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卵を孵化させよう
しおりを挟む目を覚ますと見知らぬ天井。
家の中…?
見渡すと10畳ほどの広さがある木造の家、色々壊れているものの使える物も多そうだ。
何年も使った形跡はないので空き家であろう。
んー、どうしよう。
異世界だし何があるかわからないから、此処を拠点にして周囲の安全確認かな。
窓から外を見ると森だった。
街や村の中じゃないのは確かだなぁ。
人の気配ないし…
よし、アレを使ってみよう。
神様から魔法に関する知識を貰った時に空間魔法に関する情報もあった。この世界では基本『火』『水』『風』『土』『雷』の5属性に分かれていて、それ以外の特殊な魔法は『無』属性に総じて分類されるらしい。
それで、僕は空間魔法しか使えない訳だが、コレがなかなかできるやつなのですよ。
まず『空間収納』
コレはお察しの通りアイテムボックスみたいなものだ。だがアイテムボックスは容量が決まっているみたいだが空間収納はいくらでも入るらしい。嬉しいね。
次に『結界』だ。
イメージ的には対象を箱で囲う感じかな。
これで対象を守れたり、敵を閉じ込めたりできる。
因みに魔素登録すれば出たり入ったりは可能なのさ!
そういう訳で結界で家を囲もう。
外は怖いので今回は中から…べべべつにビビってないよ?
えーっとだいたいでいいかな、、あっ外に井戸があったからそれは入れよう。
7m×10m位で届くかな。
高さは…外に階段がなければ平屋だろうなぁ。
まぁ一応10m位で!
よし、発動っと。
キィィーーーーーン
「オッケーぽいね。」
安全確保は出来ただろう。大丈夫だよね?
という事で、忘れてないよ。卵。
空間収納に入れてあった卵を取り出す。
神様が魔力を込めたらすぐに産まれるって言ってたよね、それではやってみよう。
卵に魔力を流し込むと徐々に大きくなる。
40センチ位の所で止まり中で動いている感覚がある。
パキッ
すると中から
全体は黒く額の十字と尻尾の先だけ白いイタチのような魔獣が産まれた。
「ごしゅじんさま、おはよー?」
「喋れるんだ!?あっおはよ。僕はコウだよ。」
「コウさまー?」
「コウでいいよ。君は名前あるのかな?」
「コウわかった!んーとね、名前はないけどライトニングラーテルって種族なんだぁ!」
「じゃあ…名前を付けないとね。ライトニングラーテルだから“テル”でどうだろう?」
「テル、テルうれしー!コウありがと!」
そう言ってテルは仰向けになってスリスリしてくる。
はァはァ。何この子可愛すぎるでしょ。
「ねぇ、テル。ナデナデして顔を埋めてもいい?」
「うんいいよー!」
一礼して、お腹に顔を埋めながら前足の付け根あたりをもふもふ。すぅーーーーはぁーーーーー。もふもふ。
お腹の毛はふわふわだ。
背中側の毛は固めだが艶々していて触り心地いい。最高です!!
その行為は10分続いた。
「ふぅ、ありがとう。」
「コウはナデナデ上手だねー!」
天使なのかっ!?うちの子は天使だったらしい。
もっともふもふしたい所ではあるけど、日が落ちる前に食料を確保しときたい。近くに村や街があればいいけど。
「テル、食料を集めたいから森に入るんだけど一緒に来てくれるかな?」
「いいともー!テルねー遠くまで匂いわかるの。美味しいのいっぱい探すね!」
「頼りにしてるよ。」
「うん!任せてー♪」
「コウ行かないのー?」
「ちょっと待ってね。」
どのくらい時間かかるかわからないし、準備はしとかないとね。
棚を漁る。
壊れている物が多いけど、鍋とか食器類、麻袋など使えそうな物は全部空間収納にしまっておこう。
よし、こんなもんかな。
「ごめん、お待たせ。」
テルは早く外に出たかったのか扉の前で待っていた。
「右の方から水の音が聴こえるの、川があるみたい!お魚いるかも♪」
僕には全然聴こえないから、テルは鼻だけじゃなく耳も相当いいみたいだ。
「テル、村とか街、人がいっぱいいそうな所わかるかな?」
「んー…こっからだとわからないや」
「じゃあとりあえず川まで行こうか。」
「うん!」
サバイバルナイフを装備してと
扉を開けて外に出る。
ぷはぁー、空気が美味しい。魔力の質がいいのか濃いのか体に馴染む感じがする。
「あっそうだ、テル。美味しい物もそうだけど魔物とかもいたら教えてくれる?」
「わかったー!あのねー左奥50m先の木の根元にホーンラビッt…あっ逃げちゃった。捕まえる?」
「いいよ、襲われない限りはあんまり殺したくないかな。」
「コウ優しいんだね♪お魚はいたら食べていい?」
もふもふ以外は割り切れます。肉も処理済みのは食べれるんだけど生きてるの見るとどうしてもね…。
「食べていいよ。いっぱい捕れるといいね。」
「うん♪こっちだよー!」
テルが先行して進む。
森といっても木は多いが草の背が低いので歩きやすい。テルは早く川に行きたいみたいだけど、僕を気にしてゆっくり歩いてくれている。超絶いい子。後ろ姿も愛くるしい。
クンクン
「コウ、このキノコ食べられるよー!」
と言って見つけたのは笠の広い赤いキノコだ。
「え?コレ大丈夫なの?赤いけど…」
「大丈夫!食べられるのは美味しい匂いがするんだよー!」
テルを信じて赤いキノコを摘んでいき、空間収納へ。
そうしてコウが食べれる!と言った葉っぱや木の実を摘みながら進んで行くと、水の流れる音が聴こえてきた。
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