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ギルドに行こう
しおりを挟む丼まる亭を後にした僕達は、身分証と従魔登録証を作りに冒険者ギルドに向かっていた。
大通りを歩いていると串焼きやら厚切りベーコンなどの屋台が出てていい匂いがしてくる。
今度は屋台巡りもいいかもね。
少し進むと異彩を放つ建物が見えてきた。
大きい反りのある瓦屋根、
入り口の感じ、これは…お寺だ!
お寺に剣と杖の看板が掛かっている。
そこから、侍や忍者みたいな格好の人が出入りしている。
ギルドかな?ギルドっぽいよね。
「冒険者ギルドってアレ?」
「そうですわ。大丈夫だとは思うのですけど中には柄の悪い冒険者もいるので、お気をつけ下さい。」
お鶴さん……それ、フラグだよ…。
そういう人って自分より弱そうなやつ見つけると水を得た魚のように嬉嬉として突っかかって来るからね。テンションだだ下がりですよ。
でも身分証が必要なので、お鶴さんに続いてギルドに入っていく。
うわー、思ってたそばから入り口近くに座ってるパーティー……格好が世紀末だよ。
モヒカンに何かの骨でできたネックレス、肩口がビリビリに破けた着物。
やばいつい目に入ってしまった。
急いで下を向く。
「おい!此処は冒険者ギルドでござる!ママについて回る乳離れの出来てないガキが来る所じゃあない、帰るでござる!」
やっぱりきた...というか、ござるって。
ニヤけそうになるのを堪え…隠し、下を向いたままお鶴さんを追う。
ツカツカツカツカ
「シカトしてんじゃねぇでござる!!!」
反射的にそちらを見ると、世紀末の人…は動いてない。
違う普通の人が刀を振り上げていた。
危険を感じながらも
僕はこう思った……誰っ!?
ガキンッ
瞬間、オロが素手で刀を受け止めていた。
身体から元の八岐大蛇のようなオーラを出しながら。
ギルド内が静まりかえった。
ほとんどの冒険者は動けず、こしを抜かしている冒険者、咄嗟に武器を構えた冒険者もいる。
切りかかってきた冒険者は武器を離し、腰を抜かしていた。
「いけませんわっ!オロ様!」
「…どいつもこいつも煩いのだ、我のコウに手を出すとは死して詫びるがいい。」
オロが手に力を入れると刀が朽ちて崩れ落ちる。
僕は考えるよりも先にオロを抱きしめていた。
「僕は大丈夫だから。」
少しずつオーラは小さくなり、
やがて消えた。
すると大柄の髭の生えたおじさんがこちらに来る。
「お前達、ちょっと俺の部屋で話を聞かせてもらおうか。」
その人に奥の部屋へ連れていかれる。
バタン
「掛けてくれ。」
三人は長椅子に案内され座った。テルは僕の膝の上、ゴンタは長椅子の横にいる。
「俺は、ギルドマスターのジエン トウジョウだ。」
この人ギルドマスターだったのか。強そうな雰囲気出てるよ。
「お鶴ですわ。」
ジエンさんがこっちを見ている。
あ、僕の番か。
「コウです。この子はテル、あっちの子はゴンタです。」
「オロだ。」
「うむ、馬鹿でかい威圧を感じたんで部屋を出たら、その威圧を出してるのがこんな小さな嬢ちゃんだったとはな。」
「待って下さい。先に襲われたのは僕です、オロは僕を助けようと。」
「まぁ落ち着け、コウ君。分かっている。大体の話は受付嬢に聞いた、だからまずは謝罪を…すまなかった。」
ジエンは頭を下げた。
何か罰せられると思っていたのでビックリした。しかもギルドマスター直々に謝罪するなんて…。
「頭を上げてください。大丈夫ですから。」
「コウたんが許すなら我も許そう。」
「しかし、あの威圧は控えていほしい。周りにも影響がな。」
「コウたんが襲われたらわからん!」
ジエンさん僕に目で訴えかけている。
「…後で言い聞かせます。」
「頼んだぞ。」
「それより今日は、コウ様とオロ様のギルドカードと従魔登録証を作りに来たのですわ。時間も遅いですし、まだお話があるのでしたら明日の朝伺いますので先に登録をさせて下さいませ。」
ギルドカードが身分証になるのだろう。
それに、奥の窓を見ると大分暗くなっていた。
「ギルドカードを作りに来てたのか。ちょっと待ってくれ、丁度いいのが」
机の引き出しを漁っている。
「あったあった、少し型は古いが充分使える。」
取り出したのは手の平サイズの端末。
僕にはすごく見覚えのあるもの。
「それは!
スぐに会計電子マネー機能、
マッピング機能で快適な旅、
ホットな情報通話で共有、
略して"スマホ"ではありませんか!」
本当に"スマホ"だと!?
「おっ、お鶴君は詳しそうだな。」
「私も持っていますから。」
「個人持ちか、凄いな。大体"スマホ"はCランク以上の冒険者がパーティーで一台やっと買える位高いからな、今回の騒動もあったし俺のお古だが、よかったら使ってくれ。」
"スマホ"を手渡される。
「使い方はお鶴君に聞くといい。身分証も従魔登録もそれで出来る、パーティーの身分証は仮で出来るがギルドカードは別で作った方がいいな、ギルドの説明もあるから明日また来てくれ。」
「わかりました。」
冒険者ギルドを出た僕達は、
スマホの使い方もあるのでお鶴さんの家に泊まる事になった。
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