」

執事長はそういうと手を差し出してきた。その手を取り、ボクは立ち上がる。
次の瞬間、頭に鋭い痛みに体がフラフラしてしまう。一瞬でも気を抜けば意識を持っていかれそうになる。
何とか踏み止まり部屋から移動する。
部屋をする時、執事長に会釈をして抜け出す。
後はユウナさんの所だ。
急ぎ足でユウナさんの元に向かう。
ユウナさんの部屋に入ると、色々と物があり、何だろうと思った。ボクを察してか淡々と説明をしてくれた。
学園に必要な物に制服。そして刀剣袋が合った。
ユウナさんは知っていたんだな。ボクにこの化け物を渡される事を。それにしてもよくこんな短時間で必要品を集めれた物だ。と感心をしていると。

「これ全てね。いざクロ君が入学する時の為に密かに用意していた」
「準備万端な事でー」

少し呆れてしまっている自分がいる。
それでもユウナさんと執事長には感謝をしている……。
今日は本当に疲れる一日だった。
ベットに横たわりながら感傷をする。















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