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「あ、琉弥さん!!おはようございます!」

おい、主人公。声色と表情がさっきと全然違うぞ

「おはよう。光も、おはよう。」

「おはよう...」

「それで、真佑くんはどうしてここに?」

「えっと、光さんにお弁当箱を返してもらいに来たんです。今日委員会があってお昼行けなくて...」

「そっか!じゃあ碓氷達にも伝えておくよ。委員会頑張ってね。」

「はい、ありがとうございます!」

バイバイと手を振って主人公が去っていった。

-------

自分たちの机に戻り、琉弥が荷物を下ろす。
ちなみに俺たちは香川と神谷で出席番号が隣だ。席は出席番号順だから、琉弥の席は俺の後ろにある。

「光がこんな朝早く学校に来るなんて珍しいね。」

「今日原沢さんが休みでさ、兄さんの出勤のついでに車で送ってもらったから早く着いた。会社反対方面だから早く出ないと兄さんが間に合わなくて。」

「そうだったんだ、大変だなぁ。原沢さんどうしたの?」

「姪の結婚式だって。」

「それはおめでたいね。でも平日に結婚式って珍しいな?」

「あーまぁ確かに。」

言われてみればそうだ、気になりもしなかった。

なにか特別な日なのだろうか。

「今日ってなんか夫婦の日とかそういうやつだっけ?」

「...いや?特になかったと思う。」

違うか、


「んー、いろいろ事情があるんだろうな。」

「そうだね、、」

...なんだか琉弥と話していると眠くなってくる。空気がゆるくなるんだよな。




「ねぇ、」

うとうとしていると、琉弥が何やら重々しく口を開いた。

「んー?」


「...やっぱ何でもない」


....



しばらくの気まずい沈黙。






「は?」



何だよ!!怖いな!



おかしい、琉弥の機嫌がちょっと悪いぞ。

違うか。機嫌が悪いって言うか、何か負の感情を抑えている感じ。

一気に目が覚めた。


「どうしたんだよ。言いたいことがあるなら言えよ、」

そう言うと、琉弥は目をぱちぱちさせて、きゅっと口を噤んでいたのを緩めた。

「あぁ、えーと、うーん...」

「なに?」



「...朝って、何もすることないよなぁって、」



琉弥は誤魔化すような気まずい笑みを浮かべる。

どういうこと?何が言いたいのかマジで分からない。

「まぁ...俺も今日は知ってるやつ誰も来てなかったし、さっきまで机で寝てたわ。」

空気がパッと明るくなった。

「あーそうなんだ!うん、何もすることないよな。そっかそっか。」

それなら良かった、とさっきまでの様子が嘘みたいに晴れた表情でニコニコしている。
どうやら俺の回答をお気に召したようだ。

何がよかったのかさっぱり分からん。だけど、まぁ、琉弥が良いならいいや。



何だかホッとして、琉弥の机にうつ伏せて目を閉じる。

「朝早かったからか眠い。」

「光は朝弱いもんね。」

「弱い...」

「......」

さっきとは違う、心地よい感じの沈黙。

良いなぁ...そう思っていたら、琉弥が俺の耳をさらっと撫でた。


耳からピリッと電流が流れたように、びくっとなった。
思わず耳を両手で押さえる。

「りゅりゅりゅ琉弥?!!!どうした急に、」

眠気が吹っ飛んでガバッと目の前を見ると、琉弥はさっきまでと変わらぬ笑顔でキラキラしていた。

「ん?耳に髪の毛がかかっていたから。」

そりゃ、髪の毛くらいかかるだろぉ...!!

多分俺の耳は真っ赤になってると思う。
すごく恥ずかしくて生理的な涙がたまるのを感じた。


「光って耳も弱いよね。」


そんな俺を見て余裕そうに微笑む琉弥に、ドキドキしていた気持ちが苛立ちに変わる。


「お前、もうあんま微笑むな!!」

「ふっ、はははっっっどういうこと?」

自分でもよく分からないことを言っているのは分かっているが、感情が高まって制御できない。

「大体お前は顔が良すぎる!!笑うなら顔を変えてこい!!」

「あっははっっなにそれ、あははっっ」




「・・・ご、ごめん!!2人とも、ちょっといいかな?」

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