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3話 嫌な奴との遭遇

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 それに何か、変われる気がする。
 これはただの思い違いかもしれない。
 だとしても少しの期待をし、ユウナさんに付いて行く。

「それじゃあリステリ邸に向かおうか!」
「え? ヒュウガとの商談は?」
「あ、あんなのはどうでもいいよ」

 ユウナさんの言葉に、ボクは苦笑をする。
 流石帝国最強の魔法師家系。ヒュウガに物怖じを一切していない。
 それにヒュウガが、コケにされるのはいい気味だ。

「じゃあクロくん。護衛よろしくね」
「はい!」

 護衛と言ってもリステリの人間ならば、魔物に襲われても撃退出来ると思う。
 それにボクは魔力ゼロの無能。ユウナさんを、護衛出来る程の強さを持っていない。

「私がユーグリアに来るまでの道中、魔物とか現れなかったから大丈夫だと、思うけどね」

 魔物に合ったのってボクと出会った時か、あれ? だとしたらボクといるのやばくない? その予想は見事に的中する。

「なんでこうなるの!?」
「ユウナさん、喋ってる暇が合ったら逃げますよ!」
「うん、そうだね!」

 べオードウルフの十数体が、ボクたちを追いかけて来る。
 それに対し、ボクらは全速力で逃げている。
 さっきのように数匹はボクの言う事を聞くが、ボス格のベオードウルフのせいで、何一つ駄目だ。

「どうするクロくん!?」

 一体どうすればいい? ボクには魔力がない。その為魔法が使えない。
 それにユウナさんは頑なに、魔法を使おうとしない。
 次の瞬間、巨大な炎がべオードウルフの群れを襲う。
 そして炎は爆散をし、火の粉がボクたちに降り掛かる。

「あっつ!」
「この強大な魔力に威力……まさか!?」
「君ら大丈夫?」

 この聞き覚えのある声! 最悪だ。
 このままだと、ユウナさんまで危険に晒される。ボクの顔に布が被る。

「これは防煙魔法。クロくん、私の後ろに隠れといて」
「ど、どうして?」
「君の波長が大きく、波が出来ていたから」
「!? ありがとうございます」
「あれ、貴女はユウナ様」
「どうも、リグ=ヒュウガ様」

 リグ=ヒュウガ、一つの年違いの元・弟。ヒュウガの兄弟の中でも、シンに次ぐ、実力者。

「今からユーグリアにお向かいですか? それとそこの者は?」
「こっちは私の使用人です。それと、ユーグリアには出向いたので大丈夫です」

 ユウナさん平気で嘘を付いている。

「本当にですか?」

 リグはユウナさんの顔を覗き込む。
 片手で髪に触れている。ユウナさんの右手が、ピクついてるのに気付く。
 触れられるの嫌なのに、我慢をしている。
 多分、リグはそれを分かって触れている。

「どうかしましたか? ユ・ウ・ナ様!」

 リグはユウナさんを見下し、嘲笑っている。
 どうしてだろう? この光景を見てると、はらわたが煮え返りそうになる。

「は?!」
「え、嘘でしょ!?」

 気付いた時、リグが地面に這つばっていた。それにボクはユウナさんの前に、そしてリグの対面にいる。



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